サクサク読めて、アプリ限定の機能も多数!
トップへ戻る
猫
formosanpromenade.blog.jp
なぜ、この書き込みが間違っているのか? 事実関係から言えば、1911~1912年の時点で台湾は日本の植民地統治下にあり、清朝/中華民国の領土ではなかった。それから、立場の相違によって態度の取り方も異なる。第一に、台湾独立派は「台湾」という自前の独立国家樹立を目指している。「中華民国」は彼らを抑圧してきた外来政権という位置づけであり、10月10日は彼らにとっての建国記念日ではない。第二に、中華民国護持派からすれば、逆に中華民国の範囲を台湾に狭めてしまうのはおかしいという話になる。第三に、中国からすれば台湾建国=台湾独立という言辞は許されない。第四に、日本政府は中国側の面子を立てながら、実質的に台湾との交流を深めようとしている。複雑な中台関係の中、「台湾建国」という敏感な表現が不用意に飛び出すのは好ましくないだろう。要するに、この書き込みは誰の得にもならない。 もちろん、実際問題としては外交問
本館ブログ(書評等):ものろぎや・そりてえる(http://barbare.cocolog-nifty.com/) ツイッター:https://twitter.com/troubadour_k (運営者:黒羽夏彦 /黑羽夏彥/KUROHA Natsuhiko 2014年1月開設) 台湾に神様として祀られた日本人がいる、というのは一部の台湾ファンでは有名な話である。台湾のいわゆる「親日」感情と結びつけたがる向きもあるが、そういう解釈はちょっと強引であろう。台湾社会にも固有の習俗的ロジックがあるわけだが、その一部が切り取られて、日本側の「親日台湾」幻想と奇妙に共鳴してしまったところにこの問題の複雑さがある。そこには日台双方において一種の同床異夢と言うべきズレがあり、それ自体が一つの社会現象として捉えるべき問題である。 では、なぜ「親日」と単純には解釈できないのか? それは台湾社会における民間信
本館ブログ(書評等):ものろぎや・そりてえる(http://barbare.cocolog-nifty.com/) ツイッター:https://twitter.com/troubadour_k (運営者:黒羽夏彦 /黑羽夏彥/KUROHA Natsuhiko 2014年1月開設) 昨晩(2020年7月30日)、李登輝・元総統が入院先の台北榮民総医院で亡くなられた。まずは深く哀悼の意を表したい。1923年生まれだから、97歳。その前日からネット上で「死去したのではないか」という噂が出回っていたが、台湾團結聯盟が声明を出して否定するという一幕もあった。おそらく容体の急変で病院周辺が慌ただしい様子を見せたことからそのような情報が出てきたのだろう。30日の午前中には蔡英文・総統、頼清徳・副総統、蘇貞昌・行政院長らが急遽、日程をキャンセルして李登輝のお見舞いに訪れており、やはり切迫した状態だったこと
本館ブログ(書評等):ものろぎや・そりてえる(http://barbare.cocolog-nifty.com/) ツイッター:https://twitter.com/troubadour_k (運営者:黒羽夏彦 /黑羽夏彥/KUROHA Natsuhiko 2014年1月開設) 2020年6月6日、韓國瑜(国民党籍)高雄市長に対するリコール投票が実施された。投票時間は午前8時から午後4時まで、即日開票され、午後5時を過ぎた時点で結果が判明した。投票成立のためには投票率25%以上が必要で、同意票が不同意票を上回り、かつ高雄市内の全有権者数のうち四分の一(57万4996人)を上回ればリコールが成立する。投票結果を見ると、投票率は42.14%で、市長罷免への同意は93万9090票、反対は2万5051票、無効5118票となっており、韓市長に対するリコールは成立した。事前の世論調査等を見ていると、
