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中部エリアを基盤とする三洋堂ホールディングス(HD)傘下の三洋堂書店(愛知県/加藤和裕社長)は2024年2月より、既存店の「スマ本屋三洋堂本新店」(豊田市)の夜間営業(午後9時~翌午前10時)を無人に切り替え、24時間営業している。顔認証システムのみの無人営業は日本初。書店減少が止まらない中で、あえてリアル店舗の存続にこだわる同社の戦略から、書店の生き残り策を探る。 減少を続ける書店数は1万件を割る 書店を取り巻く環境は厳しい状況にある。若者の本離れ、EC浸透による書籍購入リーチのネットシフト、それに伴う紙の書籍ニーズの低下がその大きな要因だ。 もともと、書店経営は薄利のビジネスモデルであり、多くの来店者がいることでなり立つ側面も大きかった。それだけに、環境変化は直接ダメージとなり、書店、特に街のちいさな本屋を直撃している。 日本出版インフラセンターのデータをみると、2024年3月時点の書
インフレ下で、デフレのものづくりをしているアパレル業界 Kwangmoozaa/istock 服の世界は、他のさまざまな工業製品と同様にコストプッシュ型インフレと言われているが、もの作りをしている側からしてみると、実は「完全なデフレ」である。 使う原料の量、縫製や編み時間を短くするためのものつくりの簡素化…… これらの結果、服はペラペラになってきて、また、ペラペラの服に消費者が慣れてしまったため、もとに戻すこともしないでいるからだ。まさにデフレなのである。私はこうしたトレンドの結果、「服文化」が日本から消えてゆくのではないかということを懸念している。 今ユニクロ一強なのは、日本の経済が停滞し国民が貧しくなってきたことも関係あるが、それ以上に、消費者が「服などペラペラのもので安く買えば良い」という具合に、買い方、使い方が「ペラペラな服」に慣れてしまったことにも大きな問題がある。 そうなると、
昨今、「服の生地がペラペラになってきた」という声をよく聞く。多くの人は、アパレル側のコスト削減の結果とみる向きが多いが、実はそれほど単純な話ではない。社会、経済、業界慣習、そしてトレンドが複雑に絡み合った結果なのである。どういうことか? Lemon Pie/istock 女性の社会進出と服の「軽量化」の関係性 1kg=1000円の糸があったとする。ここでニットの目付(めつけ:重さのこと)が300グラム(肉厚で重いニット)だったものが200グラムになると、素材のコストは300円程度から200円程度に落とすことができる。原価で34%のコストダウンの実現である。このことから「昨今の原料高を吸収するために目付を軽くしているのだ」と言う向きがあり、それは正しいことではあるが、実はそれはいくつもある要素の1つに過ぎない。 ファッション衣料の原料が軽くなったのは、「トレンド」だからである。コストダウンは
今回は、かつて日本のアパレル企業が大いに儲かっていた時代に行っていたことと、時代が変化するなか、ユニクロと無印良品が行ったことの対比を通じて、アパレルの本質に迫ってみたい。90年代以降の歴史を紐解きながら解説するので、なぜ業界の流れを正しく理解するうえでも役立つだろう。 Davslens Photography/istock かつては「ブランドタグ」をつけるだけでザクザク儲かった 1991年度、私は大学を卒業して総合商社イトマンへの入社が決まっていた。イトマンは繊維専門商社が安宅産業と合併した企業で、不動産、化成品、繊維などを事業軸とした総合商社の道を模索中だった。しかし、入社式目前、同社は経営破綻し、「戦後最大の経営犯罪」と呼ばれる大事故が起きた。人は離散し、海外の支店は次々と閉鎖。有能な人材は伊藤忠商事、丸紅などに商権ごと移籍していった。イトマンは大リストラを行い、4000億円の余剰在
