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コーヒー沼
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<概要> ウラン精鉱(イエローケーキ)から六フッ化ウランを製造する過程をウランの転換という。イエローケーキ、二酸化ウラン、四フッ化ウランの形態を経て製造される。 六フッ化ウランは、温度、圧力の条件に応じて、気体、液体、固体に変化する。 <更新年月> 2009年03月 <本文> ウラン精鉱から六フッ化ウランを製造する過程を、一般に転換という。 六フッ化ウランは、ウラン精鉱から二酸化ウラン、四フッ化ウランを経て製造される。 六フッ化ウランは、温度と圧力の条件によって、気体、液体、または固体に変化し、三形態が共存する三重点(64.02℃,1137,5mm−Hg)を有する(図1参照)。常温、大気圧では個体であるが、約56℃で昇華して気体となる。 主要工程は上述のとおりであるが、具体的な製造方法は4種類あり、詳細において異なっている。それらについて、次に述べる。なお、参考までに世界の転換工場の容量と
ATOMICAは原子力に関連する幅広い情報を提供するインターネット上の百科事典です。 (最終更新日:2023年09月12日) 【お知らせ】 平成31年3月14日より、ATOMICAは国立研究開発法人 日本原子力研究開発機構(JAEA)が運営しています。 【更新内容】(2023/09/12) ●原子力用語辞書 ⇒構成番号:IAEA(国際原子力機関) を修正しました。 【更新内容】(2023/09/05) ●原子力用語辞書 ⇒構成番号:ECCS(非常用炉心冷却装置) を修正しました。 【更新内容】(2023/08/28) ●IAEAの情報交換と研究活動 ⇒構成番号:13-03-02-01 を修正しました。 【更新内容】(2023/08/28) ●国際原子力情報システム(INIS) ⇒構成番号:13-01-01-23 を修正しました。 【更新内容】(2023/06/21) ●緊急時モニタリング
<概要> 第二次大戦中の米国の原爆開発・製造計画をいう。1938年暮のドイツにおけるウランの核分裂発見を契機に、米国内各地の大学や研究所でも核分裂に関連する研究が一斉に開始された。1939年秋に第二次世界大戦が始まると、ドイツで原爆研究が開始されているという情報がもたらされ、ドイツが先に原爆を手にすれば世界がファシズムに制されるとの危機感が高まった。こうした危機感を背景に米国でも原爆研究が始まり、1942年9月には本格的な国家軍事プロジェクト、すなわち「マンハッタン計画」(Manhattan Project)へと発展していった。その後原爆開発は急速に進み、巨大なウラン濃縮工場がテネシー州オークリッジに、またプルトニウム生産用の原子炉と化学分離工場がワシントン州ハンフォードに建設された。これらの巨大施設は1944年秋から翌年春にかけて次々と完成し、原爆の原料となる高濃縮ウランやプルトニウムの
Organically Bound Tritium、OBT 植物中に取り込まれたトリチウム水は、光合成により有機化されると、葉、実および根などに蓄積される。このように組織と結合したトリチウムは有機結合型トリチウムと呼ばれる。光合成による有機結合型トリチウムの生成は、植物の種類や成長の段階によって異なる。有機結合型トリチウムには、組織内に存在する自由水(組織自由水)と容易に交換可能な交換型トリチウムと有機物の炭素と強く結合している非交換型トリチウムの2種類がある。国際放射線防護委員会(ICRP)が提示しているトリチウムの化学形別の線量係数(Sv/Bq)、すなわち単位摂取放射能当たりの実効線量では、吸入および経口摂取のいずれの場合もトリチウム水(HTO)の線量係数は、トリチウムガス(HT)の10000倍となっている。植物等の組織と結合した有機結合型トリチウム(OBT)の線量係数はトリチウム水(
<概要> 一般に発電用原子炉の寿命は30年から60年程度と見込まれている。原子力平和利用開始の初期に建設された発電炉の幾つかは運転を停止し、また、事故や経済性の観点から寿命を迎える前に運転を停止した発電炉も幾つか存在する。世界全体で運転を停止し廃止措置される発電炉は、2015年8月時点で小型のパイロットプラントを含め156基に達する。このうち、現在までに解体の完了した発電炉は23基であり、残りの多くは、解体中、安全貯蔵準備のための工事中、あるいは安全貯蔵中である。米国、フランス、イタリア等では、運転停止した後の解体開始時期を早める方向に進んでいる。 <更新年月> 2015年12月 <本文> 商業用原子力発電施設(以下「発電炉」という。)は、2015年1月時点で、31カ国において431基が運転中であり、また建設中のものが76基、計画中のものが104基ある。 一方、2015年8月現在までに停止