本館ブログ(書評等):ものろぎや・そりてえる(http://barbare.cocolog-nifty.com/) ツイッター:https://twitter.com/troubadour_k (運営者:黒羽夏彦 /黑羽夏彥/KUROHA Natsuhiko 2014年1月開設) 先日、日本統治時代台湾をめぐる「親日台湾」言説には同床異夢の誤解が目立つという趣旨のことをツイッターに書き込んだところ、割合と評判が良かったので、こちらのブログでも補足しながら整理しておく。この問題は、台湾と深く関わっている人であれば、何がしかの形で少なくとも薄々は感じ取られているであろう。他方で、台湾好きであっても、その歴史的・社会的背景についてきちんと勉強したことのない人にはなかなか理解されていないように思われる。そこで、論点整理的に文章化しておくのも一定の意義はあると考え、試論的にメモしておく。 なお、「同
本館ブログ(書評等):ものろぎや・そりてえる(http://barbare.cocolog-nifty.com/) ツイッター:https://twitter.com/troubadour_k (運営者:黒羽夏彦 /黑羽夏彥/KUROHA Natsuhiko 2014年1月開設) 昨日(2018年11月24日)、台湾で統一地方選挙(九合一選挙)が実施されたが、台北市長選挙に関しては無所属の現職・柯文哲と国民党候補・丁守中との間で大接戦となり(民進党候補の姚文智はいち早く敗北宣言を出した)、本日午前2時頃になってようやく柯文哲の再選が確定した(ただし、得票数が僅差の場合[0.3%以内]、第二位陣営は再集計の申し立てができるため、丁守中陣営はその用意をしている模様)。他方、民進党が惨敗を喫した結果を受けて、蔡英文総統は兼任する民進党主席を辞任したほか、頼清徳・行政院長、陳菊・総統府秘書長もそれ
本館ブログ(書評等):ものろぎや・そりてえる(http://barbare.cocolog-nifty.com/) ツイッター:https://twitter.com/troubadour_k (運営者:黒羽夏彦 /黑羽夏彥/KUROHA Natsuhiko 2014年1月開設) 2016年1月16日に実施された台湾総統(大統領)・立法委員選挙は、事前から予想はされていたものの、総統には蔡英文・民進党主席が対立候補の朱立倫・国民党主席に300万以上の票差をつけて当選、同時に実施された立法委員選挙(定数113議席)でも、民進党は68議席を獲得したのに対して国民党は35議席に止まり、民進党の大躍進、国民党の大幅な退潮が際立つ。華人世界で初の女性総統誕生という点でも大きな話題となった。韓国のパク・クネ大統領など、アジア各地でこれまで誕生した女性大統領はすべて世襲なので、本格的な意味でアジア最初の
本館ブログ(書評等):ものろぎや・そりてえる(http://barbare.cocolog-nifty.com/) ツイッター:https://twitter.com/troubadour_k (運営者:黒羽夏彦 /黑羽夏彥/KUROHA Natsuhiko 2014年1月開設) 港千尋『革命のつくり方 台湾ひまわり運動──対抗運動の創造性』(インスクリプト、2014年) 中国との「サービス貿易協定」が台湾にもたらしかねない悪影響への懸念から世論の反発が強いにもかかわらず、与党・国民党は多数を占める立法院(国会)でまともな審議もしないまま強行採決しようとした。ふとしたスキをついて学生グループが立法院に入り込んで座り込んだところ、世論の大きなバックアップを得たこの占拠活動は585時間の長きに及んだ。このいわゆる「ひまわり学生運動」は、最終的には王金平・立法院長の仲介で終息を迎えることになる。
本館ブログ(書評等):ものろぎや・そりてえる(http://barbare.cocolog-nifty.com/) ツイッター:https://twitter.com/troubadour_k (運営者:黒羽夏彦 /黑羽夏彥/KUROHA Natsuhiko 2014年1月開設) 11月29日に台湾で実施された統一地方選挙(六大直轄市長をはじめ9つのレベルの選挙が同時に行われるため「九合一選挙」と呼ばれる)は2016年に予定されている総統選挙の前哨戦と位置づけられているため、事実上、国政選挙並みの盛り上がりを見せていた。選挙結果を見た直後の印象論なので不正確の誹りをまぬかれないだろうが、現時点で考えられる点をメモしておきたい。 馬英九政権の支持率は極端なまでに低迷したままである。今年3月に大きなうねりを見せた「太陽花学生運動」で示されたように国民党の大陸政策への不信感も根強く、食品安全、貧
