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やる気の出し方
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今回は、米国史上最悪と言われる最高裁判決が下された「バック対ベル訴訟」を取り上げます。1927年、米国の連邦最高裁は、精神病または知的障害と言われている人々に対し、州が不妊手術を強制することを可能とするバージニア州の法律を支持する判決を下しました。この訴訟の原告は、何の障害も持っていないにもかかわらず州の隔離施設に収容されていた、キャリー・バックと言う若い女性でした。判決は、バージニア州はバックに不妊手術を施す権利があるとするもので、判決文を書いたオリバー・ウェンデル・ホームズ・ジュニア判事は、「知的障害が3代も続いたなら、もう十分だろう」と締めくくっています。この判決により、子孫を残すには「不適格」とされた6~7万人の米国人に強制的に不妊手術が行われました。この裁判について本を書いたアダム・コーエンに話を聞きます。 バック対ベル訴訟の原告であったキャリー・バックは、バージニア州の貧しいシ
今夜の夕食はシーフードでしょうか。そのシーフードを獲ったのはひょっとすると奴隷かもしれません。インドネシアの離島・ベンジナ島を取材したAP通信記者らが、現地のシーフード産業における驚くべき実態を明らかにしました。この島の労働者は檻に閉じ込められ、毒針のついたエイの尾で打たれる罰を受け、一日22時間の労働を強いられ、ほとんど何の対価も受けていませんでした。一連の報道は今年、優れた調査報道に与えられるセルデン・リング賞を受賞しました。デモクラシー・ナウ!はロサンゼルスで先週、この驚くべきニュースを伝えたAP通信記者のうちの2人、ロビン・マクドウェルとマルサ・メンドーサに話を聞くことができました。2人は収録後、南カリフォルニア大学での授賞式に向かいました。(続報)女性からなるこのAP通信取材班の調査報道は、ピュリッツアー賞公共サービス部門賞を受賞することが18日午後、決まりました。
公民権運動の活動家で日系二世のユリ・コウチヤマさんが、2014年6月1日カリフォルニア州バークレーで、93歳で亡くなりました。第二次世界大戦中に日系人収容所に入れられ、米国南部の人種差別を目の当たりにしたことから政治活動にめざめたそうです。日系人への差別と黒人差別に共通するものを見出し、人種間の平等や社会正義の実現を求めて闘うようになりました。後に夫のビル・コウチヤマと共にニューヨークのハーレムに住みつき、黒人解放やブラックパンサーの運動を支援し公民権運動に深くかかわりました。 マルコムXとも親交があり、大きな刺激を受けました。1963年10月にマルコムが暗殺されたとき現場に居合わせ、死に行くマルコムの頭を抱きかかえたそうです。その他にも、プエルトリコの独立運動を支援したり、戦時中の日系人強制収用に対する謝罪と賠償を米国政府に求めたりと、1960年代から70年代を中心に活躍しました。 この
ドキュメンタリー映画The Price We Pay(『我々が払う代償』)を基にタックスヘイブンの問題を取り上げます。監督のハロルド・クルックス氏と、映画にも登場するエコノミストでタックス・ジャスティス・ネットワーク上級顧問のジェイムズ・ヘンリー氏をゲストに迎え、映画制作の動機や経緯、またタックスヘイブンの歴史的背景、納税を回避する手口と隠れ資産の実態、そしてその弊害について映画のシーンを交えて検証していきます。 映像には米上院および英国議会の公聴会で証言するアップル、グーグル、アマゾンという代表的グローバルIT企業の幹部が登場します。いずれの企業も有名なタックスヘイブンに子会社を置き、実際に営業活動をしている国に支払うはずの税金を合法的に逃れています。タックスヘイブンに利益を移転させる所業が横行している結果、米国では年間推定1000億ドルの税収が失われているとされます。 金融グループも追
