敵に接近しなくても攻撃できる遠距離武器の有用性は有史以前の原始時代から知られるところであり、狩猟の時代から現代の戦争に至るまで、形を替えつつ用いられています。最初は手で掴んで石を投げる投石から始まり、やがてスリングや弓といった、弦の力で弾(矢)を飛ばすものへと進化。そこから更に、機械式で強力な矢を打ち出す「弩(ど)」に発展、西洋でも同じような武器として、「クロスボウ」が使用されています。 ところが。日本ではなぜかこの「弩」、全然発達することなく終わっています。中国のみならず、世界的なスタンダードとも言える「弩」が、中国文化の影響を強く受けているハズの日本では殆ど用いられなかった。これって不思議だと思いませんか? 「弓」と「弩」の関係について紐解いていくと、現代ニッポン人にとって馴染み深い、あのデバイスとの奇妙な関係性が見えてきました。 監修者 kawauso 編集長(石原 昌光) 「はじめ