東大の市野川容孝氏を中心とする研究グループが行った、6回分の研究会(基調報告と討議)をまとめた書。「社会的なもの」を復活もしくは根付かせるために何をすべきで、何を考えるべきなのか、真剣に討議しているのは分かるが、ああでもないこうでもないとの「ないものねだり」をしている印象が強い。「社会的なもの」の敵を「リベラル」に置いているが、この「リベラル」もまた多義的だしな。時々、マイナーな学者や書名などが出てきて戸惑うが、それを勉強する気にもあまりならない。 この本も上と同じナカニシヤ出版の書だが、こちらもどうも・・・。3.11を論ずる本は多いが、本当に(特に被災者にとって)必要なものなのか、疑問を感じざるを得ない。例えば本書の巻末の6章は「原子力事故の途方もなさをいかに理解するか」と題されているが、本当に「途方もない」ことを前提としていいのか?私の見方では、約2万人の死者を出した津波の方が途方もな