英国の野党、労働党の党首選で、反戦、反緊縮、移民保護を掲げる社会主義者のジェレミー・コービン議員が6割近い票を獲得して圧勝し、内外に衝撃が走りました。英国のマスコミはパニックに陥り、これで政権獲得の芽はなくなった、「労働党の自殺行為」だ、などと一斉に酷評しました。一方、コービン議員とは40年来のつきあいだという政治評論家タリク・アリは、コービン党首の誕生で「労働党が変わり、英国の政治も変わる」と大喜びです。日本でも反原発、反安保の抗議運動が政治運動に変わろうとしている今、タリク・アリの分析は必見です。 労働党はトニー・ブレアやゴードン・ブラウンが党首の時代に、従来の左派路線を中道寄りに修正して中産階級の支持獲得を狙いました。「ニューレイバー」の誕生はマスコミにもてはやされ、ブレアは1997年の選挙に圧勝し、保守党から政権を奪還しました。でも彼の政策は、サッチャー政権以来の市場原理主義の継承
元ソ連軍の技術者ミハイル・カラシニコフが設計したカラシニコフ自動小銃、別名AK-47は、世界で最も多く使用されている銃器の一つで、現在およそ1億丁が出回っているとみられます。人気の秘密は簡単な構造で、安価で信頼性が高く、手入れも簡単なことです。かつては反植民地、反帝国主義の解放闘争で大活躍した「革命」を象徴するような武器でした。冷戦時代にソ連が植民地の独立運動など西側に対抗する勢力に無償でどんどん配り、世界中に広まったためです。欧米のポップカルチャーでは今もゲリラ、というか「敵」を示すアイコンです。 しかし、ソ連体制が崩壊してロシアが誕生した後は、状況が一変します。膨大なカラシニコフの在庫は国家の管理をはなれ、利益だけを求める闇商人の手に落ち、紛争地で大量に売りさばかれるようになりました。特にアフリカの独裁者たちに銃を与えて天然資源を獲得する戦争ビジネスは、コンゴ シエラレオネ、アンゴラな
5月31日、アフガニスタンで5年間にわたりタリバンの捕虜になっていた28歳の米兵ボウ・バーグダールが釈放された。グアンタナモ基地に拘置されてきたタリバンのメンバー5人との捕虜交換が成立したのだ。ひと昔前のアメリカなら国中が喜びにわきたち、レッドカーペットを敷いてバーグダールを出迎えていたに違いない。メディアは多少の脚色をしてでも、長い拘留に疲れ傷ついたアメリカの若者をヒーローとして描く物語作りに躍起になったはずだ。 ところが、そうはいかなかった。口では「喜ばしいニュースです」と言いながら、ニュースキャスターたちの多くは、最初から腰が引けていた。右派でならすFOXニュースにいたっては、バッシングにすぐさま血道をあげ始めた。脱走者だという断言に始まり、タリバンに通じた裏切り者だという根拠のない説までがしたり顔で流された。オバマ大統領が捕虜交換のニュースを発表する時、ホワイトハウスに呼ばれて同席
地球温暖化の否定論者であるトップ科学者の一人が、化石燃料会社から受け取った莫大な資金援助を開示していなかったことが新しい調査で発覚しました。ハーバード・スミソニアン天体物理学センターのウェイ=ホック・スーン博士は、地球温暖化を軽視し、地球温暖化は人的活動が原因ではなく、人的な汚染による温室ガスよりも、太陽による影響の方が大きいと証言していました。上院環境公共事業委員会委員長の共和党議員ジェームス・インフォフを含む気候変動否定論者は、具体的な活動を拒否する際、スーンの見解を頻繁に引用しています。しかし、気候調査センターの調査で、スーンは過去10年間で、化石燃料企業や保守グループから120 万ドルの資金援助を受けていにも関わらず、科学論文でそのことを開示していなかったことが判明しました。資金提供者はエクソンモービル、米国石油協会、石炭火力発電のサザンカンパニーとチャールズ・G・コーク基金です。
YouTubeでも見られます 9月5日、ウクライナ政府は親ロシア分離派との停戦協定を交わしました。ウクライナ東部では6カ月にわたる戦闘で少なくとも2600人が死亡し、100万を超える人々が難民となりました。一方、欧米首脳は英国のウェールズでNATOサミットを開催中でした。数日前からウクライナの戦局は大きく反転し、分離派の反撃攻勢で政府軍は敗走し、唯一南部の要衝マリウポリのみを死守しています。NATOは危機に対応するため「即応部隊」の設置を決定しました。 コーエン教授は、停戦を歓迎しながらも、今後の和解交渉は困難を極めるだろいうと言います。米ロの代理戦争として始まった内戦ですが、たとえ両国が手を引いても容易にもとの鞘に収まるものではありません。キエフ政府の正統性のなさや東部2州の分離独立運動という政治問題だけでなく、ウクライナは経済的にも破綻しており、ロシアの支援抜きには立ち行かないのが実情
