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9月の記事で10月は任天堂について述べると書いたが,9月はソニーグループ関連でニュースが相次いだこともあり,予定を変えて話を進めたい。 一番大きなトピックは,先月入稿後に発表されたPS5本体の値上げだろう。ただし今回の値上げは,筆者の唱える日本軽視論とは直接関係ないとみている。 推測だが,値上げ実施にはそれなりに時間が必要である。この7月には対ドルでの円レートは161円にもなっていた。この時期に価格改定を考えたのであれば,PS5の値上げも後述するPS5 Proの約12万円の価格も当然であろう。 だが西野CEOは日経のインタビューで「これは価格変更である」とコメントしたのだ。 しかし,並列して値上げの収益を再投資するとも言っているので,ブルームバーグの望月記者も指摘しているように,要領の得ない内容になっている。 先月の連載では「これは両社(ソニーグループとスクウェア・エニックスHD)とも,計
今月はソニーグループとスクウェア・エニックスHDの決算について解説したい。まず,ソニーグループのゲーム事業の第1四半期は増収増益だった。詳細は後述するが,結論は「ゲーム事業は利益さえ出ていれば良い」まで後退したことが,ソニーグループとの議論でも再度確認できたことだ。 確かに増収増益で素晴らしい決算だし,投資家は利益が出ていれば評価するので,利益が出ていること自体は東洋証券でも高く評価している。しかし,それはあくまでも短期的な視点でしかない。 なぜかと言うと,PC版のGhost of TsushimaやHELLDIVERS 2の好調により販売増となったことに加え,為替の大幅な円安効果もあり,増収増益を実現しているためである。 だが,PCにもゲームを出した結果,ゲーム事業とは一体何を目的にしている事業なのかが良く分からなくなっている。 アナリスト的な意見なのだが,ビジョンや,目的が明確でないビ
今月は,任天堂の株主総会の質疑応答について述べたい。SNSを見ていると決算説明会と株主総会は混同している人が多いが,この2つはまったく違うものだ。 決算説明会は,機関投資家(バイサイド)と証券会社系のアナリスト(セルサイド)が参加するもので,投資の専門家向けの説明会だ。なお,アナリストは担当している企業の株の売買は禁止されている(例外はある)。新聞などのメディアも同様で,株の保有そのものが記者は禁止されていることが多い。 よって決算説明会は直接株を売買する機関投資家だけでなく,株を持てないアナリストや記者/メディア向けに決算の説明を行うことが主な目的だ。 一方,株主総会は会社法に規定されていて,取締役や定款の変更などの重要事項を決議する場だが,総会には参加せずに決議のみに参加する人も多い。会場に来るのは熱心な個人投資家が中心なので,ユーザー/ファンとして株を購入している人も多く,ユーザー目
MicrosoftがTango Gameworksを閉鎖した今,ほかの国々で見られる多くのレイオフやトレンドから,日本が守られてきた(無縁というわけではない)理由を見てみよう 画像クレジット:Tango Gameworksの「Ghostwire: Tokyo」 6月14日,Tango Gameworksの従業員はピザパーティーを開いた。この日はスタジオの最終日。「Ghostwire: Tokyo」や,受賞作「Hi-Fi RUSH」などを手掛けたスタジオの閉鎖というMicrosoftの決断は,ゲーム業界の多くの人を驚かせた。 「Hi-Fi RUSH」は,より多くのプラットフォームにタイトルを提供するというMicrosoftの新たな取り組みの一環として,ほんの数週間前に初めてXbox以外のプラットフォームでリリースされたゲームだ。同社は数十年にわたって日本ゲーム市場への参入に苦労しており,Xb
今月は予告通り,ソニーグループの決算と事業説明会について述べたい。ソニーの通期決算を述べても2023年度第4四半期の凄さは分かりにくいと思うので,早速以下の四半期決算のグラフを見ていただきたい。 第4四半期の営業利益が非常に高い伸びを達成しており,クリスマス商戦期を上回った(利益率も前年度の3.6%から9.6%に跳ね上がっている)。通常,第4四半期期(1〜3月)は閑散期であり第3四半期が上回ることはないが,前年同期比2.7倍という高い成長を達成した。この大きな要因はライブサービスゲーム「Helldivers 2」のヒットである。筆者も驚きだが,やはりライブサービスゲームは当たると大きい。 四半期で500億円以上の利益貢献はあったと推測しているので,資本を投下したくなったのも頷ける。こんなに儲かると思うならジム・ライアン氏が傾倒してしまったのも無理はない話だ。 その結果ソニーグループの業績は
