吉竹広次 (共立女子大学国際学部 教授) 2017.10.09 ロバート・ライシュは著書で,2014年にトランププラザが倒産,1000人ほどの従業員が失業したのに,トランプ氏はツイッターで投資引揚げは最高のタイミングだったと自賛していたことを紹介している。トランプ氏の人柄がうかがえる話だ。大統領になったトランプ氏の掲げるAmerica Firstも,パリ協定,TPP離脱にみられるようにナショナリズムというより国家エゴイズム(ボウルズやギンタスの用語によれば内集団ひいきを意味する「偏狭な利他主義」)と理解した方が適切に思われる。これらの政策は特定の地域・業界・階層にとっての直感的に解りやすい損得計算から導かれ,米国あるいは世界全体の最適という体系的,長期的視点を著しく欠いている。こうした国家エゴの淵源がトランプ氏個人の強烈な性格,個人的属性にあることは明らかだろう。勿論,これまでもヒットラー