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プラントエンジニアの機械系であれば、熱交換器の設計はメインの仕事となるでしょう。 難しい計算ソフトを使って、複雑な計算をするイメージを私も持っています。 連続プラントの反応に関係する専用設備であれば、プラントの成績に直結します。 ところが、バッチプラントの場合は、熱交換器は結構雑な設計でも何とかなると思います。 少なくとも、私は適当にしか設計した記憶がなく、専用ソフトを使ったことはありません。 大学のときにはそれなりに難しいシミュレーションを回していたので、熱交換器の設計は経験を活かせるチャンスだと思っていましたが、実際にはほぼ役立たず。 四則計算+αで終わる計算で、しかもやっても意味があまりない。 この現実を知った時に、過去の努力を虚しく感じた記憶があります。 さて、それは置いておき、熱交換器の設計で多少悩んでも何とかなるという例を、いくつか紹介しましょう。 凝縮や冷却目的なら型式は何で
粉体ホッパーは、粉体を取り扱うプラントでは割と良く使います。 実は使わなくても運転できるケースは、少なからず存在します。 だからこそ、粉体ホッパーって何のために付けているの?という疑問が出てきます。 目立たないけど地味に効果を発揮する粉体ホッパー。 その役割について解説します。 作業時間を拘束しない 粉体ホッパーがあると、作業時間を拘束しなくなります。 例えば、1日に1回のペースで粉体を装置に投入するという工程があるとしましょう。 粉体ホッパーが無い場合は、反応器の工程時間の中で空いている時間に限って投入する必要があります。 反応器の工程時間が20時間であれば、24時間-20時間=4時間の間のどこかで投入が必要です。 この工程だけを見れば、4時間の間のどこかという条件なので緩いように見えるかも知れません。 しかし、オペレータはプラント全体の工程を操業していく必要があります。 綺麗に回ってい
配管設計では定められた必要流量に対して、適切な口径を設計することが大事です。 この場合の必要流量は、プロセスの要求事項として明示されるので選定は簡単に見えますが、意外と悩む部分があります。 それが必要量が決まってなく、あまり流量が多くなくても良いという、重要度が低い箇所。 雑に設計してしまって失敗するということもあります。 最小口径を標準化 配管口径はいくらでも小さく設定可能、というわけではありません。 現実的には15Aや20Aくらいが最小口径となります。 単純に製作可能範囲ということであれば、フランジ接続でも10Aは可能です。 ねじ込み接続だともう少し小さくすることも可能ですね。 それても、15Aや20Aくらいを最小口径として設定するのは理由があります。 水などの錆によって閉塞する可能性がある ノズルなど繋ぎ部が折れる可能性が高くなる バルブやガスケットなどの予備部品の点数が多くなる サ
フランジカバーは言葉通り配管フランジのカバーです。 カバーなので、付ける方が防御力が上がり、安心感も上がると思い込んでしまいます。 ところが、少なくとも化学工場ではフランジカバーを付けることが、かえってマイナスに働いてしまうことがあります。 設置する前には相当考えましょう。 フランジカバーを設置する理由 フランジカバーを付ける場合の理由を、まずは整理しましょう。 「あえて」付ける、という方が個人的にはしっくり来ます。 ガス漏れを早期に発見したい フランジカバーを付ける場合は、内容物の漏れ(特にガス化したもの)を早期に発見したいという場合です。 内容物が液体でも気体でも構いません。 これが漏れたときに早期に発見するニーズがある場合に、フランジカバーを付けましょう。 樹脂製のフランジカバーにガスが接触すると、大抵の場合は変色します。 透明のカバーを付けていて最初はフランジ面が見えていた箇所でも
化学工場ではいろいろなマナーがあります。 安全安定の運転のために必要な物もあれば、長年のトラブルを基に徐々に積み上げていったものまでさまざま。 マナーやルールが多すぎて、慣れるまでは縛られていると感じる人も少なくありません。 でも、こういうものって最近どんどん劣化していると感じます。 新しい人が入ってきて、しっかり教育することができず(指摘すると嫌になって辞めてしまう)、陳腐化していきます。 その状態で一定期間過ぎるとなぜか同じ問題が起きて、やっぱりあのマナーやルールは大事だったのだ、と見直されます。この繰り返しです。 せめて我が身を守るためにも、意識したいことをまとめました。 通行 プラント内だけでなく工場の中のどこでも通行します。事務所の中でもそうですね。 ここにも色々なルールがあります。 右側通行 右側通行は工場内に限らず、日本の道路交通法に基づいています。 ところが、これが工場内で
