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大谷翔平
dzogchen.hatenablog.com
※初出は、ミクシィのレビューです。 笠井潔は、『テロルの現象学―観念批判論序説』を、自分が「連合赤軍事件に対して有責であるという思い」から書いたという。有責であるというのは、かつて黒木龍思というペンネームで「拠点」「情況」「構造」「革命の武装」といった新左翼系理論誌で評論を書き、党派活動に関与していたためである。笠井は、マルクス主義は論理必然的に連合赤軍事件のようなテロリズムを生み出すという認識に到達し、戸田徹・小阪修平らとともに「マルクス葬送派」を標榜するようになる。 日本の「マルクス葬送派」は、フランスにおける「新哲学派」に対応している。フランス思想史を概観すると、実存主義−構造主義−記号論−ポスト構造主義という流れの後に浮上してきたのが、「新哲学派(ヌーヴォー・フィロゾフ)」である。アンドレ・グリュックスマンの『料理女と人喰い(邦訳名:『現代ヨーロッパの崩壊』新潮社)と『指導者=思想
[ミクシィのレビューからの再録です。] 中沢新一単独の著作としては、『森のパロック』(1992)あたりが代表的な作品となるのだろうが、単独という条件を外せば、『改稿 虹の階梯―チベット密教の瞑想修行』が最良の仕事であると思う。 『虹の階梯』は、チベット密教ニンマ派のラマ・ケツン・サンポ・リンポチェから口頭で学んだ教えを、弟子の中沢新一が書き留めた記録である。 単行本は平河出版社から刊行されていたが、中公文庫に収められるに際し、ロンチェンパの『三十の心からなる戒め』が収録され、本文についても大幅な加筆が行われ、単行本の2倍近くのボリュームとなっているため、中公文庫版を読まれることをお勧めする。(加筆箇所は、主としてこの口頭伝授のベースとなっている『クンサン・ラマの教え』のエピソードを増やし、復元したことにある。) チベット密教には、次のような流派がある。 【ボン教】 ・チベットの土着的でシャ
樋口ヒロユキ著『死想の血統〜ゴシック・ロリータの系譜学』は、ゴシック・ロリータの擁護の書である。何からの擁護か。それは、今なお残るゴス・カルチャーへの社会的偏見(これは河内長野家族殺傷事件後のマスコミの動きにおいて顕在化したと著者は見る)に対してであり、さらには美術界におけるゴス(あるいはゴシック)への低評価に対してである。 死想の血統 ゴシック・ロリータの系譜学 作者: 樋口ヒロユキ出版社/メーカー: 冬弓舎発売日: 2007/07/10メディア: 単行本購入: 4人 クリック: 97回この商品を含むブログ (29件) を見る この擁護のために、著者はゴス・カルチャーの歴史的起源に迫り、さらには現代においてなにゆえにゴス・カルチャーが文化の底流となっているのかが追究される。 ゴス・カルチャーは、ファッションから音楽、美術、演劇、文学、建築……と及ぶため、本書では脱テリトリー的に批評が為さ
一体、何がいいたいのか、私にはわからない。 なぜ、文化記号論者とポスト構造主義者が、並列に並べられるのか、私にはさっぱりわからない。 どっちかが上位の価値基準で、もう片一方が下位の価値基準ならばわかる。しかし、並列に、対等の立場で並んでいるのだ。これをどう解せばいいのか。 どっちかがオールマイティーに、全般的に通用し、片一方が部分的に、ある条件下でのみ適用されるというのならばわかる。しかし、そうではない。互いに両立しない理論を唱える論者の名前が、まったく対等に並んでいる。 批評文を読んでいると、往々にしてこのような事態に直面する。何を言っているのかと、これはこうなのだと言いたい気持ちと、言っても無駄なことだ、現代は教養自体が崩壊しているのだ、ドストエフスキーの名前を知っているだけでも評価しておくべきだという気持ちが入り混じる。 1.現象学・実存主義のパラダイム 2.構造主義のパラダイム 3
東浩紀編著『波状言論S改〜社会学・メタゲーム・自由』について考えてみよう。この本は、東浩紀+鈴木謙介が聞き役であり、「第一章 脱政治化から再政治化へ」のゲストは宮台真司、「第二章 リベラリズムと動物化のあいだで」のゲストは北田暁大、「第三章 再び「自由を考える」」のゲストは大澤真幸となっている。 波状言論S改―社会学・メタゲーム・自由 作者: 東浩紀,北田暁大,宮台真司,大澤真幸,鈴木謙介出版社/メーカー: 青土社発売日: 2005/11/01メディア: 単行本購入: 9人 クリック: 73回この商品を含むブログ (135件) を見る「第三章 再び「自由を考える」」は、東浩紀+大澤真幸の共著『自由を考える 9・11以降の現代思想』の続きであり、再び管理社会に関する論考がなされている。自由を考える―9・11以降の現代思想 (NHKブックス) 作者: 東浩紀,大澤真幸出版社/メーカー: NHK
笠井潔の『テロルの現象学』は、マルクス葬送派の論客であることを表明した著作であり、マルクス主義による、「絶滅=労働収容所」群島を、集合観念の噴出によって転覆させようとするねらいを持っていた。しかし、集合観念による革命のヴィジョンは、笠井自身『ユートピアの冒険』(毎日新聞社)で認めているように、閃光花火革命論であり、永続的なものではなかった。集合観念という観念による観念の浄化は、永続化によって新たな制度に転化する。ゆえに、笠井潔のヴィジョンでは、自身のポジションの絶えざる移動による新たな集合観念の噴出が必要とされた。 国家民営化論―ラディカルな自由社会を構想する (知恵の森文庫) 作者: 笠井潔出版社/メーカー: 光文社発売日: 2000/12メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 12回この商品を含むブログ (11件) を見る 笠井潔のユートピア論が新たな展開は、本書『国家民営化論』にみ
※以下は、ミクシィ内で私が主宰するコミュニティ「GS・たのしい知識研究会」で発表した原稿です。 【書誌データ】 発行日:1984年6月10日刊行 編集人:浅田彰+伊藤俊治+四方田犬彦 発行所:冬樹社 【目次】 ◆GS狂言回廊 佐藤良明 英語基本動詞研究宣言 草野進 プロ野球は外見が実力につながる表層的な見世物である 松浦理英子 優しい去勢のために1 去勢への旅立ち、新たなるタイム・トリップ 渡部直巳 『プレジデント』あるいは勝者の愚鈍なる陽根 高橋源一郎 レイモンド・カーヴァーをアーヴィング・ハウがほめていた 如月小春 男装のメッセージ 糸圭(すが)秀実 「青春」歌謡とタリランおじさん ロジャー・パルヴァース(岸川典生訳) わたしのソウルをイカセたいんでしょう 岩井克人 ホンモノのおカネの作り方 三浦雅士 ボルヘスと小島信夫 ◆特集 反ユートピア 浅田彰+伊藤俊治+四方田犬彦 オーウェル・
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