かねて「パワポのプレゼンはダメ、手描きでいこう」というぼくだから、山中伸弥教授の手描きプレゼンにはハハンとした。だが彼のプレゼンの全貌を知ると、バァン!と打たれた。 まず手描きから。上が「涙を流す胚」で下が「腫瘍ができて涙を流すマウス」。 ES細胞研究で人間への応用を考えると「母胎で赤ちゃんに育つ胚を壊し、作らなければならない」ので人体実験に近い。ではマウスなど動物実験では、といってもマウスだって可哀想だ。だからiPS細胞を研究する予算をくださいと訴えた。審査員を動かし、文科省の役人も動かし、5年分の研究費の3億円をゲットした。 念のため他の科学者のES細胞研究のプレゼン資料も幾つか見てみたけど、みんな胚の形にこだわった画像や精密なイラストばかり。当然のようにパワポで、細かい字が多い。科学者だから仕方ないとはいえ、ねえ。 手描きのプレゼンはわかりやすさだけじゃない。直線じゃない、丸くて震え