化学工場では多くのポンプを使います。 そのほとんどは、渦巻型のポンプ。 ポンプの吸込み側にフィルターを付けるのは、実はとても注意が必要なことですが、最近はやむなく設置せざるを得ない場合が増えてきました。 どういうことに気を付けないといけないか、整理しました。 キャビテーション フィルターを渦巻ポンプの吸込み側に付けると、ポンプの流量が下がる方向です。 フィルターという抵抗部が加わることで、流量は下がり、圧力損失は増えます。 運転条件によっては、キャビテーションが起こることがあり、ポンプにダメージを与えます。 温度が高い、吸込み側の圧力が低い、などポンプの運転として厳しい条件で、フィルターを付ける場合は特に注意しましょう。 フィルターの前後に圧力計を付けて、差圧管理することが現実的な対策です。 空運転 フィルターを付けるということは、何かしらの固形分をキャッチするということ。 使っているうち
化学プラントで流体を流す目的の配管の接続は、フランジ継手を使うのが一般的です。 そこをあえて、ねじ込み継手を使うという場所を作ろうとしたら、どこが適切か考えました。 フランジ継手とねじ込み継手を混在させると、取扱や保全の面では不利になるので、できるだけフランジ継手に統一させる方が好ましいと思っています。 このメリットを捨ててまで、ねじ込み継手を使いますか?という疑問をもって議論をして選定することが理想的です。闇雲にねじ込み継手を選ぶのは、危険な場合があります。 漏れても良い液体(水と空気) ねじ込み継手は、漏れても良い液体に対してなら使用しても良いでしょう。 漏れても良い液体とは、例えば以下のようなものを指します。 水(常温) 圧縮空気 これくらいに限定されます。 化学プラントで扱う流体は非常に多いですが、かなりのものが危ないです。 温水、スチーム:火傷する ブライン:環境に被害を与える
プラントの建設や設計をしていると悩むことの1つに、ボールバルブとグローブバルブの使いわけがあります。 2つのバルブの特徴は、知りさえすれば結構わかりやすいのですが、初心者は悩むもの。 私も結構悩んだ記憶があります。 この段階で、いろいろ考えて議論できればいいのですが、最近はその機会が少ないです。 基準で決めてしまって、そのまま当てはめるからですね。 実務上は問題なくても、応用が利かないまま時間が過ぎ去ってしまいます。 結果的にどちらでも問題なかったという場合もあるので、唯一の正解というのが無い場合も多いですね。 標準設計を意図していますので、できるだけシンプルで安い設備にして、種類も限定化して分かりやすくしようとしているシーンを前提としています。 数える程度の特殊なラインであれば、個別に考えれば良いでしょう。特殊な場合こそ、どちらが正解か悩みながら、リスクの少ない側を選んで使っていき、長期
耐食性のステンレス材質の代表であるSUS304とSUS316L。 どちらを選ぶのが良いか悩むことはかなりあります。 真剣に考えれば考えるほど、悩みます。 SUS304よりもSUS316Lの方が耐食性が高いが、値段も高い この現実を、プラント設計に当てはめていくには、考え方が大事になります。 どういう考えで選べばいいのか、例をいくつか紹介します。 この記事では、軸となる考え方を紹介しています。全部の考え方をまとめて使うことはなく、そのうちの1~2個の軸を選定すれば、ランク付けはかなり進めることができます。 使用環境が厳しい 内容物が同じでも、使用環境が違うということは多々あります。 基本的にはSUS304でも問題ないという判断がなされると、316Lを選ぶことは寿命をできるだけ長くしたいという狙いになります。 常温かつ大気圧など、条件が緩い場所では、SUS304 温度が高い・圧力が高いなど、条
製造業で品質管理に関わる重要要素として、4M変更という単語があります。 この変更を行う時には、その影響を慎重に考えないといけません。 特に医薬で厳しく管理されていますが、その他の業界でも適正な範囲で管理されています。 どんな管理がなされているか、具体例をいくつか紹介します。 なお、4M変更はここでは、以下の4つのMを指します。 Man(人) Machine(機械) Method(方法) Material(原料) どの変更も、どこまで実施すれば良いのか答えが無いようなものなので、考え方が大事になります。 Man(人) 人の変更はとても重要な要素です。 新たな人が加わるとき このレベルは課の運営として大変です。頻度が多いからです。 外向けには程度の低い変更なので、意識されません。当たり前の変更です。 この話は、要員認定の話を関わります。 あるプラントの運転要員として新人が入ってきた時、いきなり