過去の記事については、総目次をご覧ください。 1.前置き ここで書くことの目的は、台南という地域レベルにおける投票結果からうかがえる変化を、中央レベルと連動させながら理解したいという点にある。視点を換えれば、地域の視点から台湾社会全体における変化の一側面を逆照射させることもできる。 今回の台湾の総統・立法委員選挙に関する総括としては、小笠原欣幸先生が「台湾の人たちは次の4年をどのように選んだのか」(東洋経済オンライン、2024年1月17日)で的確に整理されているので、まずはこちらをお読みいただきたい。小笠原先生が書かれた中で重要な論点を私なりに整理すると次の通りである。 ・選挙戦の最大の争点は、民進党長期政権の是非。 ・国民党は「戦争か平和かの選択」と位置づけて争点化を図ったが、蔡英文路線の継続を掲げた頼清徳が当選したので、国民党の外交防衛政策が支持されたとは言えない。 ・柯文哲が中間派を
本館ブログ(書評等):ものろぎや・そりてえる(http://barbare.cocolog-nifty.com/) ツイッター:https://twitter.com/troubadour_k (運営者:黒羽夏彦 /黑羽夏彥/KUROHA Natsuhiko 2014年1月開設) 従来、大陸へ渡った台湾人についての研究は抗日運動に従事した点に重きが置かれていた。すなわち、台湾出身だが大陸へ行き、国民党と共に台湾へ戻ってきたいわゆる「半山」が歴史的正統性の観点から高く評価された。他方で、対日協力者、すなわち「漢奸」の疑いがある者については、史料上の制約ばかりでなく、政治的タブーになっていたことから研究が遅れており、本格化したのは1987年に台湾で戒厳令が解除されて以降のことである。 中国大陸へ渡った台湾人の動機を類型化してみると、①進学(台湾人が台湾で高等教育を受けられる機会は乏しく、また日
本館ブログ(書評等):ものろぎや・そりてえる(http://barbare.cocolog-nifty.com/) ツイッター:https://twitter.com/troubadour_k (運営者:黒羽夏彦 /黑羽夏彥/KUROHA Natsuhiko 2014年1月開設) 台湾中部の都市、嘉義の市街地を一日かけて歩き回ったことがある。嘉義駅は市街地の西端に位置しており、距離感をつかむため、下車したらまず東端の嘉義公園までまっすぐ移動した。ここは日本統治時代から整備されていた、台湾で最も古い公園の一つである。 園内にいくつかイーゼル型の展示パネルが設置されているのが目を引いた。合わせて九ヶ所。それぞれのパネルでは嘉義出身の画家、陳澄波が嘉義公園で描いた油彩画が紹介されている。この公園に生い茂るガジュマルなど南国独特の木々が縦横に枝葉を広げている光景を目の当たりにしていると、陳澄波が描
本館ブログ(書評等):ものろぎや・そりてえる(http://barbare.cocolog-nifty.com/) ツイッター:https://twitter.com/troubadour_k (運営者:黒羽夏彦 /黑羽夏彥/KUROHA Natsuhiko 2014年1月開設) 太平洋戦争の勃発も目睫に迫った一九四一年七月、台北で『民俗台湾』という雑誌が創刊された。刊行の中心となったのは池田敏雄という人物。彼は公学校(台湾人向けの小学校)教諭だった頃から台北の下町・艋舺(現在の萬華区)に住み込み、庶民文化にすっかり馴染んでいたほどの台湾びいきであった。 南進の前線基地と位置付けられていた台湾では戦時色が日増しに色濃くなりつつあり、陰に陽に台湾人の「日本人」化を推し進める、いわゆる「皇民化運動」が展開されていた。台湾人の民俗文化を記録することは、見方を変えれば日本人との文化的相違を際立たせ
このページを最初にブックマークしてみませんか?
『ふぉるもさん・ぷろむなあど』の新着エントリーを見る
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く