今回の都知事選では公選法の抜け穴を狙うような脱法的行為が目立った。ある政党は24人の候補を擁立し、選挙公報の半分近いスペースを占拠し、掲示枠にポスターを張る権利を有価で販売するということを行った。掲示板に選挙と関係ない写真や、別のサイトに誘導するバーコードを載せたポスターを貼った事例もあった。 これまでも政見放送や選挙公報にはあきらかに市民的常識を欠いた人物が登場したけれども、それは「民主主義のコスト」だと思って、私たちは黙って受け入れていた。だが、さすがに今度の都知事選の非常識さは前代未聞だった。 でも、こういう行為をする人たちは別に選挙を利用して金儲けしたり、売名したいわけではないと思う。彼らの目的は公選法が「性善説」で運用されているという事実そのものを嘲笑することにある。供託金さえ払えば、公器を利用して、代議制民主主義というものの脆弱性と欺瞞性を天下にさらすことができる。民主主義とい