スチームトラップ周りの配管は組み方を少し考えないといけません。 シンプルなフロートやディスクであっても、いくつかのパターンが考えられます。 使い方を知らなくても、周りの設備と合わせて組むだけで何となく上手くいってしまいます。 ただし、基礎を知らずにいると、緊急的に配管を組んだりトライアルしたりするときには、対応方法が分からずに困ってしまいます。 私がこれまで経験した例を3つ紹介しましょう。他にも組み方は考えられると思います。 基本形 まずは基本形から見ていきましょう。 トラップはバイパス配管とセットで組みます。 運転開始前には配管内に錆などが溜まっており、これをトラップラインに通してしまうと、詰まって誤作動や作動停止などのトラブルが考えられます。 バイパスラインはブローの目的を持ちます。 トラップ側とバイパス側それぞれ単独で作動ができるように、1次側にバルブを付けておきましょう。 2つのラ
流量計と操作弁の間はできるだけ短くする方が、運転制御がしやすくなります。 知識としてはこれだけに集約されますが、実際に運転中にどういう現象が起こっているのかをもう少し細かく見てみます。 運転をイメージして設備を設計するためには、とても大事なことです。 ここまでイメージできなくても、問題にならない場合もありますし、なった後で考えれば良いかもしれません。 過去に何度も起こっている問題なので、その知識を活かすためには想像力があった方が良いですね、というくらいのお話です。 流量計と操作弁の距離 流量計と操作弁の位置関係を確認します。 基本的には、流量計が先で操作弁が後に来ます。 こういう感じです。 これは流量計の測定をするために、流量計のライン内を満液にすることが求められているからです。 操作弁を先に付けてしまうと、満液になるまでは流量計は適正な指示を示しません。 今回は、流量計と操作弁の距離をで
真空ポンプは系内を真空にすることができる便利な装置です。 系内を加圧状態で使うプロセスは一般的ですが、一部のプロセスでは減圧下で行います。 この装置は運転中よりも起動や停止といった変化を伴う時に、注意しないといけません。 典型的な停止時の逆流の問題を解説しましょう。 停止時に逆流する 真空ポンプの逆流現象を考えましょう。 真空ポンプは系内を真空にするために気体を外に追い出す装置です。 追い出し先は大気中が一般的で、圧力は当然大気圧です。 運転している時はこの状態が維持されていますし、起動時も運転時に向かう流れなので気にすることは少ないです。 一方で、停止時は真空の系内に向かって、大気から空気が流れ込もうとします。 例えば水封式やオイル式の場合だと、液体が系内に混入してしまって、せっかく真空で処理した効果が減少することが考えられます。 その他、空気中の異物が系内に巻き込まれるリスクも十分に考
プラントの配管設計は、思想の固まりと呼ばれるくらい様々な設計ポイントがあります。 この中でも壁や屋根で囲われた空間内に配管を通す場合には、特別な注意点があります。 単に部屋の内にあるか外にあるかだけの違いに見えて、考える内容やその深さが異なります。 ここに書いてある内容を網羅すると、安全性を高めることができるでしょう。 配管の位置の注意点 漏れにくい配管構造にする 囲われた空間内に配管を通すときは、漏れにくい構造にすることが大原則です。 これは、安全上の配慮。 燃えやすい危険物や人体に有害な毒性の物質を通す配管から漏れがあった時は、人間に悪影響を与えます。 囲われた空間内で漏れがあったら、基本的には危ない方向です。 そのために、配管は漏れにくい構造が求められます。 ねじ込み継手は使わない フランジ継手すら使わず溶接継手を使う 腐食しにくい材質にする 溜まりにくい構造にする プラント内部のど
