ヒサルキの真相 こんな所でヒサユキの名前に会うとは、実際のところ驚いている。 彼女の事について真相を伝えるのは私としても心苦しいが、 だがこの様に詮索を続けさせるのは寧ろ彼女にとっても辛いことだろう。 そのため、ここで私は真相を明かそうと考えるが、その前にこれを読む者には一つの心構えを御願いしたい。 すなわち、彼女については、その一切を忘れてしまうこと。 これは、貴方と彼女のためである。 では、始めよう。 話は昭和十九年に遡る。 ここは若向きの掲示板であるだろうから、昭和年号で表記しても余り感興は沸かないかも知れない。 ならば、1944年としたらどうだろうか。 そう、日本が敗北する一年前のことである。 戦火は日増しに激しくなり、私の在籍していた帝国大学大学院でも、 文系ばかりか理系までも学徒出陣を余儀なくされていた。 そんな頃の話である。 私は民俗学を専攻しており、その研究主題は「鬼」であ