社会主義者のシアトル市議会議員、クシャマ・サワントにパキスタンの教育活動家で社会主義支持を表明しているマララ・ユスフザイのノーベル平和賞受賞決定について聞きました。2012年、銃を所持したタリバンの男がスクールバスに乗り込み、ユスフザイは頭部を銃撃されましたが、彼女は生き延び、女の子が学校へ行く権利を求める運動を継続しています。ユスフザイは英イングランドで療養中の傍ら、パキスタンのラホールで開かれた同国のマルクス主義者の会合に「社会主義が唯一の答えだと思っており、この戦いを勝利の結末に導くよう全ての同志に呼びかけます。これのみが私たちを偏狭と搾取から解き放つのです」とのメッセージを送りました。「彼女は当を得ていると思う。西洋の残忍な帝国主義の標的になり続けているあらゆる場所にとって…これらのありとあらゆるものに対する解決策はどこにあるのでしょうか。唯一の解決方法は資本主義を拒否するというこ
ミシガン州デトロイトから放送しています。この「五大湖の州」は、米国で最も長い淡水の沿岸線をもつ州のひとつです。ところが州民たちは、水を手頃な値段で使えなくなるのではないかという懸念を募らせています。デトロイト市の破算を監督する判事の一人が最近、市当局は水道料金を滞納する住民への水道供給停止を継続して良いという裁決を下したからです。この裁決に先立ち、判事は水へのアクセスは「強制力のある権利」ではないとの判断を示していました。市は数カ月前に数千戸に対する水道サービスの停止を開始し、住民や国連からの抗議を引き起こしました。報道によれば現在、デトロイトでは1日に350から400件の水道サービス停止が実施されています。同市の貧困率は約4割にのぼりますが、過去10年間で水道料金は119%、値上がりしました。住民の大半は、アフリカ系アメリカ人で、水道遮断の影響を被る人たちの3分の2は、子供のいる家族です
10周年を迎えたサンダンス映画祭ドキュメンタリー部門で初上映された映画『汚い戦争:世界は戦場だ』を制作した調査報道記者のジェレミー・スケイヒル氏と映画監督のリック・ローリー氏が、アフガニスタン、イエメン、ソマリアで拡大を続ける米国の秘密戦争について語りました。2期目を迎えたオバマ大統領は長期にわたる戦争を終結させると宣言したものの、国家機密特権や無人機爆撃を強化し、ブッシュ政権以上に戦争を拡大させた戦争政権だと語ります。 両氏はこのドキュメンタリー制作にあたり、アフガニスタン、イエメン、ソマリアでの米国の戦争の軌跡を追います。スケイヒル氏は、無人機爆撃を考案し「暗殺の帝王」と呼ばれるジョン・ブレナン氏をオバマ大統領がCIA長官に指名したことは「世界は戦場だ」という新保守主義の概念を象徴していると指摘します。米国の暗殺者リストは膨大な数に増え、米国がテロリストもしくは脅威とみなす国に対してオ
神戸女学院大学翻訳チームのみなさんが、デモクラシー・ナウ!の動画に字幕をつけてくださいました。これは大学院生の方々の共同制作ですが、とってもお上手。字幕翻訳もカリキュラムに入っていて、けっこう人気の授業だそうです。これからが楽しみですね。 さて、彼女たちが取り上げてくれたのは、オバマ政権の秘密主義に敢然と立ち向かう情報公開法(FIOA)のスーパーヒーロー、ライアン・シャピロのインタビューです。オバマ大統領は2009年の就任直後には「開かれた政府」の理念を掲げ、情報開示に努め政府の透明性を高める方針を打ち出しましたが、この約束も例によって口先だけに終わり、現実には機密指定される政府文書が増え、情報公開は後退しています。 マサチューセッツ工科大学(MIT)の大学院生ライアン・シャピロは、1962年のネルソン・マンデラ逮捕において米国政府が果たした役割に関係する公文書の開示を要求しています。マン
国家安全保障局(NSA)の内部告発者、トーマス・ドレイクに話を聞きます。彼はNSAの浪費や不適切な管理、憲法違反の疑いのある活動を報道機関に告発したため、当局の迫害を受けました。スパイ防止法に違反したとして起訴され、最長で35年の投獄という危機に直面しました。でも実際の起訴状にはスパイ行為の具体的な指摘はなく、政府の機密文書を自宅地下室に保管していたという微罪しかありませんでした。結局、この微罪をドレイクが認めるかわりに他の容疑はすべて取り下げるという司法取引が成立し、昨年2011年に裁判は結審しました。当時司法省の首席報道官だったマシュー・ミラーは今ごろになって、「起訴したのは勇み足だった」などと話していますが、明らかに司法を使った内部告発者への嫌がらせです。 オバマ政権は内部告発者に対して米国史上かつてない迫害を加えており、ドレイクをはじめ6人もの元政府職員がスパイ防止法の違反で起訴さ