私は現在の職で、プラントの稼働計画と工事計画の両方に微妙に携わることができています。 この中で、稼働を決めるためにどういう工夫がなされていて、工事の時期をどうやって決めるのか、ということが結構見えるようになってきました。 生産技術職では工事の時期が天から降ってきて、そこに対応するようにあらゆる準備をするでしょう。 その手間の、工事の時期をどうやって決めるかということも実は非常に大事です。 大型のプラントSDMでは、時期を一律に決めざるを得ない場合が多いですが、バッチプラントでは時期の変更がある程度可能です。 そこで大事なことは柔軟性。 生産計画を立案調整する部門の、存在価値を発揮する数少ない場面です。 早めの生産稼働計画 プラントの生産稼働計画は、何年も前から計画します。 長期的な予測を基に、中期(3年~5年)程度のおおよその計画を立てます。 ガントチャートにまとめます。 その後、毎月など
粉体取り出しを行うプロセスでは、晶析(と濾過・乾燥)が最終工程に入ります。 プロセス的には温度をとにかく下げることが要求されます。 製品の形状が液体なのか固体なのかを知っているだけでも、化学プラントの設計で1つ重要なことが見えてきます。 初めて担当するプラントでは、特殊な工程の特徴をいくつかを早く理解するだけでも、理解しやすくなるでしょう。 溶解度が低い 晶析で温度を下がる理由は、結晶の取り出し量をできるだけ多くしたいからです。 晶析とは、液体の中から固体が出てくる現象、というくらいのざっくりした定義で良いでしょう。 塩水は塩が水に溶けている状態で、そこから塩を取り出すことも、晶析です。 水の温度が高いほど塩は溶けやすいので、逆に温度が低いほど塩は水に溶けにくく、溶けきれなくなった塩が水から出てきます。 これと同じことを、化学プラントの操作として行います。 晶析で出てきた粉体が製品であると
化学工場の建設・改造などのプロジェクトは、コンカレントエンジニアリングをすることが多いです。 少しでも商業生産を早くしたい・少しでも投資の決心を遅らせたい。 こういう会社の発想から、開発期間をできるだけ短くしたいから複数の部署の業務を同時並行的に処理するコンカレントなエンジニアリングは、非常に有用です。 ところが、これを上手く実施するには関わる人がしっかり意識していないといけません。 昔よりも縦割りで他人に興味を持たなくなっている状況で、コンカレントエンジニアリングは崩壊しかかっているとすら思っています。 間を調整する人は苦労が絶えないでしょう。 コンカレントエンジニアリングをやりすぎるとどんなトラブルが起こるのかを、観測範囲でまとめました。 研究 研究段階では、コンカレント性はあまり求められません。 ここでしっかり時間を掛けて開発しないと、そもそも物を作ることはできません。 特に薬関係は
粉体を製品とするプロセスでは乾燥機が一般に使用されます。 この乾燥機は、化学プラントでは特殊な扱いで、非常に重要な役割を果たします。 機械に求められる特性・プラント内での乾燥機に求められる役割などを整理します。 乾燥機という機械の特性 乾燥機という機械に求められる特性を、重要なもの3つ選びました。 均一に加熱する 粉体を乾燥させるという目的は、非常に重要です。 液体だけのプロセスであれば撹拌槽にジャケットが付いていれば、目的をかなり達成できます。 ところが粉体を均一に加熱させようとすると、実は結構難しいです。 液体よりも混ぜることが難しいからです。 撹拌槽と同じように撹拌を内部に付けて、混ぜる 撹拌なしだが、本体自体を大きく揺らして、混ぜる 混ぜる必要が無いほど、薄く広く伸ばす いろいろなパターンがありますが、粉体を均一に加熱させるという性質は共通です。 不均一に加熱をした場合、例えば乾燥
タンクの底板の計算で失敗したらどうなるのですか? 少し前に、社内の若手から出た質問です。 標準化が進んでいて、タンクの容量に対する板厚はパターン化されているから、計算をしなくても何とかなる世界。 もし何か起きたら・・・を考えるのは大事ですね。 内圧で凸、外圧で凹 物理原則を最初に抑えておきましょう。 物体に力が加われば変形します。 タンクのように内圧・外圧を考える場合、内圧が高ければ膨張し、外圧が高ければ収縮します。 その度合いが高ければ、材料は割れます。 タンクの強度計算の基本である、胴部の計算でもこの状態にならないことを考えます。 胴板の計算さえすれば、天板と底板の計算は省略。 天板と底板も、計算ミスすれば変形することが考えられます。 底板が膨らむ 底板が薄いと、膨らむという可能性が最も考えられます。 タンク内に液体の自重を受けているため、外圧よりも内圧の方が高い状態が一般的です。 タ
