マンションのドアポストに共産党のビラを配布していた住職が逮捕された事件で,東京地裁は昨日,無罪判決を言い渡した。「言論の自由が守られた」と評価する声も聞こえるが,そんなに単純な話でもない。 まず,マンションの廊下など共用部分は公共空間ではなく「住居」であり,誰の立ち入りを許すかを決める権限はマンション側にある。従って,立入禁止が明示されている場合に,それを破って立ち入ったときには,住居侵入罪が成立する。 このマンションの場合は,部外者の立入禁止を管理組合理事会で決定していたが,その表示は,「チラシ・パンフレット等広告の投函は固く禁じます」というもので,商業目的の広告配布だけを禁止するように読める文面であり,また,表示そのものが目立たず,一切の立ち入りを禁止するには意思表示が弱かったと判断された。これが,被告の住職を救ったといえよう。 正直いって,この判決はかなりきわどい判断によるもので,「