きらら舎で扱う活字のはなし 叔父が写植会社をやっていたため、印刷に興味を持ったのはかなり幼い頃でした。 叔父の会社に遊びに行って初めて見せてもらったものは、何かの図鑑か百科事典のようなもので、 まだ未完成だった版下がとても素敵なものに見えた記憶があります。そんな工程途中のものが魅力的に見えたのはすべて、宮澤賢治の『銀河鉄道の夜』でジョバンニがアルバイトをしていた活版所のイメージによるものです。 『銀河鉄道の夜』に登場する活版所のイメージは 実際の日本における印刷所とは異世界で、ペン画などでみかける西欧の活版所のものです。 「……家へは帰らずジョバンニが町を三つ曲ってある大きな活版処にはいってすぐ入口の計算台に居ただぶだぶの白いシャツを着た人におじぎをしてジョバンニは靴をぬいで上りますと、突き当りの大きな扉をあけました。中にはまだ昼なのに電燈がついてたくさんの輪転器がばたりばたりとまわり、き