AIが発達していけば、いろいろな仕事が機械にとって代わると言われています。 化学工場の機電系エンジニアリングは、どうしても後回しになってしまうでしょう。 それでも、私が昔から「こうすれば楽になるのに」という部分が、早くAIで何とかなって欲しいと思っています。 考えれば考えるほど難しい仕組みを要求しそうになりますが、定型作業を自動化するという観点で大きなものから数件を改良するだけでも、大きな改善となると思います。 P&IDから配管図案が勝手にできる 配管図を書き上げるのは、相当の時間が掛かります。 CADを使って1本1本配管を書くから当然です。 これが、P&IDから一瞬で配管図ができるようになると、プロジェクトの速度は大幅に上がるでしょう。 設計をしだした当初から思っていることです。 もっと言うと、PFC(プロセスフローチャート)から勝手に書き上げてくれるくらいが、理想です。 100点でなく
データサイエンス・データサイエンティストという単語は近年話題になっています。 現場レベルではDX・デジタル革新という単語が出てきたときより、少し後くらいからでしょうか。 化学会社でもデータサイエンスに積極的に取り組んでいます。 さて、話を機電系エンジニアに限定したとき、データサイエンスを活かそうとすれば、どういうことになるでしょうか。 まだまだ発展途上という段階で、データサイエンスを目指す人にとっては想像と現実のギャップに戸惑わないように、現実側の話をまとめました。 使えるデータは無い 化学工場で機電系エンジニアの仕事をしていると、常々データの少なさに悩まされるでしょう。 データもしくは相当するものとして、使えそうなものは以下くらいしかありません。 液面・温度・圧力・流量などの運転データ スポットで行う検査データ(手書きレベル) 文章で書かれた報告書 運転データを使った解析は化学工学や運転
バッチ系のプラントをよく見てみたら、反応器に対して熱交換器が付いているものと付いていない物があります。 標準的なプラント構成にしようとしたら、熱交換器を設置するのが基本です。 いろいろとできることが増えます。 でもシールポットでも運転できる場合は結構あります。 熱交換器を設置しないと駄目、と盲目的に設計しないようにするためには、熱交換器とシールポットの機能を明確に理解しておくことが大事です。 熱交換器を付ける場合 反応器に熱交換器を付ける場合は、いろいろな狙いがあります。 有機溶媒を含む 反応器内で取り扱う薬液に有機溶媒を含む場合、一般に熱交換器を付ける方が有利です。 これは逆にシールポットを使う方が、イメージしやすいでしょう。 単に常温の有機溶媒を反応器に受け入れるだけという、プロセスを考えましょう。 この場合、受入時には反応器気相部の気体が外部に漏洩すると同時に、有機溶媒も同伴されます
ジャケット付反応器では温度調整を行います。 加温にはスチームを使うのが一般的。 この時、ジャケット側の温度はどれくらいになっているでしょうか? 簡単な計算で推算することができます。 今回考える系は以下のようなものです。 シンプルに水をスチームで加熱するという場合を考えましょう。 条件は計算を簡単にするために、概算値を使います。 U:200kcal/h/m2/℃ A : 10m2 スチーム蒸発潜熱 : 500kcal/kg ジャケット温度 = スチーム飽和温度? 良くある勘違いとして、ジャケット温度がスチームの飽和温度と等しいというものがあります。 機械の設計をするエンジニアなら、最大使用温度に興味があるので、最大使用圧力に対する飽和温度として設計条件を付与するでしょう。 しかし、現実の運転ではこの条件は、限定的です。 以下のように締め切った状態であれば、ジャケット温度=スチームの飽和温度と
化学プラントで大規模な設備投資を行う場合、FS(フィージビリティスタディ)を行います。 それも1度ではありません。2度・3度と行います。 ユーザーのプラントエンジニアは、FSを行うのはかなり後半のステージです。もしかしたら別の部署がFSをしたものに対して、詳細見積だけを行う会社もあるでしょう。 ステージが浅いころに参画しないことが多いです。 そんな浅いステージの時に、大事となる考え方をまとめました。 プラント新設レベルではなく、既存プラントに新しい生産品目を導入するケースを考えています。(建設よりも圧倒的に頻度が高いです) 前提条件を整理する ステージが浅いFSでは前提条件を特に整理しましょう。 プロセスフローの精度 確定している製法と未確定の製法 取扱物質の特徴(設備投資が追加でどれだけ必要か) 反応以外の後処理の必要性(設備投資が追加でどれだけ必要か) 生産数量 この段階では、製法であ
