安野モヨコと吉澤夏子(1) 昨日は清田とスキーに行ってきた。私にとってスキーは苦行である。やりたくないのに行かなければならないからである。たかがスキーかもしれないが私にとってはされどスキーである。 清田は結構スキー好きで、11月にもなると、スキーだけでなく山頂から見る墨絵のような景色だとか、昼食時のビールだとか、今年のボーダーはああだこうだとか、アフタースキーの温泉浴だとか、熱く語り、各地のスキー場が毎年そう変化するわけでもないのに『ポップ・スノー』というスキー場紹介雑誌を必ず購入し、就寝前の30分をその熟読にあてる。連れ合いがそういうモードに入れば、こちらも行きたくないと言うわけにいかず、楽しみを共有したいし、あのスピードへの恐怖を克服する鍛錬にもなりそうだし、そうなれば何でも挑戦できるかもしれず、などとたかがスキーにあれやこれや意味を押し込むものだから、スキー前日は思い詰めた気持ちにな