国立国会図書館は10日、電子化した絶版本など約130万冊を全国の公立図書館で閲覧できるようにするサービスを今月21日から始めると発表した。国会図書館は「館内でしか読めなかった貴重な資料が、地域に関係なく閲覧できるようになる」として全国の図書館に利用を呼び掛ける。対象となるのは、いずれも著作権保護期間内で、絶版になった書籍50万冊のほか、官公庁や団体発行の雑誌67万冊、市場での入手が難しい博士論
8月に亡くなった「青空文庫」呼びかけ人・富田倫生さんの追悼イベントが行われた。「青空文庫」という名称に込められた富田さんの思いとは何だったのか。この追悼イベントでは富田さんを間近に見てきた人たちによって、その思いが振り返られた。 eBook USERの読者であれば「青空文庫」の存在をご存じだろう。著作権の切れた作品を中心1万2000点以上の電子化を行い、無料・無許諾で利用可能としている電子図書館だ。国内ではAmazon Kindle、Apple iBookstore、楽天koboなど主要な電子書店が青空文庫の作品群をラインアップしている。 テキスト入力を始めとした電子化やその校正を行っているのは、青空文庫の趣旨に賛同した約800人からなるボランティアだ。8月に61歳で亡くなったこの青空文庫の呼びかけ人・富田倫生(みちお)さんの追悼イベントが9月25日に行われた。 青空文庫に込められた思い
2013年6月22日 図書館デジタル化の波紋、オープンアクセスと出版は両立するか 国立国会図書館が、34万冊以上の著作権処理が完了した本や雑誌をインターネットで公開している近代デジタルライブラリー。この図書館資料のデジタル化をめぐって巻き起こった議論を追いました。 刊行中の本の公開は死活問題 近代デジタルライブラリー、通称「近デジ」が今月になって、インターネットで話題を呼びました。 インターネットに公開されたデジタル化資料が日本出版者協議会の要望により一部が一時公開停止になっているという話です。 この対応をめぐってスラッシュドットやTwitterなどインターネット上では、出版社側に批判の声が集まりました。 そこで、公開差し止めを要望した「大蔵出版」の社長、青山さんにお話を伺いました。 当初は正当だという理由で取り合われなかった 『大正新脩大蔵経』全88巻が突然近デジ上に公開された
書籍をスキャナーなどで読み取り、自分で電子書籍にして楽しむいわゆる「自炊」と呼ばれる作業を、著作者の許可を得ずに有料で代行する業者が問題になっていることから、作家や漫画家らの団体は、代行業者から著作権使用料を徴収するなどの、新しいルール作りに乗り出すことを決めました。 これは、国内の作家でつくる日本文藝家協会や日本漫画家協会などが、東京都内で合同で記者会見を開き発表しました。 それによりますと、いわゆる「自炊」を代行するビジネスのあり方について検討するため「蔵書電子化事業連絡協議会」、通称「Myブック変換協議会」を立ち上げたということです。 今後、この協議会では、「自炊」で読書に親しんでいる人たちの思いを尊重し、代行業者から著作権使用料を徴収する代わりに代行を許諾するなど、新しいルール作りに向けて議論するということです。 「自炊」は、電子書籍の愛好者の間で数年前から流行していますが、著作者
東京都中央区の出版・印刷メーカー「フロンティアニセン」が刊行している、名作文学を集めた耐水性本シリーズ「風呂で読める文庫100選」。この商品も青空文庫のデータを利用している 長編小説『宮本武蔵』などで人気が高い吉川英治(1892~1962年)や、説話集『遠野物語』で知られる日本民俗学の祖、柳田国男(1875~1962年)らの作品が、今年から誰でも自由に利用できるようになった。没後50年の著作権保護期間が昨年末で満了したからだ。著作権切れ作品を無料公開するウェブサイト「青空文庫」の存在もあり、普及の伸び悩みが指摘される電子書籍界で、著作権切れ作品の電子化が着々と進行している。(磨井慎吾) 「今年は、数年に一度の著作権切れ作家の“当たり年”」と語るのは、「青空文庫」世話役のライター、富田倫生(みちお)さん(60)。 青空文庫は今年1月1日から、吉川や柳田と同じ昭和37(1962)年没の詩人で小