──「AI Ready」を標ぼうするうえで、データ分析・活用を担う人材の比率など、定性的な目標はありますか。 土屋 前述のとおり、高度な専門知識を有する技術者を増やそうというわけではありません。ソースコードを書かずにシステム開発をするノーコード開発および、ソースコードの記述量を最小限にとどめてシステム開発をするローコード開発ができる人材の割合を全社員の5%とすることを目標に掲げています。人材がこれくらいの規模に増えて各部署に分散すれば、製品開発やロジスティクスなどそれぞれの業務に必要な情報系システムを部内で内製化できます。 成功した現場の取り組みを「戦略」として追認 ──「ChatGPT」をはじめとする生成AIの活用についてはどのように考えていますか。 土屋 23年後半から社員が個々の判断で活用し始めています。とくにクリエイティブの領域では利用が進んでいて、新ブランド「ワークマンキッズ」の
作業服チェーンの「WORKMAN(ワークマン)」やアウトドア・アスレジャーなどの機能性ウエアをも取り扱う「WORKMAN Plus(ワークマンプラス)」などを展開するワークマン(群馬県/小濱英之社長)。これまでエクセルを用いたデータ経営を推進してきたが、2021年から「AI Ready企業」を標ぼうし、プログラミング言語「Python(パイソン)」の活用により、データ分析をより高度化しようとしている。データドリブン企業として成功を収めている同社の現在地について専務取締役の土屋哲雄氏に話を聞いた。 「AI Ready企業」を掲げ社員のPython習得を推進 ──土屋専務はワークマン入社後、表計算ソフト「Excel」を用いて各従業員が販売や店舗運営に関するデータ分析・活用を行う「エクセル経営」を推進してきました。まずはその背景と意図について聞かせてください。 土屋哲雄(つちや・てつお) ●19
2023年12月20日、ブルーボトルコーヒーの新店舗「代官山カフェ」が東京・代官山にオープンした。同年内では唯一の新規出店で、しかも前回出店(神戸阪急カフェ/2022年8月)から1年3か月ぶりであった。 2015年に東京・清澄白河に第1号店を構えてから9年間で25店舗と、コーヒーチェーンでは異例ともいえるスローペースを貫くブルーボトル。およそ「成長」とは無縁のように思えるが、どのような判断軸をもとに出店や店舗運営の意思決定を行っているのか? ブルーボトルコーヒージャパン合同会社ジェネラル・マネージャーの伊藤諒氏に聞いた。 2022年、2023年内の新規出店は各1店舗のみ 代官山カフェ 東急東横線「代官山」駅前の複合施設「フォレストゲート代官山」。名前のとおり、森をイメージした緑豊かな小径を抜けた先に、ブルーボトルコーヒー(以下「ブルーボトル」)が昨年末にオープンしたばかりの「代官山カフェ」
タマゴのように丸い、これまでにないデザインの電動シェーバーが売れている。あって当たり前だった持ち手をなくしたパナソニック(東京都/品田正弘社長)の「ラムダッシュ パームイン」。2023年9月に発売され、想定を10倍上回る売れ行きを記録するヒット商品となった。どのようにして生まれ、どうブランディングしていったのか。ビューティ・パーソナルケア事業部 パーソナルブランドマネジメント部 国内マーケティング課 主幹の山本健司氏に話を聞いた。 パームイン ES-PV6A ぱっと見て、シェーバーだとわかる人はいるだろうか。第一印象はワイヤレスイヤホンのケース。その正体は5枚刃を搭載した手のひらサイズの高機能シェーバー、パナソニックの「ラムダッシュ パームイン」だ。生まれた背景は約6年前、ある技術担当者が電動シェーバーのヘッドに刃とモーターを内蔵した試作機を作ったことに端を発する。もともとパナソニックには