今月は,スクウェア・エニックスホールディングス(スクエニHD)と,任天堂決算の話を進めていきたい。結論から先に言うと,「スクエニHDは批判を悪としているようなので,改善に時間がかかると見ている」だ。この詳細は,ブルームバーグの望月記者がXにポストしている(東洋証券のレポートはブルームバーグの端末で配信している)ので,読んだ人も多いだろう。 まずは,このレポートを解説する。「FINAL FANTASY XVI」が出たすぐあとに,筆者はレポートでFFシリーズはナンバリングごとにゲームシステムが違いすぎるのは問題だと指摘していた。 最近でも (1)2023年末に行ったVTuber日向猫めんまさんとのセミナー (2)2月の連載でもゲームシステムとキャラクターの問題を取り上げた (3)ログミーファイナンスで行った特別講演 講演で指摘した新規IP問題 といったように,表に出ているだけでも同様の指摘を3
今月はコンシューマゲーム市場について述べたい。コンシューマゲーム業界の状況が悪化しているのは,Sony Interactive Entertainment(以下,SIE)とMicrosoftがゲームビジネスの本質を理解してないからだと筆者は考えている。 その根拠は,ゲーム機が売れる要因について因果性を考慮せずに,思い込み(バイアス)だけで経営しているように見えるためである。 今回もゲーム業界に蔓延している思い込みについて話したい。 その思い込みとは以下の3点である。 (1)ゲーム機は性能が高ければ売れる (2)ゲーム機は独占ソフトがあれば売れる (3)ゲーム機は安ければ売れる これらは当たり前に,ゲーム業界の常識として語られてきたが,(1)と(2)については,多くの人が懐疑的になっている。そのことも含めて話していこう。 まず,「性能が高ければ売れる」について,Switchが世界を席巻してい
今月は任天堂について述べたい。 だがその前に,前回の記事を執筆したあとに発表されたSony Interactive Entertainmentの構造改革に触れておく。すでにBungieのレイオフが実施済みだったので,さらに人員削減が行われたことに驚いた人も多いだろう。2024年に入ってAAAやライブサービスに積極的に資本を投下していた米系メーカーがレイオフを積極化している。膨れ上がった開発費を回収することが,PS5の予想外の不振で難しくなっているからだ。 東洋証券では,Z世代が購買力を持つ結果,嗜好が変わり(行動変容),ゲーム販売がアニメ指向になるので,意味のない規制はやめ,ハードもゲーム機らしくしアニメの本場ともいえる日本市場の本格対応を進めるべきだと提案をしてきた。しかしSIEからは悲しい気持ちにしかならないから批判をしないでほしいという意見表明を返されてしまった。その結果が,8%,9
今月は最初にソニーグループの決算について話したい。 ソニーグループの第3四半期全体は好調だった。ただ,ゲーム事業は大幅な増収となった一方,営業利益は大幅な減少となった。この理由は後に述べるとして,最初に結論から話すとPS5に魅力がないのではないか,ということである。 ジム・ライアン氏は一貫して,「PS5は素晴らしいゲーム機でPS4を上回る販売になるのは当然であり,2021年〜2022年にかけては半導体不足の影響を受けたことが大きいので,PS5はPS4を上回る実売になる」と豪語していた。 しかしPS5ハードの売上(着荷)台数は前年同期比で増えたものの,PS4のピーク970万台を大きく下回る820万台に留まった。半導体不足も解消し,万全の体制で臨んだ第3四半期は「Marvel's Spider-Man 2」の同梱版を旧型,新型ともに出すなど,同社では出来うる限りの販促施策を打っていた背景も考え
【月間総括】因果関係で捉えられていないゲーム機が売れる理由と,パルワールドに見る新規IPで大成功することの難しさ 今月はまず年末年始商戦について見ていきたい。 Switchの2023年10月から2024年1月第1週までの日本における売上推移は,概ね前年同期比30%強の減少であった。国内は前回書いた予想通りの展開だったと言えるだろう。Switchはさすがにユーザーにマンネリ感が出ていると考えているので,8年目が目前であり次への展開は避けられないところだと思う(1月26日にブルームバーグと日経新聞で,任天堂が2024年に次世代機を発売するとの報道が相次いだ)。 経営目標がほとんど開示されないソニーグループと違い,任天堂の戦略目標はシンプルで,任天堂IPに接触する人口を増やすとなっている。 接触人口を増やすには, (1)露出を増やす (2)ゲーム機の普及台数を増やす の2つがある。 (2)はSw
