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周辺でゴミの不法投棄が多発したのか、錆の目立つ金網のあちこちに、子どもたちが書いたポイ捨て禁止の絵が括り付けられている。風雨で傷み始めたそれらと、いかにも昭和な病棟を交互に眺めるうちに、精神科医くるみざわしんさんが劇作家として生み出した演劇作品「精神病院つばき荘」での、長期入院患者らのセリフが脳裏に蘇った。 「私たちはとてつもなく大きなものに見放され、見捨てられている」 この数十年間、精神科病院でのおぞましい虐待や人権侵害が嫌というほど発覚した。問題を起こした病院の多くは、この国や社会から見捨てられた「棄民」を閉じ込める収容所だった。事件が発覚して廃院に追い込まれる施設も一部あったが、同様の事件は今も発生し続けている。 収容所がいつまでも無くならない理由は、この社会が求めているからだ。そもそも病院監視役の行政が、問題の多い病院を「対応が面倒な患者をすぐに放り込める場所」として便利使いしてい
睡眠薬や抗不安薬として、極めて多く処方されてきたベンゾジアゼピン。その依存性は、日本では長らく軽視されてきましたが、2022年2月、大きな動きがありました。医薬品による重篤副作用の早期発見と早期対応を目的に、厚生労働省が作成している「重篤副作用疾患別対応マニュアル」に、「ベンゾジアゼピン受容体作動薬の治療薬依存」が追加されたのです。 マニュアルは引用文献などを入れても36ページと薄く、内容の更なる充実が求められるものの、ベンゾの処方薬依存が「重篤副作用」に位置付けられたことは、患者を医原病から守るための大きな一歩といえます。 ベンゾは決して魔の薬ではなく、適切に使えば効果が期待できます。ただし、服薬期間が長引くと処方薬依存に陥るリスクが高まるので、欧米では1970年代には注意喚起がされるようになりました。日本でも、その成分は麻薬及び向精神薬取締法の規制対象とされ、慎重な取り扱いが求められて
私が以前にスクープした千葉の石郷岡病院事件(民事訴訟で和解成立)や、神戸で昨年発覚した神出病院事件など、精神科病院では医療者による患者虐待が後を絶ちません。神出病院の問題は、病院職員の内部告発で表に出たのではなく、警察が看護職員を別件で逮捕した結果、たまたま発覚しました。精神科病院のような閉じた組織では自浄作用が働きにくく、同様の問題はまだまだ隠れている可能性があります。障害者虐待防止法では、病院職員には、職場で虐待を目撃しても通報する義務がありません。このような虐待事件が続くと、同法の改正を求める声が高まりますが、日精協はどう考えているのでしょうか。 「(法改正については)そのへんはどうなのかなあ。普通は、そういうことがあった場合は、問題の病棟の師長から看護部長に報告が上がり、看護部長が院長と相談して対応していますよ。(神出病院事件では)古手の勘違いしている看護人が変なことをして、それが
今年7月31日、NHKが放送したETV特集「ドキュメント 精神科病院×新型コロナ」の中で、日本精神科病院協会の会長・山崎學さんがふと漏らした言葉が波紋を広げました。 「精神科医療というのはね、僕はよく言うんですけど、医療を提供しているだけじゃなくて、社会の秩序を担保しているんですよ。街で暴れている人とか、そういう人を全部ちゃんと引き受けているので。医療と社会秩序を両方精神科医療に任せておいて、この(診療報酬)点数なんですかって言っているわけ。一般医療は、だって医療するだけじゃないですか。こっちは保安までも全部やっているわけでしょう、精神科医療って。(入院を)断っていたらどこもとらないし、一番困るのは警察だと思うよ。警察と保健所が困るだけだよね」 この発言に対して、方々から非難の声が上がりました。日本の民間精神科病院を束ねる組織のトップが、医療だけでなく「日本の保安も担っている」と明言したの
昨年7月の京都アニメーション放火殺人事件で、京都地検は12月16日、青葉真司容疑者(42)を殺人、殺人未遂などの罪で起訴しました。半年に及ぶ精神鑑定の結果などから、地検は「刑事責任能力を問える」と判断したのです。 この放火事件では36人が亡くなり、33人が重軽傷を負いました。被害の甚大さゆえに、事件当初から多くのマスメディアがセンセーショナルに報じ、青葉容疑者の犯行時の言動にも注目が集まりました。 青葉容疑者は犯行動機として「自分の小説が盗まれたから」と語り、精神科受診歴もあったことから、その発言は「病気ゆえの妄想」であるかのように伝えられました。「精神疾患による犯行」と決めつけるような意見もありました。 しかし、精神鑑定を踏まえた地検の判断は「責任能力に問題なし」。凶行は重い精神疾患による支離滅裂状態で引き起こされたのではなく、青葉容疑者自身の歪んだ感情の問題であると判断したのでしょう。
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