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7月上旬、「東京国際ブックフェア」の最終日、ある重要な議論の場が設けられた。出版業界の抱える課題が凝縮されたいわば「パンドラの箱」のようなこのシンポの様子を全文書き起こしでお届けする。 はじめに 7月上旬――「東京国際ブックフェア」「国際電子出版EXPO」など、国内の出版、電子書籍市場が活況になるこの時期。今年は楽天グループのKoboやAmazon.comのKindleがいよいよ国内でのサービスインかといった話題で持ちきりだったが、この時期、ある重要な議論の場が設けられた。 それは、東京国際ブックフェアの最終日、急きょ追加されたシンポジウムだ。「電子書籍時代に出版社は必要か? -『創造のサイクル』と『出版者の権利』をめぐって」というこのシンポジウムは、当初の予定になかったこと、また、上述のkoboなどの話題にかき消される形で、あまり大きな話題にならなかった。 しかし、このシンポジウムは、5
著名作家・漫画家連名による自炊代行業者への訴訟問題ですが、自分もクリエイティブの仕事で食べている端くれとして提訴側の気持ちはよく理解できます。 しかし残念なことに、その提訴は何ら本質的な解決へ向かっていません。 それどころか、むしろ海賊版の跋扈を助長しかねない危うさを孕んでいます。 ここが真の問題ではないかと感じています。 僕は2年ほど前に初めて自分の本を上梓しました。 その執筆中にある英文の経済学書を資料として調べる必要が出てきたのですが、ぶ厚い英書を最初から拾い読みしていたのでは見つけたい箇所にたどり着くまで膨大な時間がかかりそうだったので、それをテキストデータ化して翻訳ソフトにかけようと思い立ちました。ざっくりと日本語化して流し読みするのが早いと考えたわけです。 当時はまだ自炊が一般的ではなく代行業者の存在も知らなかったので、海外のネットで電子版を購入しました。ところがDRMがかかっ
Project Gutenberg をご存知ですか? 1971年マイケル・S・ハートによって始まったプロジェクトで、著作権の切れた名作などを無料で公開しています。似たようなプロジェクトは国内外で立ち上がっていますが、これが最も古い電子図書館として知られています。今年の7月でちょうど 40 年になりました。 現在、36,000 冊以上の電子書籍が無料で公開されており、今出回っている電子書籍リーダーほぼすべてに対応しています。ほとんどの電子書籍が HTML かテキストファイルで公開されているので、読めないデバイスはないといっても過言ではありません。数は少ないですが日本語の書籍も幾つかあります。 まるで Wikipedia のように参加型で徐々に電子書籍の数を増やしてきた Project Gutenberg。今なぜこの話題にふれているのかというと、9月6日に創始者のハート氏が他界したからです。享
「喉元過ぎれば熱さを忘れる」ということなのだろうが、去年はあれだけ「電子書籍元年」と持ち上げて、ニュースにもならない情報に一喜一憂していた日本のマスコミで、最近とんと「グーグル・ブックス」、つまりグーグルの電子書籍に対する取り組みのことを目にすることがなくなった。どうしてこうもわかりやすいガジェットでしか、電子書籍を捉えられないのだろうか。 グーグルeブックストア専用端末も発売に グーグルeブックストア(Google ebookstore)は、日本語コンテンツをほとんど無視する格好で始動し、iRiver Story HDという専用Eリーダーが「ターゲット(Target)」という量販店で発売開始となった。すでに何千もの出版社と契約し、「紙で見つからない本でもEブックならすぐに見つかる」という時代のニーズに沿ったサービスを提供し始めている。 件のStory HDは、アマゾンのキンドルに限りなく
来る5月4日、「国際反DRMデー」(International Day Against DRM) というイベントが計画されている。主催者は大手メディア企業やIT企業によるDRMに反対する DefectiveByDesign というグループで、今年で3回目になるが、コンピュータ・ユーザーの自由を促進するための市民団体として有名な Free Software Foundation (FSF)のキャンペーンだ。他方で「知的所有権保護」は米国や日本政府が掲げる錦の御旗となっており、DRMをめぐる問題は、一見すると宗教論争のようにも見えてくる。 だが、どうもそうではなさそうだ。実態を知るほど、DRMのRはRightsでなくRestrictionだ、という批判論のほうに理があると思えてくる。 E-Book DRMは消費者/読者の「固有の権利」を制限 同じコンテンツを異なるハード/ソフト環境で利用できる