Media MoleculeのSteven Taarland氏が,プロデューサーの役割や,優先順位の設定が必要な理由,信頼関係,そして「曖昧さを受け入れることへの慣れ」について説明してくれた。 ※この記事は,ゲーム業界での生活についての見識や,ゲーム業界に入るためのアドバイスを学生に提供する企画「Get into Games」の一環です。 ゲーム開発における役割の多くは,「アーティスト」「作曲家」「プログラマー」のように名前の通りでそれほど難しくはないが,より重要な役割のひとつ「プロデューサー」を定義するのは難しい。 プロデューサーの職務はスタジオによって変わるだけでなく,プロデューサーごとに異なっている。 EGX 2023の講演で,Media MoleculeのシニアプロデューサーであるSteven Taarland氏(IGDA財団のプログラムディレクターで,クィアフレンドリーなゲームジ
今月は任天堂の決算について述べたい。 任天堂の第2四半期決算は大幅な増収増益であった。ただ第2四半期3か月では伸び率は大幅に鈍化した。これは第1四半期が「ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム」の発売で過去最高になった反動によるものだ。そのため業績的には,やや弱かったという印象だ。ただ7年目のゲーム機としてみた場合,かなり健闘しているとも言える。第1四半期でも用いたグラフを見てもらうと,分かりやすいだろう。 任天堂決算資料より(東洋証券作成) Switchの販売が上期はわずかながらプラスに転じている。 一般的には「ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム」の効果と思われているが,以前も指摘したようにソフトの発売から2か月が経過してもSwitchの販売は好調で,古川社長も謎と話していた動きになっている。 なお上記の数字には「Nintendo Switch(有機ELモデル) マリ
組織心理学者のGraham McAllister氏は,ゲームビジョンの整合性を維持することの重要さを指摘する 9月のGamesIndustry.biz HR Summitでは,組織心理学者のGraham McAllister氏が「Game vision alignment: Its role in team effectiveness」と題した講演を行い,スタジオが制作するゲームの明確なビジョンを維持することで,どのようにゲームを向上させられるかを探った。 McAllister氏は,ユーザー調査とプレイテストのスタジオ,Player Researchを2012年に設立したが,2019年にそこを離れた。その後,開発期間におけるチームの関係性を保つことに特化したスタジオ,TeamSyncを立ち上げた。 オーディエンスにスタジオの成功率を高める3つのことは何かと尋ねたあと,McAllister氏
前回の最後にTGSについて話すと書いたが,大きなニュースが出たこともあり見送ることにした。原稿の準備はしていたのだが,予告と違う内容になることをお詫びしたい。 というわけで,まずは突然発表された新型PS5について話を進めたい。 10月11日未明に,SIEは現行のPS5を小型化した新型PS5を発表した。仕様に大きな変更はなく,ストレージのみ175GB増量した1TBモデルとなっている。 価格は少しややこしく,スタンダードモデルの欧米での価格は据え置きとなるが,日本は値上げとなった。また,縦置きスタンドは別売りとなったので,実質的には大幅値上げと言っていいだろう。 一方,デジタルエディション(以下,DE)は単体で大幅な値上げとなった。DEはそもそも逆ザヤで売っているため一定台数以上出荷できない問題があった。それは,赤字負担が大きいDEを大量に販売すると全体的な収益性が悪化するためだ。大幅な値上げ
No Brake GamesのSitara Shefta氏が,チームをサポートし,チームからサポートされる最善の方法についてアドバイスをくれた 大いなる力には,大いなる責任が伴う。これはスパイダーマンのベンおじさんの哲学であるだけではなく,今年初めにNo Brakes Gamesのスタジオ責任者Sitara Shefta氏が,Develop Brightonで行った講演のテーマでもあった。 「ヒューマン フォール フラット」の開発リーダーである彼女は,26人のチームとリトアニアの姉妹スタジオを率いた5年間の経験をもとに,有能な管理職になるための重要な優先事項と,最善の方法について語った。 「私が思うに,最悪なことのひとつは,ひらめきを楽しむことができない,あるいはイノベーションが制限されている場所で働くことです」とShefta氏は言う。「そのような職場は,人々が活躍する機会を与えてくれない
