インド国籍をもつ日本人仏教僧で、インドの不可触賎民(アウトカースト・アチュート・アンタッチャブル)といわれる最下層の人々の解放改宗運動や、長らくヒンドゥー教徒の管理下にあった仏教聖地ブッダガヤの大菩提寺を仏教徒の手に取り戻す運動などを通じ、インドにおける仏教復興運動指導者として知られる佐々井秀嶺師が、この春44年ぶりに来日し各地で講演を行った。 師の苦難に満ちた仏道の道のりとインドの仏教復興における辛苦の多少を知る一人として、師の崇高な菩薩行とそれを支える堅固な菩提心に対し、あらためて敬意と尊敬の念を表すのに何の躊躇もない。 なのに、ここにわざわざ稿を起し、マスコミに報じられた師の今の日本に対する思いについていささか疑問を呈するのは、まことに不遜の極みながら、少し感ずるところがあり敢えてそれを問うことにした。以下に触れることは、あるいは師の本意とするところではないかもしれないが、今やインド