<概要> PWR原子力発電所の起動操作は、一次冷却材ポンプの運転による入熱および加圧器ヒータの投入による一次冷却材の昇温昇圧からスタートする。定格温度・圧力に到達したら、ホウ素濃度希釈および制御用制御棒クラスタの引抜きにより臨界操作を行う。臨界に達した後、さらに制御用制御棒クラスタの引抜き操作およびホウ素濃度の希釈により原子炉出力を上昇させ、二次系の蒸気の供給を開始する。 停止操作は、ほぼ起動操作の逆手順で出力を低減していく。最初にタービン負荷を減少させ、これに追従して、ホウ素の濃縮および制御用制御棒クラスタの自動挿入により原子炉出力を低下させる。制御用制御棒クラスタは、約15%出力で自動制御から手動制御に切り替える。その後、出力を徐々に下げ零出力、ついで未臨界状態にする。低温停止ホウ素濃度とするため、降圧、降温の前にホウ酸を注入する。 <更新年月> 2010年01月 <本文> 図1に11
<概要> 発電用軽水炉が通常運転時に環境に放出する放射性物質によって、周辺の公衆が受ける線量を合理的に達成できる限り低く保つための努力目標として定めた線量目標値およびその適用について説明している。 (昭和50年5月13日原子力委員会決定、平成13年3月29日一部改訂;原子力安全委員会) (注)東北地方太平洋沖地震(2011年3月11日)に伴う福島第一原発事故を契機に原子力安全規制の体制が抜本的に改革され、新たな規制行政組織として原子力規制委員会が2012年9月19日に発足した。本データに記載されている線量目標値に関する指針については、原子力規制委員会によって見直しが行われる可能性がある。なお、原子力安全委員会は上記の規制組織改革に伴って廃止された。 <更新年月> 2007年09月 <本文> 1.線量目標値 発電用軽水炉が通常運転時に環境に放出する放射性物質によって、周辺の公衆が受ける線量を
<概要> 欧米諸国における放射性廃棄物の海洋投棄については、1946年米国が太平洋西海岸から北西約80kmの北太平洋において最初に海洋投棄を実施した。後に、英国が実施したが、いずれも西側諸国における核兵器生産過程で発生した放射性廃棄物を投棄したものであろう。 原子力平和利用が進むにつれてニュージーランド、ベルギーなど各国が別々に投棄していたが、1967年よりはOECD/NEAの下で各国が協力して投棄を行うことになった。その後、投棄海域周辺国の意向を考慮して1972年にロンドン条約が採択され、1975年に発効し、以後この条約の下で実施されることになった。周辺国の希望により、海洋調査の結果が出るまで海洋投棄は一時中止することになり、1982年以降は実施していない。 その後、政治的、社会的情勢の変化により、1993年第16回ロンドン会議において、放射性廃棄物の海洋投棄は全面的に禁止となった。 <
<概要> 一般人の管理基準の設定に当たっての基本的な考え方が国際放射線防護委員会の勧告などで示されている。その内容は、時の経過とともに時代背景を反映して変化してきた。最近では、放射線とリスクの関係がかなり明確になったことから、一般人が生活する上で受け入れている放射線以外のリスクレベルを参考に、自然放射線レベルの変動を考慮して管理基準を設定しようとする考え方が有力となっている。 日本の原子力発電施設では、昭和50年からALAP(現在はALARA)の考え方を取り入れて、法令の管理基準よりはるかに低い線量レベルに線量目標値や放出管理目標値を定め、管理基準に準じた取扱いで管理している。 (注)東北地方太平洋沖地震(2011年3月11日)に伴う福島第一原発事故を契機に原子力安全規制の体制が抜本的に改革され、新たな規制行政組織として原子力規制委員会が2012年9月19日に発足した。本データに記載されて
<概要> 安定ヨウ素剤投与は、放射性ヨウ素の吸入と摂取による内部被ばくを防ぐためにヨウ化カリウム等の安定ヨウ素を服用する対策である。安定ヨウ素剤の投与時期は、放射性ヨウ素の摂取が予測される直前又は数時間前から直後までが最も有効である。予めの投与では、摂取した放射性ヨウ素の90%以上が甲状腺に到達する前に排泄される。安定ヨウ素剤は放射性ヨウ素の摂取による内部被ばくの低減に関してのみ効果を有する。したがって、安定ヨウ素剤投与は原子力災害時の放射線防護計画全体の中で考慮される防護対策である。安定ヨウ素剤の服用で、まれに特異体質の人などに、アレルギー反応が出る場合が起こり得る。妊婦、新生児、甲状腺疾患既往者には医師が立ち会って服用させる特別の配慮が必要である。日本では原子力災害時に備えて、関連する地方自治体には安定ヨウ素剤が備蓄されている。 <更新年月> 2010年12月 <本文> 1.放射線防護