【2023/10/09/4】10月7日のハマスによる急襲とイスラエル側の反撃により多数の死傷者が出ています。『パレスチナ百年戦争』の著者ラシード・ハリディ教授に話を聞きました。彼は、かつてない規模で繰り広げられている今回の武力行使が、否応なく「パラダイム・シフト」をもたらす理由を説明しています。植民地大国はもはや、イスラエルがパレスチナ人に強いてきたように、人々を理不尽な状況に置きながら報復を受けずに済むだろうと期待することはできません。「そんな考えは、この2日半の恐ろしい出来事の結果、吹っ飛んでしまったのです」とハリディは言います。彼はガザの封鎖を「圧力釜」と呼び、爆発したのは必然だったと言います。 米国はイスラエルが「自国を防衛するために必要なもの」を提供するとして、すでに米国の軍事支援では毎年最大額を受け取ってきたイスラエルに対し、追加支援と軍需品の提供を約束しました。米国の軍艦や戦
YouTubeでも見られます 今でこそアメリカの知と良識の府として尊敬を集めているアイビーリーグの名門大学ですが、創立期から19世紀半ばにいたるまで、アメリカの負の歴史にどっぷりと関わっていました。MITの米国史教授のクレイグ・スティーブン・ワイルダーの上梓までに10年をかけた労作、Ebony & Ivy: Race, Slavery, and the Troubled History of America’s Universities. (『エボニーとアイビー:人種、奴隷制、そしてアメリカの大学の問題ある歴史』)は、ハーバード、イェール、プリンストンを初めとする東部名門校が、奴隷貿易で財をなした実業家たちの富を財源とし、北米大陸はもちろん、西印度諸島のプランテーションで大もうけした人々の子供たちを学生としてリクルートし、大学としての基盤を築いていった歴史を跡づけます。実際、多くの大学で学
2011年3月、東日本大震災が起こった直後に、米軍は被災地での災害救助・救援・および復興支援を目的とした援助活動を開始しました。一連の活動は「トモダチ作戦」と命名され、2万人を超える将兵に200機近い航空機、また24隻の艦艇が送り込まれました。それから3年後、作戦に参加して果敢に活動した海軍兵士や海兵隊員が、救援活動中の被ばくを理由に、東京電力を相手取って訴訟を起こしました。 告訴の詳細は、米軍が救助を開始した時点で原発のメルトダウンはすでに始まっており、米海軍が空母などを被災地に派遣することを東電が認識していたにも関わらず、大量の放射性物質の放出や、その時点での測定放射線量などの正しい情報を、東電が意図的に提供しなかった罪を問うものです。米国は当時、放射線の状況について問い合わせましたが、東電からは、「危険性はない」「すべては制御下におかれている」などの答えしか得られませんでした。原告で
1月に来日したエイミー・グッドマンと番組スタッフは東京からの3日間にわたる特別放送を行いました。その一部を字幕つきで紹介します。東京発の第1弾は、近隣諸国との関係を緊張させている安倍政権の右翼的政策について取り上げます。 未曾有の原発事故から3年近くが経つのに、いまだ事故収束は収束せず被害者の救済も復興も進んでいせん。そんな中で安部首相は議会での圧倒的多数を支えに政府への権力集中と軍国化に向けた政策を強引に進めています。上智大学グローバル・コンサーン研究所所長の中野晃一教授は、この状況をナオミ・クラインの説く「ショックドクトリン」の典型ととらえています。社会の不安と動揺につけ込んで、民衆がいやがる新自由主義改革を一気に進めるという政治手法です。日本ではすでに戦前に、似たような状況を経験しています。1923年の関東大震災を機に治安維持法が成立し、軍の暴走に歯止めがきかなくなっていきました。昨