シリーズを通してご紹介してきた「トリプルメディアの近未来」。第3回の記事では、オウンドメディアの在り方と具体的なコンテンツについてご紹介しました。最終回となる今回の記事ではSNSの影響で大きく変化したマーケティングプロセスと、インフルエンサー活用に必要な知識についてご紹介しましょう。 SNSの登場で大きく変化したマーケティングプロセス これまで、マーケティングプロセスと言えばAIDMAに代表されるような認知から購入までの流れが重要で、多くの認知を獲得して分母を増やし、その中からいかに購入に繋げることができるかという一方通行的な考え方が主流でした。 しかし現在、消費者はTVCMに触れる機会が減るばかりか、SNS上ではステルスマーケティングを反射的に嫌うようになっており、企業から直接届く謳い文句には慎重になっています。そんな現在の消費者にアプローチするためには、認知・理解・興味などさまざまなマ
2022年11月、東京都渋谷区(AFP時事) 先週の5つの論点 この解決策を提言する 新年あけましておめでとうございます。 一年の計は元旦にあり。私は、毎年1月1日に都内の某神社に参り、6月31日に半期報告をしに神社に行き、12月31日は年度の目標に対する自分の評価を神社で行う。毎月1日はその月の方針を決め、毎週月曜日に一週間のスケジュールを確認して付加価値のでることは何なのかを見極め、毎朝7時にその日1日に高い付加価値を上げられることを決める。私は特に信心深いわけではないが、狙いを定め付加価値を出すためには何をすべきかを、最初に考えて行動する「習慣」を持っている。これを20年以上続けているわけだが、3年も経てば人間も変わってくる。すでにやっている人もいると思うが、ぜひ取り組んでいただくことをお勧めする。 さて、1月2日に公開された論考は2023年最終週に書いたものだったが、多くの人に読ま
セブン-イレブン、業務スーパー、マクドナルド──。街を歩くと目に入ってくるのがチェーンストアの看板だ。店舗数は数百、数千、なかには数万におよぶブランドもある。しかし規模に関係なく存在するのが「1号店」で、それを起点に後の躍進があるのは言うまでもない。今回は大阪府茨木市に残る、某チェーンの創業店「跡」を訪れるという話である。 現在、全国に460以上あるなか卯。定番は親子丼とうどん 看板だけが残っている? 阪急電鉄京都線の「茨木市」駅前──。「socio(ソシオ)」という古びた商業ビルの地階に今回の目的地がある。それは「なか卯」の創業店だ。 あらためてなか卯について紹介すると、親子丼、うどんなどのメニューが人気の飲食チェーン。同社サイトによれば、店舗数は462(2022年3月末現在)に上る。沿革には「1969年10月第1号店『なか卯茨木店』(手作りうどん店)を大阪府茨木市に出店」と記載されてい
名古屋発の「コメダ珈琲店」が、ローカルな喫茶店だというのは過去の話。すでに47都道府県への進出を果たし、ナショナルチェーンの地位を確立している。コロナ禍を通じて業績は今も好調、ビジネスモデルへの注目度も高い。そこで京都市内の店舗に足を運び、その独自の出店戦略や魅力などを地元民の視点から考えてみた。 京都でも人気があるコメダ珈琲店 平安京のメーンストリート 今回の行き先は、京都市中京区の「コメダ珈琲店 二条駅前店」。オープンは2010年12月。コメダにとって08年12月の八幡店(京都府八幡市)、10年5月の宇治店(京都府宇治市)に続く店である。 京都府3号店ではあるが、私の住む京都市という条件だと1号店になる。注目は、その立地。地元民から見ると大変興味深く感じる。 普通、有名な飲食店が京都市内に初進出する場合、「河原町」や「烏丸」といった賑やかなエリアに出る場合が多い。人が集まる繁華街やビジ