今月は予告していた任天堂の決算について触れていきたい。 任天堂の第1四半期は,過去最高の決算となった。「ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム」の販売(着荷)本数が1851万本と大ヒットしたことと,映画「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」の興行収入が13億4900万ドル(7月26日時点)の大ヒットとなり,同社の収益に寄与した(額は非開示)。 最高益更新を予想はしていたが,それをはるかに上回る水準だった。 メカニズムは分からないが,この映画がゲームソフトやハード販売を広範囲に持ち上げる効果を産み出したことは,特筆すべきことだろう。 任天堂は,「Nintendo Switch(有機ELモデル) ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダムエディションの販売は良かった」としているので,新モデルの投入も寄与したと言えるだろう。 Switchは累計販売(着荷)台数が1.3億台近くにな
Unityは,ゲームがインストールされるたびに開発者に課金するという新たなポリシーを変更することを約束した。しかし,この変更の詳細はまだ発表されていない。 同社はX(旧Twitter)で投稿した謝罪文の中で,開発者からの継続的な反発を改めて認めた。開発者はインストール料金が金銭的な負担になることに懸念を表明しており,彼らがゲームエンジンを使い始めた際に交わした合意を,Unityが遡及的に変更したという事実もある。 「私たちは皆様の声を聞いています」と同社は書いた。「火曜日に発表したランタイム料金のポリシーが混乱を招き,ご心配をおかけしたことをお詫びします」 「私たちは,チームメンバー,コミュニティ,顧客,パートナーに耳を傾け,話し合い,ポリシーを変更する予定です。数日中に最新情報をお知らせします」 「率直で批判的なご意見に感謝します」 Unityは先週,2024年1月1日以降,ゲームが一定
ゲームエンジン提供会社は,体験版やチャリティーバンドルは対象外であり,インストール料金を請求される開発者は全体の10%に過ぎないと見積もっている 概要 Unityによると,別のデバイスにゲームをインストールしないなら,料金が必要となるのは最初のインストールのみ 体験版はほとんど免除され,開発者はそれがチャリティ用のゲームならUnityに通知できる インストール料金は配給会社に適用されるため,サブスクリプションサービスにゲームを持つ開発者は対象とならない Unityは,昨日(現地時間9月12日)の発表が開発者の怒りを買ったことを受け,ゲームのインストールごとに開発者に課金する計画の詳細を発表した。 2024年1月1日から,同社はUnity PersonalまたはPlusを使用している開発者に対し,ゲームの年間収益が20万ドル,かつ累計インストール数が20万回を超えると,インストールごとに最大
【月間総括】残念な結果のFF16が引き起こすスクエニの組織改革と,PS5で年間2500万台を目指すSIEの目標 今月は決算について述べていきたい。 先月の連載ではソニーと任天堂の話をメインに据えていたが,スクウェア・エニックスやファイナルファンタジー(FF)に対する関心の高さをうかがい知れたと感じているので,まずはスクウェア・エニックスについて話そうと思う。 先般開催された決算説明会では,(1)FF16は想定内の上限か下限かであれば,もうひと伸び欲しかった,(2)FF16がもうひと伸び足りなかった背景にはPS5の普及率の低さがあり,普及率に合わせた施策を打つ,(3)開発費は全額計上したので今後は利益になる,などが語られた。 会社側としては,FF16は相当に頑張ったもののPS5の普及率が壁になり,今一つだったということだろうと東洋証券としては認識している。 そのうえで,第1四半期決算に関して