ネタニヤフ政権下のイスラエル社会の変化について詳しく紹介するマックス・ブルーメンソールの新著Goliath: Life and Loathing in Greater Israel (『ゴリアテ-憎しみの国 大イスラエルでの生活』)が刊行されました。 ベンヤミン・ネタニヤフが二度目となるイスラエル首相の座に就任したのは、イスラエル軍がガザ地区で行った大規模な攻撃に対する国際的な批判が続いている2009年3月でした。第二次ネタニヤフ内閣は、労働党、カディマ党との大連立を目指しました。しかしカディマとの協議は成立せず、極右と言われる「イスラエル我が家」など右派4党に労働党を加えた連立内閣となりました。当時カディマ党の党首だったツィピ・リヴニは「イスラエル史上、最も右翼的な政権」と評しました。ブルーメンソールはイスラエル国会の全120議席中、75議席が右派の議員で占められていると述べています。
ウィキリークスが公開したTPP交渉の知財関連の章の草案をめぐるディベートです。TPP交渉の一番の問題は、なによりもまず秘密主義です。各国政府の交渉担当官の他には利権を持つ業界や企業の代表しか詳細を知ることができません。ウィキリークスによってようやく内容を知った、ということ自体が問題です。米国ではこれまでTPP交渉はほとんど注目されてこなかったのですが、これでようやくその危険性に対する関心が高まり そうです。ウィキリークスが取り上げたことで、その怪しさがいっそう強調されました。とくにアサンジの指摘によって、昨年春に大規模な市民運動の力で一気 に廃案に追い込まれたSOPA(オンライン海賊行為防止法案)やACTAからの継続性が強調されたので、ネット市民の警戒の目も一段と厳しくなるでしょ う。 公表された知的財産に関する章の草案は約3万ワードに及ぶ全文で、参加各国の賛否や提案まで書き込まれています
「急進派ジャーナリスト」を自称したI.F.ストーンは、20世紀アメリカを代表する調査報道記者でした。学究的とさえいえる緻密で徹底した調査によって政治スキャンダルを暴く独特のスタイルで、報道界に大きな影響を与えました。60年にわたる活動を通じて取り上げた問題は、ニューディール政策、第二次世界大戦、マッカーシズム、冷戦世界大戦、イスラエル=パレスチナ問題、公民権運動、ベトナム戦争と多岐にわたります。 有名な自費出版の個人ジャーナル『週刊I.F.ストーン』を始めたきっかけは、マッカーシー時代の言論弾圧の中で、公的医療保険の導入を阻む医療業界のボスを果敢に批判してマスコミから追放されたことでした。その結果は、先進国で唯一、今日に至るまで公的医療保険制度を持てない不幸な米国市民です。ストーンのような忌憚のない報道を主流メディアから排除することが、いかに危険であるかを、これがよく物語っています。 たっ
リチャード・アオキは日系アメリカ人でありながらブラックパンサー党の初代メンバー。パンサーの武装化を手助けした人物として伝説的な存在です。また1969年にはアジア系アメリカ人の活動家としてカリフォルニア州立大学バークレー校でストライキを指導しアジア系アフリカ人研究学部の設立に大きな貢献をしました。その彼がFBIの情報屋だったという疑惑が浮上し、アオキを高く評価する人々を驚愕させました。 キング師などに代表される非暴力の公民権運動の影で語られることは少ないのですが、ブラックパンサーは20世紀のブラックヒストリーにおいて重要な意義をもっています。サンフランシスコのお膝元、マイノリティーが大半を占める郊外のオークランドでブラックパンサー党が誕生したのは、1966年。創設者は、同地のメリット大学の学生だったボビー・シールとヒューイ・ニュートンの2人でした。 ブラック・パンサー党は、人種偏見と警察の暴
ローマ教皇ベネディクト16世が2月28日に退位しました。ええっ、教皇の「退位」なんてありえないでしょ──と思ったら、いやいや1296年に半年だけのつなぎ教皇だったケレスティヌス5世というお方がいらっしゃいました。とはいえ、それは600年も前の話。やっぱり異例もいいとこです。いったい、何が起きているのでしょう? 近年のカトリック教会はスキャンダルまみれで、同性愛者や女性の司祭を認めない偽善性に加え、幼児性愛嗜好の神父たちによって多数の被害者が出ていることがドイツやアイルランドや米国で暴露されました。ベネディクト16世は早いうちから事態を知りながら、犯罪者をかばって組織的なもみ消しを図り、それが被害の拡大につながったようです。イタリア人のあいだでも教会不信は頂点に達し、教皇の退位を求めるデモも起きました。長い歴史を誇る組織が、ボルジア以来といわれる途方もない頽廃に陥ったことには、なにがしかの説