<概要> 放射線被ばくを伴う「行為の正当化(The justification of practice)」は、「防護の最適化(The optimization of protection)」及び「個人の線量限度(The dose limits for individuals)」とともに1977年国際放射線防護委員会(ICRP)勧告で提案された線量制限体系(The dose limitation system)の基本的原則の一つである。その内容は「放射線被ばくを伴ういかなる行為も、その導入が正味でプラスの便益を生むのでなければ採用してはならない」というものである。この原則は他の基本原則とともに、その後のICRP勧告においても堅持されている。 <更新年月> 2012年02月 <本文> 国際放射線防護委員会(ICRP)は放射線防護の目的を以下のように定義している。 (1)放射線被ばくを伴う行為で
<概要> 四国電力は、発電用加圧水型原子炉(PWR)を持つ電力会社との共通研究として、電力需要変動に備え出力調整(負荷変動)運転試験を伊方発電所2号機で昭和62年10月と63年2月の2回実施した。 試験の結果は良好で、各種のデ-タは運転管理目標範囲内であり、50%出力まで下げた後100%に戻す12-3-6-3運転方法による出力50%から100%の範囲の出力調整(負荷変動)運転は実施可能であることが確認された。 <更新年月> 1998年05月 (本データは原則として更新対象外とします。) <本文> 電力は使用者側の都合によって使用量(負荷)が大きく変動するので、供給側が負荷に合わせて電気出力を調整しなければならないという宿命を持っている。 我が国では、これまで原子力発電所が負荷の基底部分を受け持って定格出力一定の運転を続ける基底負荷運転を行い、負荷の変動にたいしては水力発電所や火力発電所
<概要> 環境負荷化合物の分解・除去に放射線が利用できる。特に、電子線およびガンマ線が排気ガス中の窒素酸化物(NOx)および二酸化硫黄等の除去、フロンガスおよび二酸化炭素の分解、水中有機塩素系化合物、芳香族化合物、および合成洗剤の分解除去、更に重金属イオンの還元除去等で幅広く研究されている。ここではいくつかの例を紹介し、環境負荷化合物の低減における放射線の利用について概説する。 <更新年月> 2006年07月 (本データは原則として更新対象外とします。) <本文> 現在、有機塩素系炭化水素、重金属イオンなどの有害物の汚染が地球規模で広がっている。また、オゾン層の破壊を助長するフロンガスと地球温暖化をもたらす二酸化炭素の濃度も大気圏で増加している。これらの有害物および環境負荷化合物の分解処理にガンマ線および電子線等の放射線が利用できる。 1.放射線を利用する排気ガス中の有害物の処理 排気
<概要> 消滅処理とは、毒性が強いあるいは毒性が長期にわたる放射性核種に中性子等を照射し、核変換を行い、安定あるいは、半減期の短い核種に変えてしまうことで、核変換処理ともいう。以下の方法が研究開発の対象になっている。 (1)高速増殖炉またはアクチノイド専焼炉における中性子照射によるアクチノイドの消滅処理 (2)加速器の陽子照射によるアクチノイドの核破砕処理および未臨界炉との組み合わせによる加速器駆動炉(ADS)による消滅処理 (3)加速器のガンマ線照射によるセシウム、ストロンチウム元素などの消滅処理 <更新年月> 2006年12月 <本文> 1)消滅処理の意義ならびに原理 使用済核燃料の再処理に伴って発生する高レベル廃棄物に含まれる有害な長寿命核種を何らかの方法で安定核種あるいは短寿命核種に変換すること、すなわち消滅処理が可能になれば、高レベル廃棄物の管理に新しい対処の余地を与えることにな
<概要> 静岡県・焼津港所属の遠洋マグロ延縄漁船「第五福竜丸」は、1954年3月1日未明(以下、日本標準時)太平洋マーシャル諸島・ビキニ環礁東方海上160kmの公海で操業中に米国がビキニ環礁で実施した水爆実験による放射性降下物(珊瑚礁が破壊された細かいチリと核分裂生成物を含む白い灰で、通称「死の灰」と呼ばれる)に見舞われ、船もろとも白い灰を被り乗組員23名は高濃度の放射性降下物で汚染した。異常を感じた第五福竜丸乗組員は操業を打ち切り、全速力で焼津港に向かい3月14日に帰港した。この間、乗組員は放射線による火傷、頭痛、吐きけ、眼の痛み、歯茎からの出血、脱毛など急性放射線症状を呈し、帰港後「急性放射線症」と診断されて東京大学附属病院および東京国立第二病院(現在の国立国際医療センター)に入院した。23名の被ばく線量は個人により異なるが全身線量で最低1.7Gy最大6.9Gyと評価された。通信士の久