前回の記事で、オウンドメディア活用の重要性とその役割についてご紹介しました。今回はさらに深掘りしてアーンドメディア*を活用するためのオウンドメディアの在り方と具体的なコンテンツについて、ニトリの成功例を交えながら、考えていきましょう(本稿は全4回からなる「トリプルメディアの近未来」の第3回目です)。 *有料広告ではなく、かつ当該企業とは直接関係のないメディアや個人などの第3者が運営・発信する媒体のこと ニトリの成功にみる 小売マーケティングに求められるオウンドメディアの役割 ニトリはオウンドメディアとアーンドメディアをどのように活用しているかを調査した 口コミや比較、友人や知人の紹介など特にアーンドメディアを重視する若い世代は、能動的に情報を探すというより受動的に情報を受け入れて取捨選択を行うという形が主流になっています。さまざまなプラットフォームが混在し、情報が溢れている中で能動的に選択
今回のテーマは採用戦略である。優秀な人材の取り合いとなり、採用難の時代ではあるが、今ほど明確な「採用戦略」が重要なときはない。採用戦略なくして企業はもはや成長できない。どのように採用戦略を考え、どういう人材を採用していくべきか、具体的な要諦をまとめた。 Hiraman/istock 「私の会社は独特なので…」は 採用戦略がない企業の言い訳 中途採用市場が活況だ。コンサルタントのようなプロフェッショナル職種は、プロ野球選手と同様に年俸制で、一般サラリーマンがもらえないような報酬をもらう代わりに、簡単にクビになることもある。私が経験した極端なケースをいうと、まだマネージャだったころプロジェクトが始まる前に「上司とのプロジェクトの心構え面談」を行ったが、半年後には、「上司」と「部下」が入れ替わり、私は出世し、その人の「上司」となって、逆にその人の評価をしなければならなくなった。この面談は、日本企
今回は、三菱商事ファッションが事業分割し、衣料品製造販売事業を無印良品を展開する良品計画が引き継ぐことを表明したことが何を意味するか。その国内市場の大きな地殻変動が、実は「ユニクロ:C」が大いに市場を獲得する理由になる、つまりこの2つは全く関係していないようで、アパレルビジネスの近未来では関係しているのだということを解説したい。 (i-stock/Robert Way) 私は前回の寄稿で、商社のOEMは限界を超えており、意地でもOEMにへばりついている中高年達がハッピーリタイヤまでなんとか粘ろうとしている様を断じた。 時を同じくして、三菱商事ファッションが事業分割し、衣料品製造販売事業を無印良品を展開する良品計画が引き継ぐことを表明した。良品計画が引き継ぐ部門の売上高は328億円である。 今回の件はどう読めばよいのか、順を追って解説していきたい。 さて、三菱商事は実に面白い会社である。 『
アパレル産業の死期が迫っている。驚くべきは、現場の人間と話をしても「もうかりまっか?」と聞いても、未だに「ぼちぼちでんな」と悠長な返事が得ってくる。それでは、「比較的好調なんですか」と聞き返せば、「まあまあです」と答える。この台詞、どこかで聞いたことがないか。まさにMBAの教科書に載っている「茹でカエル」である。会社にいる人間は、自社の中しか見えないことが多く、世の中を俯瞰してみていない。今日は、日本のアパレル産業の実態について、15人の現場の人間からインタビューをとりまとめた現場に働く方達の客観的世界観を語りたい。 原料高により商社OEMは限界 Pavel Muravev/istock 米国の利上げによって、世界のマネーは米国に向かう一方、相対的に低金利政策を継続している日本の金利は世界で類を見ないほど低くなってきた。この結果、為替は150円(TTB 銀行が外国為替を買うレート)で、来月
「変わりたくても変われない」企業組織の実態 ponsulak/istock スタートアップは「ビジョナリー型」、クルージング期は「調整型」、ターンアラウンドは「独裁型」経営のように、企業の発展段階に応じて経営者の必要スキルが変わってくる。従来のような、「経営者(取締役)はサラリーマンの終着地点、頑張ったご褒美」というのは日本経済が右肩上がりで成長していたときの話。今は「経営」は「経営」で、きわめて難易度が高い専門職となっており、学生も「MBAをとれば、いずれ一生安泰な取締役になれる(に違いない)」と、本質的には自分のカラーと合ってないにもかかわらず、リスキリングが大はやりだそうだ。 考えてみれば当たり前で、今は、競争環境の大変革期であり、昔のような「どんぶり勘定」で経営をして良いはずもない。しかし、現実はどうか。改革が進めば進むほど、「その話題に触れるのは御法度だからだまっておけ」という忖