【月間総括】Microsoftとの妥協に追い込まれたライアンCEOと,リスタート発言に反省の色を見せる古川社長 今月は最初に,MicrosoftのActivision Blizzard買収に関わるFTCの件について述べたい。日本時間で7月12日にFTC(Federal Trade Commission)の仮処分申請は却下され,その後FTCは控訴したものの,すべて棄却された。この結果,イギリスのCMA(Competition & Markets Authority)を除き,買収の障害はなくなった。 アメリカで最大のタイトルと言えるCall of Duty(以下,CoD)を買収されると,ソニーグループが不利になるという見方が資本市場では優勢のようである。 だが,東洋証券ではそのようには見ていない。ゲーム業界はすでに非常に大きな産業になっており,そもそもCoD1本で左右されるような環境ではなくな
今月は最初に「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」について話を進めたいと思う。 アメリカで人気になっていると前回述べたが,4月28日には日本でも公開され,本稿の執筆時点(5月25日)で国内興行収入100億円を突破したと報道されている。 興行収入全体でも,1600億円を超えたそうで,これは歴代3位となった「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」の約3000億円の半分を超えた水準であり,アニメ映画としては異例の大ヒットと言っていいだろう。 ポイントとしては,映画の公開によってゲームソフトの販売が増えたことだ。ファミ通のデータだと,GWにマリオ関連とスマッシュブラザーズが押し上げられたように見える。 ソニーグループの説明では,「THE LAST OF US」のドラマ放映でゲームソフトの販売が増えたケースがあるとのことだったので,映像化はうまくいくとゲームソフト販売増効果があると思うが,これほど
ESAのエグゼクティブディレクターが語る,ショウの未来。「我々は業界のマーケティングのためのプラットフォームを提供することに引き続きコミットします」 [免責事項: GamesIndustry.bizはE3と提携しており,親会社のReedPopが今年のイベントを主催していた] ESAとReedPopは,E3 2023がキャンセルされたことを発表した。 このビデオゲームエキスポは,6月13日から6月16日までロサンゼルスコンベンションセンターで開催される予定だった。現在は,デジタルでも物理でも,まったく開催されないことになった。 2022年には開催されなかったが,ESAはReedPop(GamesIndustry.bizの親会社)と提携して,2023年の新しいバージョンのショウに取り組むことを発表していた。しかし,任天堂,ソニー,Microsoftといった大手企業は,このイベントをサポートしよ
Changingdayの創業者であるNick Lang氏とAlison Lang氏に,自閉症のプレイヤーを想定して作られたVRタイトル「Blinnk and the Vacuum of Space」の制作について話を聞いた ゲーム業界がアクセシビリティの必要性を徐々に認識するようになる一方で,ニューロダイバーシティに配慮する取り組みは限られている。 以前,GamesIndustry.biz Academyの一環として,自閉症を含むニューロダイバーシティを職場で理解しサポートすること(関連英文記事),アクセシビリティはロケット科学ではないこと(関連英文記事)を取り上げた。 本稿では,これら2つのトピックのギャップを埋めるため,ゲーム内でニューロダイバーシティに配慮する方法,より正確には,自閉症スペクトラムのプレイヤーにとってゲームをより利用しやすくする方法についての指針を提供する。 これは,
今回は,最後に取りあげる部分をぜひ読んでいただきたいのだが,最初にPSVR2について話していきたい。本連載は2016年に始まったが,PSVRについてはその年の10月に取りあげた。 その際に「『PlayStation VR』にも触れておきたい。9月15日から開催された東京ゲームショウのPSVRブースは大盛況で,今年はヴァーチャルリアリティ(VR)元年といった声も聞かれる。しかし,エース経済研究所ではVRの普及は大変な困難を伴うと考えている。」と書いた。 そして昨年,2022年もVR元年だったそうだ。つまり,毎年VR元年と騒がれながらも,普及していないのが現状である。当時よく質問を受けたのは,PSVRのTGSブースは大盛況だったのに,肝心の PSVRのセールスはうまくいかなかった点である。VRは形仮説的にデザインとスタイル双方で大きな問題があるように思う。 任天堂の岩田氏も,「任天堂はウェアラ
