サクサク読めて、アプリ限定の機能も多数!
トップへ戻る
ノーベル賞
bsi.riken.jp
Do you“脳”? 脳に関する基礎知識 脳の構造 神経細胞の巨大なネットワーク 脳は「脳(神経)細胞」から構成されている。その数は、大脳で数百億個、小脳で千億個、脳全体では千数百億個にもなる。その脳細胞たちは、電気信号を発してお互いに情報をやりとりしているのだ。 一つの脳細胞からは、長い「軸索」と、木の枝のように分岐した短い「樹状突起」が伸びている。これらの突起は、別の脳細胞とつながり、「神経回路」を形成する。細胞体と軸索と樹状突起からなる脳細胞は、「ニューロン」とも呼ばれている。 ニューロン 細胞体の大きさは、0.1mm~0.005mmで、大脳では1mm3に10万個ものニューロンが詰まっている。脳全体のニューロンの軸索や樹状突起を一直線につなげた場合、100万kmにもなる。この巨大なニューロンのネットワークに電気信号が常時駆け巡り、我われ人間の高度な機能が可能になる。ニューロンの細胞体
私たちはさまざまな生き物の遺伝子構造比較により、脳の成り立ちに重要な遺伝子情報を探索しています。これまでにいろいろな動物を実験材料にしてきましたが、その神経組織の多様性には驚くばかりです。クラゲやイソギンチャクの仲間のように、神経細胞がそれほど密集しておらず、散在神経系と呼ばれるものから、イカ・タコのように中枢化の進んだカゴ型の神経系を持つもの、はたまた、神経管の前端に複雑な構造(脳)を有するヒトのような脊椎動物まで多岐にわたります。 このような神経組織の多様性を説明するときに、進化の過程で神経組織の中枢化が進み、ヒトのような「高等動物」が出来上がったのだということは良く論じられます。「進化が進む」とよく言われますが、この言葉はしばしば、聞く側に『進化は複雑な動物を生み出す方向にのみ進む』という誤ったイメージを与えがちです。生物の遺伝子情報は絶えず揺らいでおり、さまざまな変異(多様性)が生
BSI Youthは、理化学研究所 脳科学総合研究センター(BSI)が高校生を中心とする若い世代に向けて、脳科学や科学全般の面白さ、基礎研究の重要性、BSIが行っている研究や活動を発信しています。
脳に関する研究は、科学的に大きな価値を持つばかりでなく、社会的、経済的にも大きな成果が期待されています。この期待に応えるべく、理化学研究所 脳科学総合研究センター(RIKEN Brain Science Institute, 理研BSI)は、1997年10月理化学研究所(埼玉県和光市)に設立されました。当研究センターは、我が国の脳科学研究の中核拠点として、国内外から優れた研究者を結集し、総合的な研究を展開しており、設立以来、数多くの優れた研究成果と人材を輩出し、世界有数の脳科学の研究拠点として国際的な認知を得ています。 脳科学総合研究センター 組織概要
脳はどのような仕組みで高度な情報処理を行っているのか。これまでの脳研究により、脳のある領域の神経細胞がどのような機能に関係しているのかが調べられてきました。例えば、視覚情報を処理する場所はいくつかの領域に分かれ、線のような単純なものから複雑な図形に反応するものまで、さまざまな神経細胞が見つかっています。複雑な図形に反応する神経細胞が集まった領域には、顔に反応する“顔細胞”も発見されています。では、単純なものに反応する神経細胞の情報がどのように統合され、情報が変換されて、顔のような複雑な図形に反応することができるのか。谷藤 学チームリーダー(TL)たちは、神経細胞の活動をコントロールするオプトジェネティクスと、神経細胞群の活動を捉える光イメージング法を組み合わせた独自の手法をFIRSTプログラムにおいて確立し、その仕組みを解明しようとしています。 ■現在の脳科学には答えられない質問 ──顔細
将棋棋士の「直観思考」を脳科学の視点から解明する!将棋を研究対象に、瞬時に最善手を指す将棋のプロ棋士の脳に着目し、人間特有の直観的な思考の解明にチャレンジしています。
第7回 脳研究の意義 将棋棋士 羽生 善治名人 (王座・棋聖) シンセサイザーを開発し、「二十世紀のエジソン」とも呼ばれているレイ・カーツワイル氏はこのままテクノロジーが加速的に進歩をして行けば2020年には一台のコンピューターが一人の人間の知性を凌駕すると発言をしています。 当然ながら反対の意見もあるでしょうし、集積回路の限界も近づいて来ているので、飛躍的なブレイクスルーがあるかどうかは未知数です。 しかし、一つの可能性として、方向性としては実に示唆に富んだ言葉だと思っています。人間とは何なのか?その定義とは?脳の構造、進化の実体は?という事を遠くない将来に厳密に決める時が迫りつつあるのでしょうし、それは机上の文章としてではなく、実用的で普遍的でなおかつ道義にもとづいたものになるでしょう。 特に医療の世界などでは現実と法律のひずみが大きく、脳の研究が進み、ギャップが埋まる事を期待していま