本日は「ナイスクラップ」などのアパレルに加え、雑貨業態の「3コインズ」を展開するパルグループホールディングスをテーマにあげる。同社の株価は実に絶好調で、1年半ほど前と比べると約3倍程度で推移している。同社好調の秘密を明らかにするとともに事業戦略上の課題をどう解決すべきかを提案したいと思う。 株式分割で株価が上がる理由 Henrik5000/istock まず株価とはいったいどういうものかについて、解説したいと思う。本論をわかりやすく理解するために必要なので、少しだけお付き合いしてほしい。 2021年2月、ファーストリテイリングの1株当たりの株価が10万円を初めて突破したことは記憶に新しい。同社の最低単元株数は100株なので、ファーストリテイリング株に投資するには、最低でも1000万円が必要になる。そのため、少額資産しか持たない多くの個人投資家にとっては極めて投資が難しい銘柄となった。このこ
中国では昨年、高齢者に対応したアプリ設計のガイドラインを制定し、各社はそれに沿った”高齢者向けアプリ”をリリースしている。そんななかで高く評価されているのが、中国のKFC(ケンタッキーフライドチキン)のアプリだ。 高齢者向けのポップアップ広告を禁止! スマートフォンは、高齢者にとっても生活に欠かせないツールになりつつある。日本でも60代、70代、80代以上のスマホ普及率は、それぞれ70.0%、40.6%、12.1%と利用が進んでいる(総務省・令和3年通信利用動向調査)。中国でも60歳以上の普及率が44.0%に上り、拡大の一途をたどっている。 こうしたなか、中国政府の主要行政機関の1つである工信部は2021年4月に、「モバイルインターネットアプリ高齢者対応ユニバーサルデザイン規範」というガイドラインを発表した。内容は多岐にわたるが、大きな軸となっているのは「使用文字は18ポイント以上」「ポッ
コンビニ大手のローソン(東京都/竹増貞信社長)が、書店併設型店舗ブランド「LAWSONマチの本屋さん」を続々オープンしている。直近では、2023年1月に「神戸ジェームス山店」(兵庫県神戸市)、同年2月1日に「田子町店」(青森県三戸郡)を出店。25年度中に100店舗まで拡大する計画だ。書店とコンビニを組み合わせた、新たな店舗フォーマットの出店の意図を担当者に聞いた。 ローソン町の本屋さん田子町店 書店併設型店舗を拡大する理由とは ローソンが書店併設型店舗ブランド「LAWSONマチの本屋さん」を開店したのは2021年のことだ。埼玉県狭山市に1号店である「狭山南入曽店」をオープンし、現在では8店舗を運営する。 同ブランドの店舗では、おにぎりや弁当、ベーカリー、デザートといった通常のコンビニの品揃えに加えて、20~30坪の書店コーナーを設け、約6000タイトルの本・雑誌を取り扱う。 立ち上げの意図
伊勢丹新宿本店の業績が急回復しているのは、個人客への注力が背景にある。そのため、2021年度には大幅な組織改編を断行。MD部門の販売機能と店舗の機能を統合する営業部門を新設し、顧客への対応力を強化した。さらに、豊富なインセンティブでカード会員を増やすなど、顧客の囲い込みを図る。カード会員の売上構成比は、2022年度に70%に達する見込みで、固定客の拡大で「過去最高水準の年間売上高3000億円をクリアしたい」と、栗原憲二・新宿本店長は意気軒高だ。 百貨店ならではのコンシェルジュサービスを実現 伊勢丹新宿本店外観 ――メーンターゲットをマスから個人客へシフトするため、MDを思い切って見直されたということですが、商品のカテゴリーの枠を取り払う(前編参照)ほかに、どのような取り組みをされたのですか。 栗原 カスタマーインでMDを再構築するには、お客さまと接している店舗の営業体制を強化することも必要