'; doc += ''; doc += ''; doc += ''; winimg.document.writeln(doc); winimg.document.close(); } //]]> 書籍がデータ化されることで、著者と出版者の関係、 そしてユーザーと「本」の関係はどう変わるのか? 音楽業界の電子化からコンテンツビジネスの変貌を追い続けている ITジャーナリスト・津田大介氏に聞く。 (このインタビューは2010年3月31日に収録しました) プロフィール 津田大介(つだ・だいすけ) 1973年、東京生まれ。ITジャーナリスト。IT・著作権・ネットサービス・ネットカルチャーをフィールドに執筆。2006年~2008年に文部科学省文化審議会著作権分科会の小委員会専門委員を務め、2007年「MiAU」(Movements for the Internet Active Users/「イン
2010年05月19日18:09 カテゴリITメディア 「自炊」でできる電子書籍 10年ほど前、Napsterというソフトウェアが世界のレコード会社を震撼させた。CDをハードディスクにコピーして世界中に送れるP2Pソフトの先駆けだった。同じようなことが、いま書籍の世界で起きようとしている。 富士通のスキャンスナップは、100万台を超えるヒット商品となった。ある大学の授業で「この中でスキャンスナップで『自炊』している人は?」と質問したら、誰も手を挙げなかったが、半数ぐらいの学生がニヤニヤしていた。ウェブで検索すると、少年ジャンプなどは毎号、丸ごとzipファイルになって流通している。大学のLANでもこの種のファイルが大量に流通しているようだ。 もちろんスキャンスナップ自体は違法ではない。自分の買ったマンガを裁断してスキャンする「自炊」も合法である。会社の資料や自宅の本をスキャンして紙を捨てれば
またまた悪質な著作権法無視の業者がネット上に現れた。 「BOOKSCAN」(ブックスキャン)というサイト。 本のスキャンを代行しますという業者のサイトだ。 「書籍を裁断しスキャナーで読み取り、PDF化するサービス」を今月19日から有料で提供するという。 そこの「著作権について」というページにこういう記載がある。 1・現行の法律のままですと、ご自分でスキャンするのはOKですが、第三者に依頼することはNGだそうです。 2・BOOKSCANへご依頼頂いたものは、著作権法に基づき、著作権保有者の許可があるものとして判断させて頂きます。許可がないものは、ご遠慮頂くか、ご自身でスキャンしてください。 なんだこれ、明らかに著作権法違反なのを知っていてやってるんじゃないか。 その後、こうも書いてある。 自分でスキャンするのは、OKだけど、業者に依頼するとNGというのは、今の時代にあっていないと思います。
一般社団法人「日本電子書籍出版社協会」(略称・電書協)が24日、31社が参加して参加で発足した。アマゾンやアップルとの交渉窓口になったり、価格設定等に介入することはまったく考えていない、とのことでトラストへの懸念はほぼ払拭された。今後の活動を通じて、中小出版社や印刷会社、海外企業を含めたオープンな議論のノードとなることを期待している。 「著作者の利益・権利、読者の利便性、紙の本と電子書籍との連動・共存」が謳われているのは結構なことだが、なお目的と組織の間に多くの「なぜ?」が残る。なぜ(書協やJEPAではなく)新団体なのか、なぜ(相対的に大手ばかりの)31社だけなのか。朝日の記事にあるように「国内の電子書籍市場で占めるシェアは9割以上」の各社が「主導権確保へタッグ」などといったら米国では仰天もので、当局から「なぜこのメンバーが」「誰に対して」「どうやって」と問われることになる。誤解を受けるよ
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