・殉教 日本人は何を信仰したか 「日本における殉教のあり方は、世界のどこにもない特殊なものである。ローマ時代、キリスト教徒が迫害された時代は別として、わずか二十数年という短期間に確実に四千人を超える大量の殉教者が出たことは稀である(松田穀一「日本切支丹と殉教」)。特に日本における殉教は、後述するようにいかなる勧誘にも拷問にも屈せず行われた点で、特筆すべきものだと思われる。」 江戸時代のキリスト教弾圧は有名だが、実際には内面の信仰を厳しく問うわけではなく、表向き信仰を捨てたふりをすれば容易に許される程度のものだったそうだ。しかしキリシタンたちは、迫害されて死ねば天国に行けると信じて、敢えて役人が管理するキリシタン名簿に載りたがり、捕まると進んで信仰を告白し、厳しい拷問にも屈せずに死んでいった。 著者はキリシタン弾圧の実態を史料を読み解くことで、当時の政治的社会的な背景や実際にとられた政策を明