ファッション・プラットフォームZOZOTOWNを中核に、市場の大幅な縮小が進むアパレル業界において規模急拡大を続けるZOZO。その秘密と次なる成長の柱、そして資格について、22年3月期通期決算と23年3月期第2四半期期決算より分析したい。 ZOZOTOWNの売上を知っているか? まず、ZOZOTOWNの売上はいくらなのか? こんな初期的な質問に答えられる人が以外と少ないことに違和感をもっている人は少なくないだろう。例えば、22年3月期決算の数字を見ると(図1)、商品取扱高という名称で、5,088億円、4,621億円と記載されており、これをZOZOTOWNの売上と思っている人が多い。 図1 ZOZOの商品取扱高(同社決算説明会資料) しかし、損益計算書をみると(図2)、1647億円と、ZOZOTOWNがテナントからもらったと思われる手数料を売上として計上している。いわゆる今年から施行された「
「リードタイムが長期化してQR*が組めません」 こういった相談が増えている。前回のPLMと同様にメディアでは一切話題になっていないが、これが崩壊寸前ともいえるアパレル産業の生産現場の実態だ。今日は、商社とアパレルが行ってきた「南下政策」の代償として、日本がもはや世界の工場から無視されている実態とメカニズムを解説する。浮わついた話は評論家にまかせ、現実に目を向けて欲しい。 *クイックレスポンス、細かく生産を刻んで需要と供給をマッチさせる技術 andresr/istock SDGsの時代、「消費者が必要な時に必要な量だけ」は嘘 現在、日本のアパレル企業に対して、過剰生産が指摘され、在庫問題が産業界を破壊することが明確になっている。これを受けアパレル各社は、粗利改善のために「消費者が必要な時に、必要な量だけ」を運ぶ、などと判を押したように言っている。だが、そんなことができるならなぜ今までやらなか
大注目のリテールメディア、背景に米小売の成功 2022年に入ったころから、流通業界では、あるワードが頻繁に聞かれるようになっている。「リテールメディア」だ。 リテールメディアとは、顧客の購買データ、あるいは行動データといった小売業が独自に収集・所有するデータ、いわゆる「ファーストパーティー・データ」を活用して広告を配信する手法のことを指す。「メディア(広告媒体)」となるのは、店舗やスマホアプリ、ECサイトなど小売業が従来持っている「顧客接点」だ。「リテールメディア=店舗のメディア化」、つまり、店内に設置したデジタルサイネージから広告を流すことをイメージする人もいるかもしれないが、それに限らないのである。 ではなぜ今、リテールメディアが注目されているのだろうか。 その理由の1つが、米小売の広告事業の成功だ。米リテールメディアの市場規模は6兆円にのぼるといわれている。この市場の約8割を占めてい
メディアの報道とは異なり、いまアパレル業界における最大の論点はPLM(Product lifecycle management)の導入である。しかし、導入支援をお願いしたい、というものでなく「導入したが止まっているのでどうにかして欲しい」である。実態を正確に表せば、「導入は終わったのに、誰も使っていないので放置されており、ミニマムのサブスクフィーだけ取られている」だ。メディアではすでに「古い話題」となっている「PLM導入」だが、このデジタル化の時代に相も変わらず、紙と鉛筆で縫製仕様書を作成し、五枚複写の専用伝票を手書きで書き、目視で違算管理をする。異業界の方からしてみれば信じがたいことかもしれないが、アパレル産業では、未だにこのようなことをやっている。本日は、PLMが巻き起こす悲劇について書いてゆきたい。 Melpomenem/istock パッケージ導入の手法を理解しないアジャイル導入
