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ブックレビュー
blog.goo.ne.jp/nityshr
水林章「サイードとともに読む『異邦人』」(『みすず』2005年6月) この中で水林章さんも自戒の念をこめた風に回想しているが、私もカミュの作品を卒業論文で取り上げたけれども、実存主義や構造主義の嵐のふきあれる時代に、とてもサイードのように、被支配者の側から植民地問題を見る視点でもって、カミュの作品を批判的に読むということはできなかった。 当時、といっても私の場合は水林さんとよりもちょっと遅くて、1970年代の中ごろになるが、そういうちょっと遅れて来た時代においてさえも、まだカミュを読むということは、ムルソーの無関心という態度を現代の文明化社会、あるいは構造的疲労をきたしていた社会にたいする批判のありようの一つとして、意味を認めていたのだろうと思う。だから、カミュの『異邦人』や『ペスト』などの作品がアルジェリアの乾いた風土にその舞台を置いているということも、それはムルソーのような無関心を生み
根岸/三浦編『音楽学を学ぶ人のために』(世界思想社、2004年) このシリーズはこれからいろんな分野を専門的に勉強・研究していこうという学生にとって俯瞰的な視点からの見取り図みたいなものを提供していこうという主旨から編集されているようだが、私のように音楽学を専門に勉強してきたわけではないけれども必要に迫られてあっちをかじりこっちを眺めてきた人間にとっては、なかなか面白いものだった。 といっても西洋古代の音楽論からポップ音楽までを論じているそれぞれの章を全部読む必要はなく、興味に引かれて、つまみ食いをしてもいいようにできているので、これまた便利だ。面白かったものをピックアップして紹介しておく。 Ⅱ-3.岡田暁生「オペラと効果の美学」 やはり基本的に面白い視点をもって音楽を見ている人の書くものは、視点がぶれないので、どれを読んでも面白い。たとえば、内田樹の書くものがそうだし、水林章のものがそう
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