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夏の料理
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コンドームをつけた上でセックスをすれば、妊娠の可能性は下げられる。ただ、射精する以上、その可能性はゼロとはならない。体内に精子が存在し続ければ、「予期せぬこと」が起こる可能性があり、それにより時に、他人の身体や人生までを大きく変えてしまうこともある。そのことを私は、決して望んでいない――そう考えて、パイプカット(精管結紮術)に臨むことになった評論家の荻上チキさん。しかしそこに至るの道のりは決して平坦ではなかったようで……? 男らしさ、孤独、性愛、セルフケア……中年男性として新たな親密圏とアイデンティティの構築に七転八倒する、新感覚の社会評論エッセイ連載がスタートです! 第1回は、早速、手術台の上からお送りします。 「下に履いているものを全て脱いで、手術台の上で仰向けになってください」 看護師に言われるがまま、半裸になる。 靴を脱ぎ、靴下を脱ぎ、ズボンを脱ぎ、下着を脱ぐ。 脱いだ服は、端に置
コントなどで探偵を演じる場合、“探偵っぽい雰囲気”を作り上げるマストアイテムが「鹿撃ち帽」。ごぞんじシャーロック・ホームズが挿絵で必ずといっていいほどかぶっている鹿撃ち帽は、「シャーロック・ホームズと言えば…」というひとつのアイコンになっていて、「シャーロックハット」と呼ばれたりもします。 しかしこの鹿撃ち帽は、実は小説には一度も出てきません。登場するのは挿絵のみ。なので、「シャーロック・ホームズと言えば鹿撃ち帽」というのは、挿絵が一人歩きして生まれたイメージなのです。 その絵を書いたのは、シドニー・バジェット。1891年の『ボスコム渓谷の惨劇』での挿絵が最初と言われています。なぜシャーロック・ホームズに鹿撃ち帽をかぶせたかは諸説ありますが、「シドニーが気に入っていたから」というのが今のところ有力な説。ですから、シドニーの想像力がなければ、鹿撃ち帽のシャーロック・ホームズは生まれなかったと
依存症は、現代人にとって、とても身近な「病」です。非合法のドラッグやアルコール、ギャンブルに限らず、市販薬・処方箋薬、カフェイン、ゲーム、スマホ、セックス、買い物、はたまた仕事や勉強など、様々なものに頼って、なんとか生き延びている。そして困っている、という人はたくさんいるのではないでしょうか。 そこで、本連載では自身もアルコール依存症の治療中で、数多くの自助グループを運営する横道誠さんと、「絶対にタバコをやめるつもりはない」と豪語するニコチン依存症(!?)で、依存症治療を専門とする精神科医・松本俊彦さんの、一筋縄ではいかない往復書簡をお届けします。 今回のトシのお返事で、いよいよ本連載は最終回です。 ギャンブルに疎い依存症専門医ヘイ、マコト、この往復書簡もついに18回目ですね。 前回のお手紙を読んで、勝手に「あ、自分と似ている」と感じたところが2つありました。 1つは、ギャンブルのアディク
依存症は、現代人にとって、とても身近な「病」です。非合法のドラッグやアルコール、ギャンブルに限らず、市販薬・処方箋薬、カフェイン、ゲーム、スマホ、セックス、買い物、はたまた仕事や勉強など、様々なものに頼って、なんとか生き延びている。そして困っている、という人はたくさんいるのではないでしょうか。 そこで、本連載では自身もアルコール依存症の治療中で、数多くの自助グループを運営する横道誠さんと、「絶対にタバコをやめるつもりはない」と豪語するニコチン依存症(!?)で、依存症治療を専門とする精神科医・松本俊彦さんの、一筋縄ではいかない往復書簡をお届けします。 今回は、マコトのギャンブル狂騒曲と物語の力、希死念慮について。 マコト版ギャンブル狂想曲 トシ、これまでにも増して気合いの入ったお手紙を、ありがとうございます。今回私はまずは、最近の出来事から書いておこうと思います。 最近、私たちの共通の知り
依存症は、現代人にとって、とても身近な「病」です。非合法のドラッグやアルコール、ギャンブルに限らず、市販薬・処方箋薬、カフェイン、ゲーム、スマホ、セックス、買い物、はたまた仕事や勉強など、様々なものに頼って、なんとか生き延びている。そして困っている、という人はたくさんいるのではないでしょうか。 そこで、本連載では自身もアルコール依存症の治療中で、数多くの自助グループを運営する横道誠さんと、「絶対にタバコをやめるつもりはない」と豪語するニコチン依存症(!?)で、依存症治療を専門とする精神科医・松本俊彦さんの、一筋縄ではいかない往復書簡をお届けします。 今回は、連載の前半で話題になった「ひととのつながり」と依存症の回復の関係を再考します。特に最も身近な他者――家族との関係について。 はじめにマコト、お手紙ありがとう。 前回のマコトの手紙を読んで、「なるほど」と膝を打ちました。マコトは過集中を利