<概要> 1895年にレントゲンによってエックス(X)線が発見されたことをもって放射線の歴史の始まりとすれば、人類の放射線障害の経験はそれと殆ど時を同じくして始まっている。これに対し、少しずつではあるが初めは個々の場において、次いで国、学会など種々のレベルで放射線防護が考えられ実施されるようになり、1928年には国際X線ラジウム防護委員会が発足、1950年には国際放射線防護委員会(ICRP)へと改称した。その後ICRPは、世界各国の放射線防護の基本的考え方と実施法に対し指導的役割を果たしてきている。 <更新年月> 2011年01月 <本文> 人類の放射線障害の経験はX線の発見とほとんど時を同じくして始まったといえるが、その防護、特に被ばく線量を制限して放射線障害の防止を行うようになるまでにはかなりの時間を要した。すなわち、1895年末のレントゲンによるX線の発見から数ヵ月つまり1896年1
<概要> ラドン(Rn)は、順次に連鎖的に壊変するウランやトリウムの放射性系列に属する希ガス元素である。存在する元素の同位体は、すべて放射性で安定核種が存在しない。最も寿命の長いラドン(222Rn)はラジウム(226Ra)の壊変で生成する。222Rnやトロン(220Rn)は自然環境中の至るところに存在し、地表で生活する人の自然放射線被ばく量のおおよそ半分がラドンによるという。その一方で、ラドンにはトレーサ利用や地震予知の可能性を探る材料の一つになるのでは、との期待もあり、効用をうたう温泉への入浴という親近感もある。ここでは、ラドンの成因とラドンによる人の放射線被ばくについて記し、ラドンの利用にも触れる。 <更新年月> 2005年04月 <本文> 1. ラドンの発見とその性質 ラジウムを研究していたラザフォード(E.Rutherford)とドルン(F.E.Dorn)が、1900から1901年
<概要> 所定の燃焼を終了した核燃料を使用済燃料といい、使用炉、燃焼度、比出力、初期濃縮度等によって燃料組成(核燃料物質、核分裂生成物及び壊変生成物の含有量など)が異なる。組成核種の多くは放射性核種である。核燃料の組成変化に伴って炉心の反応性が低下し、燃料構造材の性質も変化するので、所定の燃焼度に達すると新燃料と取替える。使用済燃料は放射線と壊変エネルギーを放出しながら組成変化を続ける。その取扱には遮蔽と熱除去が必要である。 <更新年月> 2021年11月 <本文> 1.使用済燃料とは 原子炉内で、所定の燃焼(核分裂)を終了した核燃料を使用済燃料という。 事情により早目に炉心から取出された燃料も、核分裂を経験していれば使用済燃料と呼ばれる。使用済燃料を照射済燃料ということもある。 2.使用済燃料の性状 (a)燃焼度 どこまで燃焼が進行したかを表現するのに燃焼度という用語を使い、発電炉では核
<概要> 放射線防護機材(マスク、手袋、衣服等)は、放射性空気汚染物質あるいは表面汚染物質から人体表面の汚染と体内被ばくを防護するために使用される防護機材である。いずれも個人が着用して使用されるもので個人保護具とも呼ばれる。防護の対象となるものは、多くの種類の放射性エアロゾルとガス及び表面汚染である。これらの防護機材は、一般労働衛生上の保護具としての役割も同時に担っている。 <更新年月> 2001年03月 (本データは原則として更新対象外とします。) <本文> 放射線防護機材(マスク、手袋、衣服等)は個人が着用し、作業に伴って発生するあらゆる放射性空気汚染物質あるいは表面汚染物質から人体表面の汚染と体内被ばくを防護するために使用される。防護の対象となるものは、多くの種類の放射性エアロゾルとガス及び表面汚染であり、代表的なものに核分裂生成物エアロゾル、プルトニウムエアロゾル、放射性ヨウ素
<概要> ロシア連邦(旧ソ連邦)によって北洋海域および極東海域において放射性廃棄物の海洋投棄が行なわれていた。北洋海域へ投棄した放射性廃棄物は北洋艦隊およびムルマンスク船舶公社の原子力艦隊からのものであり、1959年から1992年にかけて、液体廃棄物で879TBq(23.8kCi),固体廃棄物で574TBq(15.5kCi)が投棄されている。極東海域へ投棄した放射性廃棄物は太平洋艦隊からのものであり、1966年から1992年にかけて、液体廃棄物で456TBq(12.3kCi),固体廃棄物で252.0TBq(6.8kCi)が投棄されている。 ロシア連邦大統領府が1993年4月に公表した政府白書「ロシア連邦領土に隣接する海洋への放射性廃棄物の投棄に関する事実と問題(仮訳)」からの抜粋を示す。 <更新年月> 2003年01月 (本データは原則として更新対象外とします。) <本文> はじめに.