イリノイ大学教授のロバート・マクチェズニーは、インターネットは権力をもたない人々が平等に発言権をもち、大企業や政治権力と戦える「商業主義から自由なオアシス」とみられていた、と過去形で言います。真の民主主義が実現できる場、それがアーロン・シュワルツが信じたインターネットでもありました。 しかしインターネットは過去20年、特にこの5年間で大企業による商業資本が席巻し、根本的な変質が起きたとマクチェズニーはいいます。あふれる広告、そこから吸い上げられる個人情報。お店で現金で物を買うのに、いちいち身分証明書を出せと言われたら抵抗を感じる私たちも、アマゾンでは抵抗なく住所氏名電話番号を提供してしまう。 個人情報のみならずアカウントやIPアドレスで一人ひとりが監視される場にもなりました。また通信会社もメディアも寡占化され系列化されてしまいました。企業のニーズを満たすため、サイバーセキュリティー法案(C
米国政府が密かに行っている大規模な通信監視を暴露する内部資料が流出し、波紋を広げています。英国のガーディアン紙が6月5日、国家安全保障局(NSA)が米国の通信大手ベライゾンに国内外の利用者のすべての通信記録を提出するよう極秘で命じたと報じて以来、連日新たな暴露が続いています。6日にはグーグル、マイクロソフト、アップル、ヤフー、フェイスブックなど大手ネット企業9社の中央サーバーにNSAが直接アクセスして利用者の個人情報を入手する秘密プログラムPRISMの存在が明らかになりました。NSAの監視体制についてはこれまでも告発されてきましたが、動かぬ証拠となる内部資料がリークされたのは初めてです。マスコミも初めて大きく騒ぎ出し、ペンタゴン文書を超える破壊力を持つ米国史上最大のリーク事件です。6月9日、これらの内部資料を提供した人物が自ら名乗り出て、滞在先の香港のホテルでガーディアン紙のインタビューに
米国が支援していたグアテマラの独裁者エフライン・リオス・モントのジェノサイド(集団殺戮)と人道に対する罪を裁く歴史的な公判が18日、突然幕を下ろしました。刑事裁判の判決が出る前に控訴裁判所が裁判を差し止めたのです。リオス・モントは、権力を掌握した1982年以降、グアテマラのイシル族地域で1700人以上の先住民が殺戮されたことに関して起訴されました。17カ月に及ぶ彼の支配はマヤ先住民に対するグアテマラの数十年におよぶ軍事攻撃の中でも最も血塗られた時期の1つとされています。マヤ先住民の犠牲者は結局数十万人にも及んでおり、18日の裁判中止決定は先住民犠牲者にとって大変な打撃です。調査報道ジャーナリストのアラン・ネアンは18日夜、グアテマラの軍関係者がこの裁判の判事と検事に殺害を仄めかす脅迫を行い、グアテマラ大統領のオットー・ペレス・モリナ将軍が介入して公判そのものが無効になったと伝えました。リオ
2012年5月20、21日、北大西洋条約機構(NATO)首脳会議が米国シカゴで開催されました。会場となったマコ―ミック・コンベンションセンターの外には、NATO、戦争に反対する数千人が集まり、抗議デモが行われました。NATO会場に向けて、従軍メダルを投げつけるセレモニーを主催したのは「反戦イラク帰還兵の会」と「平和を願うアフガニスタン人」(Afghan for Peace)のメンバーです。それぞれの短いメッセージに共通しているのは軍隊への不信・だまされたという憤り・イラク、アフガニスタンの人々への謝罪の気持です。アフガニスタンの人々に連帯し、本当の悪者は誰なのかを訴えます。
英国のマーガレット・サッチャー元首相が死去しました。87歳でした。サッチャーは英国初の女性首相として3期にわたり首相を務めました。「鉄の女」として知られたサッチャーは、米国のロナルド・レーガン元大統領とともに緊縮経済の代名詞となりました。彼女は、新自由主義(ネオリベラリズム)を批判する人びとに「代案はない」と断言したことでも有名です。ストライキを行う鉱山労働者との長い闘いは、英国の組合運動に大打撃を及ぼし、民営化の波をもたらしました。外交政策では、サッチャーはアルゼンチンとのフォークランド紛争を進め、チリの独裁者アウグスト・ピノチェトに対する決定的な支援を行い、南アフリカのアパルトヘイト(人種隔離政策)を支持してネルソン・マンデラを「テロリスト」と呼んでいたのは有名な話です。サッチャーの遺したものについて、パキスタン系英国人の政治評論家、ライター、活動家でニュー・レフト・レビューの編集者で
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