某大手外資金融機関は今年、中国企業のShein(シーイン)が世界一のアパレル になるだろうと予測している。その一方で、世界の著名アナリストたちはZARAやH&Mはこれ以上の成長は難しいとも分析している。ますますグローバル規模でシーインへの注目度や影響が高まるわけだ。今後、世界はシーインが実行する「正しいD2C」の威力をまざまざと思い知ることになる。 PhotoTalk/istock 中国について、ロジカルに説明できる人材がいない ファッション・グローバル・カンファレンスが終了した。世界のトップアナリストが参加したこのカンファレンスに僭越ながら私が登壇した理由は「中国の脅威」だった。世界がファッション産業をどんな風に見ているのかの視点について説明するとともに、彼らがいま最も注目しているシーインについて、同社幹部との面談を通じた、「シーインの強さの本質」と注目すべき点について、彼らとのディベー
本日はアダストリアについての分析をお届けしたい。同社を選んだのには理由がある。各社の横比較をしている中で、この企業の23年2月期からの3カ年中期経営計画に出会い、その論理的、かつ構造的な美しさに見惚れてしまい、これこそいまの「将来3カ年計画の見本」であるという意味で解説したかったからだ。また僭越ながら、最後に本計画のリスクについての所見も述べてみたい。 見事な4軸、日本人は些末なところにばかり目が行くが、まずは骨格を決めよ グローバルワーク、ニコアンド、ローリーズファームなどを展開するアダストリア。アパレル業界における売上高はファーストリテイリング、しまむらに次ぐ第3位で、2022年2月期決算は売上高2015億円(対前期比9.6%増)、営業利益65億円(同656.1%増)、当期純利益49億円。EC売上高は同6.8%増の574億円であった。 そのアダストリアの3カ年経営計画において、私が最も
アパレル業界は非論理的で数字に弱いといわれているが、昨今の円安に伴ういっそうの「原価低減」施策もしかりだ。一見、円安が進めば調達コストが上がり、原価が上がって収益を圧迫するというのはもっともらしい言い訳だ。しかし、前回紹介した、ユニクロを展開するファーストリテイリングが「原料が2~3倍になれば、我々は商売ができなくなる」(決算説明会より)という発言は根拠に乏しい。また、TOKYO BASEのように日本で生産し、海外に輸出している企業は構造的に「大儲け」するはずだ。つまり、国内比率が増えている日本のアパレルの全てが苦しんでいるわけでもない。加えて、TOKYO BASEがさかんにメディアで「当社は原価率が50%で他のアパレルと比べ、利益を消費者に還元している」と言っているのも、“数字から見れば”同意できかねる根拠に乏しい発言なのだ。これらを数字で証明しながら、日本のアパレル企業が生き残るために
世界のアパレルビジネスについて、海外のアナリストと意見交換をしてゆくと、日本が「周回遅れ」どころか、なんど回っても追いつかないほどその差は離れていることが分かる。今回は、日本の市場もさることながら、ビジネスモデルそのものも世界で競争できる状況ではないこと、また、産業界は大きな転換点にありながら「既得権益」によって、産業界の新陳代謝が全くすすんでいない実態を解説する。 余談だが、先日、私はIFIビジネススクールで卒業生を送り出した。彼らに半年かけて教えたことはたった2つだ。一つは、「既成概念を疑え」ということ。もう一つは、「すべてを最終消費者にとっての満足度を基準に考えよ」ということだ。今期の卒業生は、私の考えをよく理解し、そして、全く既成概念に捕らわれていない素晴らしいビジネスモデルの骨格をつくってくれたようだ。私が最後に彼ら、および、彼らの会社に送った言葉は、あなたたちの戦略立案スキルは
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