最近の健全なゲームのデベロッパ3名が教訓を語り,プレイヤーがこのジャンルに何を期待しているのかを議論する。 コージーゲーム(※居心地のよいゲーム)は,今に始まったものではないが,最近の隆盛と,このジャンルを広げたいというデベロッパの意欲は,疑問を投げかけている。コージーゲームとはいったい何なのか? また,このサブジャンルは袋小路なのか,それとも高速道路なのか? デベロッパの中には,これらのゲームを,少なくとも1985年のLittle Computer Peopleから始まり,The Sims(2000年)で爆発的に普及したライフシムというジャンルの分派と見なす人もいるようだ。しかし,コージーゲームは一般に,かわいいキャラクター,多くは擬人化された動物や子供のような人間を主人公とし,農業,採集,栽培,育成などのプレイヤー活動を行って,創造的パーソナライズとゲーム内の社会化という漠然とした目標
今月はソニーグループと任天堂の決算の話をするが,日本市場を「アニメをもとにしたゲームが主流の市場」とSIEが定義し続けると後悔するだろう,ということにも触れたい。 最初は第2四半期の決算だが,実績はソニーと任天堂で明暗が分かれた。 ソニーグループの決算は,ゲームの不調が鮮明になってきたと考えている。一般的にこれは不思議な話である。PS5は発売されて約2年が経過したところだが,先月も指摘したように普通であれば伸びてくるタイミングだからだ。 PS5の販売台数も330万台と前年同期比では伸びてはいないが,生産台数が650万台になったとの報告があり,台数は増えてきている(上図の累計台数参照)。 しかし,KPI(重要経営指標)は悪化しているのである。先月も,ソニーグループのKPIを掲示したが,第2四半期のソフト販売(PS4とPS5の合算)は6250万本と前期比で1390万本も減少している。しかも,コ
インディーズゲーム開発における予期せぬ金銭的課題と,新規スタジオとして今後のゲーム開発を計画する方法について,専門家が解説する。 初めてゲーム開発サイクルに着手しようとする人は,ゲーム開発でどのような種類の費用がかかるのかについて誤解しがちだ。 そして,他のキャリアからの転向であれ大学を出縦の新卒者であれ,追加費用につながる予期せぬ課題がたくさんあることには気づいていないかもしれない。 インディーズパブリッシャFinjiのCEOであるRebekah Saltsman氏は,「基本的に,デベロッパは『コンピュータ用のゲームを作る』以外のことは考えていません」と微笑む。 ゲーム開発における隠れたコストの多くは,計画の甘さだけでなく,「要求される可能性のあるすべての事柄をまったく理解していない」ことから生じるのだと,氏は続ける。 「Adam(Saltsman氏,Finjiの共同創設者)は,ゲーム開
今月は,まずStadiaの話をしたい。 2019年3月にGoogleが同サービスを発表した際には,非常に多くのメディアからコメントを求められた。 そのときの質問を要約すると「ITの巨人がこんなサービスを始めたら,ソニーも任天堂も大きく苦戦するのではないでしょうか?」という内容であった。それに対して筆者は,以前の連載でも述べたように,遅延,ハードウェアレスなど大きな問題があると回答したが,記者達の反応は筆者の回答に懐疑的であった。 特に当時メディア側から「5G携帯電話網整備で遅延が極めて小さくなるので普及するのではないか」と多数の指摘があったが,現行,日本で通信事業者が行っている5Gサービスは,基地局と端末だけが5G化されており,大部分の基地局は低遅延,他接続を実現するスタンドアローンモードに対応していない。つまり,サービス開始から3年たっても,メディアが前提としているような低遅延の環境に遠
ironSourceとの取引を控え,CEOのJohn Riccitiello氏がUnityの未来や損失の歴史,レイオフに続いた自社株買いについて語る 多くの人々はまだUnityを単なるゲームエンジンメーカーだと考えている。これは技術的には正しい説明だが,同社のビジネスに対して偏った印象を与えてしまう危険性がある。 ゲーム制作に必要な基本ツールを含むUnityのCreate Solutions部門は,エンゲージメント,マネタイズ,ユーザー獲得に重点を置くOperate Solutions部門よりも,実は会社の中で小さい割合だ。そして,それは以前からそうだった。 このことは,ゲームをビジネスよりもアートとして考えたい開発者に不安を与え,その不安はUnityがアプリ収益化プラットフォームironSourceと合併する計画を発表し(関連英文記事),CEOのJohn Riccitiello氏が収益化
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