図4:我々の仕事の多くは、ノシセプチンが快楽の発現、そして、薬物中毒への移行をどのように制御しているのかに焦点を当てている。 しかし、脳のノシセプチンは、中毒性薬物だけではなく、美味しい食物など、自然な中毒に対する反応をも制御している。 この図は、ノシセプチン受容体を欠いたノックアウトマウスにおいて、甘いものに対する嗜好性が低下するという不自然な行動を示している。 図5:長い間、中脳辺縁系ドーパミン経路(マウスの脳の断面の赤色で示されている)は快楽と強化行動との調停を受け持つ、最も基本的な神経経路であると考えられてきた。実質的には、効果をもたらす薬物を始めとして、すべての快楽的な経験がこのシステムを活性化する。これとは対照的に、われわれの研究では、中脳辺縁系ドーパミン経路がノシセプチンの投与によって抑制されることが示されている。しかし、通常の状況下では、すでに脳内に含まれているノシセプチン
情動とは何か 「情動」、聞き慣れない言葉ですね。「感情」といえば、わかりますでしょうか。喜怒哀楽のことなんですが、それでは何故、「感情」といわず、「情動」という言葉を使っているのでしょうか。恐怖、怒り、悲しみ、喜びなどの感情には、その当人にしかわからない主観的な側面と、外部から観察可能な側面があります。後者は、感情に伴う自律神経系の活動の変化(心拍数の上昇)やその他の身体的変化(顔の表情、筋の緊張の変化)、あるいは、感情が生じている時に示す行動を通じて客観的にとらえることができます。したがって、自然科学の対象として感情を取りあげ、動物実験の成果を踏まえて議論を展開しようとすると、客観的にとらえることのできる、感情の下位概念である「情動」を研究することになるのです。 それにしても、情動という日本語は日常語としては、あまりなじみがないでしょうか。これは元来、心理学の専門用語で、英語では "em
特集 シナプス伝達を超える脳の謎 Semyanov研究ユニット ユニットリーダー Alexey Semyanov BSIでの研究成果 選んだ行動の正解/不正解から学ぶ仕組み 認知機能表現研究チーム 社会環境の変化に応じて働きを変える神経細胞の発見 象徴概念発達研究チーム 神経細胞の移動と形態形成の仕組みに新たな発見 発生神経生物研究チーム ナトリウムチャネル遺伝子変異により引き起こされる難治てんかんの発症メカニズムの解明 神経遺伝研究チーム Brain Network 神経科学と計算機科学の融合 平瀬研究ユニット ユニットリーダー 平瀬 肇 表紙写真 シナプス領域外における信号伝達 青い矢印は シナプススピルオーバー(S)やアストロサイト(A)からの神経伝達物質の放出を示し、黒い矢印は神経伝達物質の標的シナプス受容体(1)、シナプス領域外受容体(2)やトランスポータ
はじめに 私たちの動作の大部分は、日常生活の中で脳が学習し、記憶したものを巧みに利用することで行われています。運動に小脳が不可欠な働きをしていることは、小脳を損傷した動物の観察や、小脳障害の患者さんの臨床報告などから、20世紀の前半から知られていました。小脳の働きについて、Marr、伊藤(BSI特別顧問)とAlbusは、1970年前後にそれぞれ独立に、小脳の回路に可塑性があり、運動中に生じたエラーによって小脳皮質を通る信号が修正され、運動の学習が行われるという仮説を提案しました。さらに伊藤ら(1982)は、小脳皮質のプルキンエ細胞のシナプスに長期抑圧(LTD)という可塑性があることを発見しました。このMarr-Ito-Albus説は以後40年近く、世界中で検討されてきましたが、いくつかの反対仮説も提出されました。その代表は、小脳皮質は運動学習に必要な情報を伝えるが、学習が実際に起こるのは出