プラント建設の話を聞いていると、「建設するからには1つでも新しいことを取り入れないといけない」というエンジニアの偉い人の意見を聞きます。 最近は減ってきましたが、一昔前はこの意見だらけ。 停滞しそうになっているプラント技術を、活性化させる意図があったのだと思います(その真意をちゃんと説明してくれる人はおらず、結論だけしか説明してくれませんでしたが)。 もしくは、対外アピールがしやすいのでしょう。DXがまさにそう。 こうやって何か新しいことを導入すると、導入した人は近視眼的な目線で評価され、実績ができたと満足感も得ます。 ところが、中長期的に運用している人から見ると、はっきり言って良い迷惑。 工場全体を良くしようとしたときには、弊害となります。 どういう弊害が起きるのか紹介します。 なお、今回の新しい思想の前提として、以下の条件があります。 類似プラントが1つ以上存在する 設備だけでなく配管
会社に入って経験を積み、管理職に昇進したときには、元の職場で管理職となることが多いはずです。 特に、直前の職場など経験が長い部署であることが多いです。 この意味を正しく理解することは、意外と難しいです。 会社のことを思って、今よりも良い環境にしよう こう思えば思うほど、上手く行きません。 俯瞰的に見たら、管理職に求められるのは、おそらくこうです。 問題を最小化して欲しい 会社としては、これからも問題は起こり続けます。その質や量が減ることは、よほどのことが無い限りありません。 であれば、現状維持が最高レベルで、緩やかに下降していくその速度を抑えるだけでも合格点と考えるくらいで対応しないといけません。 私が経験したり聞いたりした中で、よくあるトラブルをまとめました。 管理職と銘打っていますが、みなし労働制が適用される課長だけでなく、オペレータのトップなどその部署を取りまとめする人も十分に当ては
私は新入社員として今の会社に入社して20年、ずっと同じ会社に勤めています。 そのほとんどの期間が1つの工場。 学ぶことがいっぱいあり、楽しいと思うこともありましたが、逆に嫌だと思うこともいくつかありました。 中でも強烈に記憶に残っていることは、数回程度あります。 その頻度は年を追うごとに高くなっています。 今すぐP&ID持って現場に行け(残業) 「今すぐP&IDを持って現場に行け。解決案を出すまで戻ってくるな」 一番最初に、会社を辞めたくなった瞬間です。 製造管理者をしていた時のことです。 10年くらいたったある日、現場でトラブルがありました。 すぐに回避策を考えるべく、配管ルートを調べて使えるものを探さないといけませんでした。 コンタミとかいろいろ考えないといけないけどそもそも物理的にラインがあるのか、という意味で上司は指示していたらしいのですが、当時の私はそんなことを知るはずもなし。
化学プラントは、計器室のDCSのパネル操作をしたりパトロールをするだけの楽な仕事。 こういう誤解を持っている人は少なくありません。 連続プラントなら、これに近い状態まで持っていくことは可能な場合があります。 しかし、バッチプラントではこうは行きません。 必ずと言っていいほどマテリアルハンドリングが必要となり、人手が欠かせません。 マテリアルハンドリングは、運転員にとって非常に重要なだけでなく、設備面でのフォローが欠かせずに機電系のエンジニアにとっても重要となります。 化学プラント内で使うマテリアルハンドリングの装置をいくつか紹介しましょう。 運搬 ドラムポーター ドラムポーターはドラムを運搬する装置です。 昔はこういう装置はほとんど使いませんでした。 人がドラムを器用に回しながら運搬していましたね。 テクニックが必要で、危険性もあるので、安全を重視するならドラムポーターは必須でしょう。 広
機械というものは基本的に電気モーターで動きます。 モーターは速度が一定ですが、設備としてはモーターとは別の速度で運転したいということが普通です。 そこで変速という考えが出てきます。 化学プラント設備のような場合、モーターの速度よりも低い速度で運転することが普通なので、減速に限って議論することが多いです。 減速という機能を実現するためには、減速機とベルトという2つの装置が一般的です。 化学プラント設備での減速機とベルトの違いについて説明します。 減速機 化学プラントで減速機を使う場面はかなりあります。 大きな減速機を得たい 減速機を使う最大のメリットは、減速比にあります。 減速比は減速前後の速度比のことで、値が小さいほど低い速度に落とすことができるという意味です。 ベルトでも変速は可能ですが、小さな減速比(低い速度)を得ようとすると複数のベルトを組み合わせる必要があります。 減速機の場合は、
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