近畿地方の南部に位置する紀伊半島には、世界遺産にも指定されている「熊野古道」があります。これは「熊野三山」に通じる参道で、和歌山県を中心に、隣の三重県、奈良県、さらに大阪府から京都府にまたがる、全長約1000kmからなる古道です。熊野三山とは、「熊野本宮大社」、「熊野速玉大社」、「熊野那智大社」のことを指します。 そのうち、「熊野本宮大社」の創建は、紀元前33年と言われています。とても古い時代から、日本では尊崇の対象とされ、多くの人々が参拝してきました。 そして、その「熊野」は、鎌倉時代の僧侶で、踊り念仏で有名な「一遍上人」も、尊崇していたというのです。古来、日本の仏教は、「神仏習合」と言われ、仏教において悟りを開いたとされる仏(ブッダ)が神と同一視され、祀(まつ)られ、仏教寺院と神社が同じ地にあるのは珍しくありませんでした。特に、その形が出来上がったのは、平安時代の半ば以降のようです。