<概要> 土壌には非常に多くの微生物が存在している。これらの微生物が物質循環の要所で重要な働きをし、土壌生態系の基礎を作り上げている。天然に存在している放射性核種や偶発的に環境中に放出された放射性核種の環境中での循環も、微生物と無関係ではない。微生物細胞表面に吸着する放射性元素もあれば、細胞内に取り込まれ濃縮される元素もある。微生物の作用により、土壌から放射性核種が溶脱したり、気化して大気中へ拡散することもある。ここではテクネチウム99(99Tc)と放射性セシウム(137Cs、134Cs)を例に、土壌微生物による放射性核種の取り込みについて紹介する。 <更新年月> 2005年09月 <本文> 微生物とは、肉眼でははっきりと認識できないような小さな生物の総称である。この中には、原生動物、菌類、微細藻類、細菌、古細菌、およびウイルスが含まれる(図1)。このように小さな生物、微生物は、土壌1グラ
<概要> 将来のエネルギー源として計画が進められている核融合(炉)にかかわる環境・生物影響、とくにトリチウムの人体への影響が注目される。トリチウムはトリチウム水(HTO)の形で環境に放出され人体にはきわめて吸収されやすい。また、有機結合型トリチウム(OBT)はトリチウムとは異なった挙動をとることが知られている。動物実験で造血組織を中心に障害を生ずることが明らかにされ、ヒトが長期間摂取した重大事故も発生している。 <更新年月> 2000年03月 (本データは原則として更新対象外とします。) <本文> トリチウムは水素の同位体で、最大エネルギー18.6keVで平均エネルギー5.7keVという非常に低いエネルギーのβ線を放出し物理的半減期は12年である。大気上層中で宇宙線中の中性子と窒素原子核との衝突によって生成する天然トリチウムが自然界の水循環系に取り組まれているとともに、核実験や原子力施
<概要> 二酸化トリウムコロイドを主剤とするX線 造影剤トロトラストは、わが国では広島、長崎の原爆に次ぐ大規模な放射線による健康障害をもたらした。体内に注入されたトロトラストは肝臓や骨髄などに沈着しα線を長年月にわたって放出する。数十年経過後、肝がん、肝硬変や白血病を発症し、死亡率も高いことが明らかにされている。 <更新年月> 2001年03月 (本データは原則として更新対象外とします。) <本文> 1895年、レントゲンによってX線が発見されて間もなくX線の透過力と写真作用は1915年頃から病気の診断に利用されるようになった。鮮明なX線写真を得るために造影剤が用いられるがヨウ素系の造影剤にくらべて、二酸化トリウム(ThO2)はきわめて勝れていることが明らかになった。当初は血管塞栓や痛みを伴うことが問題になったが、1929年にドイツのハイデン社が、二酸化トリウムのコロイド状水溶液を開発
<概要> 米国における放射線の健康等に与える影響の検討は、1946年の米国科学アカデミー(NAS)‐研究審議会(NRC)の原爆被害調査委員会(ABCC)に始まる。1954年にはNASに「原爆放射線の生物学的影響委員会(BEAR)」が設置され、遺伝学的影響、病理学的影響、気象学的影響、農業・食料への影響、放射性廃棄物の拡散と処分、及び海洋学的影響と漁業への影響を調査検討し報告された。この報告は、1959〜1970年の連邦放射線審議会(FRC)が発表する指針や米国の政策に大きな影響を与えた。1970年に発足した環境保護庁(EPA)は、放射線のリスク評価・連邦方針に関するより進んだ調査・検討を米国科学アカデミー(NAS)に依頼し、NASは研究審議会(NRC)に「電離放射線の生物影響に関する委員会(BEIR)を設置して対応した。その結果は、BEIR-I〜VIIの報告書で発表されている。これらの報告
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