ニューロフィードバックを利用したリアルタイム式ブレインコンピュータインターフェイスの実現に向けて ―ブラインド信号分離による識別性能の向上― 脳信号処理研究チーム ――我々の情緒的な脳は、我々を『情報を処理する単なるコンピュータ』以上の存在にしてくれます。なぜなら、それは情報を処理し、その価値を考慮に入れ、美に対する感情や感覚を持つことを可能にするからです。――伊藤正男(2002年) ブレインコンピュータインターフェイス(BCI)は、脳信号(電気信号、磁気信号、代謝信号)を利用してコンピュータ、スイッチ、車椅子、neuroprosthesis(人工器官)などの機器を制御するシステムです。BCIの研究は、身体障害者や高齢者のための新たなコミュニケーション手段を創造するという期待がその動機となっていましたが、最近では、没入型バーチャル・リアリティの制御など、リハビリテーション、マルチメディアコ
[BSI Seminar Series (BSS)] Dr. Mazen Kheirbek, UCSF exchange speaker, UCSF Deconstructing hippocampal circuits that control emotional behavior BSI Central Building 1F Seminar Room Thomas McHugh, Circuit and Behavioral Physiology [BMA Class] Hideki NISHIKAWA, Keyence Corporation 84th BMA Class:All-in-One Fluorescence Microscope BZ-X700 Operating Principles & Instructions BSI Central Build. S005−1,N
現在、日本は脳ブームだという。本屋に行くと脳関係の書籍コーナーがあり、「脳を鍛える」と称する本がところ狭しと並んでいる。また、「脳年齢」を改善するというゲームが売れに売れて、注文してもすぐに手にはいらないとも言われている。大手新聞社の夕刊にも「脳を鍛える」紙面があり、クイズのようなものが載せてある、等々。このような社会現象に当の脳研究者は如何に対処すべきであろうか? 一部の研究者あるいは自称「脳科学者」が十分なコントロールのデータもなく言っている戯言であるから、はなから無視すれば良いのであろうか?あるいは、脳のシナプスや神経細胞の働きといった素過程も十分わかっていないのであるから、そのような出版物やゲームの根拠のなさ、非科学性をはっきりと指摘すべきであろうか? 先日公表された第3次科学技術基本計画でも強調されているように、現在、脳研究を含めて多くの研究は多額の国費を使っているのであるから、
はじめに 言語知能システム研究チームは、言語に基づくヒトの知能の工学的実現を目指しています。 ヒトの知は言語によっていると考えられることから、ヒトの脳を創るに際しては、言語的アプローチも必要です。現状では言語のような脳の高次機能については、神経細胞やそのシステムレベルから解明することは難しく、言語的アプローチはトップダウン的なものにならざるを得ません。しかし、脳が創り出した言語システムを脳の外で、詳しく観察できるという支えがあります。 言語的アプローチの基礎は言語理論です。私のチームでは選択体系機能言語学を用いています。そして、日本語のシステムの計算論的モデルと、モデルに基づいたテクスト理解/生成のアルゴリズムを実装し、言語に基づく脳型の情報処理環境を構築しようとしています。また、この研究を通じて、言語を受容する神経アーキテクチュアについての知見が得られるだろうという期待もあります。 言語
現在、人間がコンピュータとやりとりするための方法はわずらわしく非効率的である。旧来の入力方法は、主にキーボードとマウスを通じてコンピュータに情報やデータを伝える。いまだに、人々はコンピュータ側の制約に適応しなければならず、これは全く直観的な方法ではない。そこで、脳電位信号や何か他の電気生理学的な信号を利用することによって、外界と通信し、遠隔装置やコンピュータを制御する新しい方法が得られるのではないかと考えられている。 ブレインコンピュータインターフェイス(BCI)、またはブレインマシンインターフェイス(BMI)は、脳(神経)からの信号を取得、解析して、脳とコンピュータの間に、リアルタイムの広帯域通信路を実現するシステムである。BCIの研究は、神経科学、工学およびリハビリテーションを含む学際的な試みであり、いくつかの新技術、すなわち、Intelligent Simulators(IS),In
このページを最初にブックマークしてみませんか?
『bsi.riken.jp』の新着エントリーを見る
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く