1918年設立、山口県有数の名門老舗企業が窮地に陥っている。苛性ソーダ・塩ビ類やセメント、半導体用シリコンなどを手掛ける大手化学品メーカー、トクヤマのことである。 同社は1月29日に緊急の業績修正会見を開き、2015年度の決算が1030億円の最終赤字になる見通しだと発表した。100年近い歴史の中で最大の赤字額で、2期連続の最終赤字に沈む(前期は653億円の赤字)。財務体質の悪化は著しく、通期決算を発表する4月末までに、資本対策を含む再建策をまとめる。 マレーシアでの巨額投資が裏目 巨額赤字の震源地はマレーシアだ。太陽電池(太陽光発電パネル)用の多結晶シリコン生産に向け、現地に2つの大型プラントを建設したが、事業の前提が根底から崩れて投資回収が困難になった。 そのため、2014年度に第1期プラントを減損(減損処理額は748億円)したのに続き、2015年度はより大規模な第2期プラントについても
やまざき・はじめ/1958年、北海道生まれ。東京大学経済学部卒業。現在、楽天証券経済研究所客員研究員。株式会社マイベンチマーク代表取締役。東京大学を卒業後、三菱商事に入社。野村投信、住友生命、住友信託、メリルリンチ証券、パリバ証券、山一証券、明治生命、UFJ総研など、計12回の転職を経験。コンサルタントとして資産運用分野を専門に手掛けるほか、経済解説や資産運用を中心に、メディア出演、執筆、講演会、各種委員会委員等を務めた。2024年1月1日、永眠。 山崎元のマルチスコープ 旬のニュースをマクロからミクロまで、マルチな視点で山崎元氏が解説。経済・金融は言うに及ばず、世相・社会問題・事件まで、話題のネタを取り上げます。 バックナンバー一覧 1月29日、日銀は「黒田バズーカ第3弾!」とも呼ぶべき、マイナス金利政策を発表した。具体的には、民間銀行が日銀に保有する過剰な準備預金部分に対してマイナス0
あと3円――。日経平均株価の4日終値は前日比146円(0.85%)安の1万7044円と、日銀がマイナス金利導入を発表する前の水準(1月28日、1万7041円)に迫った。市場では「短期的な緩和効果は一巡した」とため息まじりの声が聞かれた。前日、2016年3月期通期業績見通しを下方修正した日立製作所の株価が一時12%安となるなど、投資家の関心は相次ぐ主要企業の業績悪化にくぎ付けだ。経験したことのない
2月3日、世界の金融市場が年初から急落し、その回復の糸口がまだ見い出せない中、各国の中央銀行と政府は市場の沈静化という喫緊の課題に直面している。最も踏み込んだ措置を取ったのが、先週マイナス金利を初めて導入した日銀だ。写真は都内の日銀本店前で2013年10月撮影(2016年 ロイター/Yuya Shino) [ロンドン 3日 ロイター] - 世界の金融市場が年初から急落し、その回復の糸口がまだ見い出せない中、各国の中央銀行と政府は市場の沈静化という喫緊の課題に直面している。ただ、原油安と人民元安、世界的な景気後退(リセッション)への懸念を背景とした市場の混乱は簡単に回復しそうにない。 パイオニア・インベストメンツのグループ最高投資責任者(CIO)、ジョルダーノ・ロンバルド氏は「中銀は金融の安定を注視し続けてはいるものの、次第に有効性を失っており、世界的な金融危機後のように中期的な市場のボラテ
1月20日、BNPパリバ証券の河野龍太郎・経済調査本部長は、人民元の大幅切り下げを受けて円高と株安が大きく進めば、日本の成長率低下は避けられず、来年の消費増税も再度見送られるだろうと指摘。提供写真(2016年 ロイター) [東京 20日] - 中国人民元への通貨アタックの様相が強まっている。中国当局が通貨防衛に成功する可能性がないわけではないが、目先、小康を得ても、米中経済ファンダメンタルズの違いを考慮すると、将来も大幅切り下げ、あるいはフロート制への移行に伴う大幅減価の可能性は排除できないだろう。中国景気が足踏みを続ける限り、懸念は常にくすぶる。 むろん、通貨アタックには自己実現的予想の側面も強いから、どのような帰結になるかは一概には言えない。1992―93年の欧州通貨危機の際に、英ポンドは通貨防衛に失敗した。一方、仏フランについては、通貨アタックは収束したが、当時、変動レンジを大幅に拡
1月13日、キヤノングローバル戦略研究所の山下一仁・研究主幹は、農業分野で大規模な環太平洋連携協定(TPP)対策が打たれようとしているのは、ウルグアイラウンドと同様に選挙対策であり、いたずらに国民負担を増やすだけだと指摘。提供写真(2016年 ロイター) 山下一仁 キヤノングローバル戦略研究所 研究主幹 [東京 13日] - 2015年に合意した環太平洋連携協定(TPP)は、参加国への市場アクセス拡大など日本側にメリットも少なくないが、国内農業に対する影響は皆無に等しく、期待された農政改革には全くつながらないとキヤノングローバル戦略研究所の山下一仁・研究主幹は指摘する。 にもかかわらず、農業分野で大規模なTPP対策が打たれようとしているのは、ウルグアイラウンドと同様に選挙対策であり、いたずらに国民負担を増やすだけだという。 同氏の見解は以下の通り。 <TPPによる農業への影響は杞憂> 環太
2月3日、外為オプション市場では、今月26─27日に上海で開かれる20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総会会議に絡んで人民元が切り下げられるとの思惑から、今週に入って人民元安を見込むポジションの構築が盛んになっている。写真は北京で1月撮影(2016年 ロイター/Kim Kyung-Hoon) [ロンドン 3日 ロイター] - 外為オプション市場では、今月26─27日に上海で開かれる20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総会会議に絡んで人民元が切り下げられるとの思惑から、今週に入って人民元安を見込むポジションの構築が盛んになっている。 オプション市場ではこの1週間に人民元のボラティリティと下落バイアスが過去最高水準に上昇。複数のディーラーによると、オフショア人民元が1ドル=7.20元を超える水準まで下落した場合にのみ権利行使となるデルタ値の低いプットオプションが数十億ドル規模で組まれた
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