大自然に囲まれ、娯楽も何もない“おしまいの地”に生まれ育ったこだま。大好評「おしまいの地」シリーズの不定期連載。人も自然もまっすぐ生きるこの場所で起きた、悲喜こもごもの出来事をお届けします。今回は、例の「せいちゃん」のライブに、こだまさん、ついに潜入です! とうとうこの日がやって来た。以前この連載で話題にした下北沢の「せいちゃん」のライブに潜入する日だ。せいちゃんは私の従兄弟。現在は主に都内で歌手活動をしている。私は本人のサイトから偽名でチケットを予約していた。二十数年まったく交流がないのに、こっそり検索して近況を追っていたなんて知られたくなかった。そんなの気持ち悪いだろう。匿名とはいえ彼の話を書いたこと、そもそも物書きをしていること自体、知られたくない。自分の家族にも話していない。 長年会っていないとはいえ、子供の頃よく遊んだ仲だ。私の顔を見た瞬間に気付くかもしれない。念のため変装用の黒
依存症は、現代人にとって、とても身近な「病」です。非合法のドラッグやアルコール、ギャンブルに限らず、市販薬・処方箋薬、カフェイン、ゲーム、スマホ、セックス、買い物、はたまた仕事や勉強など、様々なものに頼って、なんとか生き延びている。そして困っている、という人はたくさんいるのではないでしょうか。 そこで、本連載では自身もアルコール依存症の治療中で、数多くの自助グループを運営する横道誠さんと、「絶対にタバコをやめるつもりはない」と豪語するニコチン依存症(!?)で、依存症治療を専門とする精神科医・松本俊彦さんの、一筋縄ではいかない往復書簡をお届けします。最小単位、たったふたりから始まる自助グループの様子をこっそり公開。 精神分析について思うこと ヘイ、トシ、ありがとう。 トシにも精神分析に憧れを抱いていた時代があるんだね。でも徒弟制的な階層構造、費やす時間と金額の膨大さに絶望したと。功なり名を遂
依存症は、現代人にとって、とても身近な「病」です。非合法のドラッグやアルコール、ギャンブルに限らず、市販薬・処方箋薬、カフェイン、ゲーム、スマホ、セックス、買い物、はたまた仕事や勉強など、様々なものに頼って、なんとか生き延びている。そして困っている、という人はたくさんいるのではないでしょうか。 そこで、本連載では自身もアルコール依存症の治療中で、数多くの自助グループを運営する横道誠さんと、「絶対にタバコをやめるつもりはない」と豪語するニコチン依存症(!?)で、依存症治療を専門とする精神科医・松本俊彦さんの、一筋縄ではいかない往復書簡をお届けします。最小単位、たったふたりから始まる自助グループの様子をこっそり公開。 「ふつうの相談」ヘイ、マコト。 東畑さんとのジュンク堂でのトークイベント、視聴してくださっていたのですね。 彼は、「平成のありふれた心理療法」というネーミングで、わが国における現
終電を乗り過ごして「野洲」まで行った、という話を何人かの友人から聞く。私はまだ行ったことがない。いつか野洲駅まで確かめに行ってみようという思いが、同じ話を何度も聞くたびに募っていった。年の瀬も差し迫った平日の昼、時間がぽっかりと空いたので、初めて野洲駅まで行ってみることにした。 あの「野洲」に、ついに到着京都で暮らす酒好きの友人が「終電で乗り過ごして野洲まで行ったことがある」と言っていた。「夜中の野洲やばいですよ。何もない。マンガ喫茶とかないんです」とも。また、別の友人からも「飲んだ帰り、目が覚めたら野洲で、次の日も仕事だったんでタクシーに乗ったら1万5千円とかかかってしまって」と聞いたことがあった。ちなみに野洲は滋賀県の南部にある市で、「やす」と読む。 京阪神間を移動するのに便利なJRの“新快速”という電車がある。大阪に住む私は、京都方面へも神戸方面へも、飲みに行ったり取材に出かけたりす
依存症は、現代人にとって、とても身近な「病」です。非合法のドラッグやアルコール、ギャンブルに限らず、市販薬・処方箋薬、カフェイン、ゲーム、スマホ、セックス、買い物、はたまた仕事や勉強など、様々なものに頼って、なんとか生き延びている。そして困っている、という人はたくさんいるのではないでしょうか。 そこで、本連載では自身もアルコール依存症の治療中で、数多くの自助グループを運営する横道誠さんと、「絶対にタバコをやめるつもりはない」と豪語するニコチン依存症(!?)で、依存症治療を専門とする精神科医・松本俊彦さんの、一筋縄ではいかない往復書簡をお届けします。最小単位、たったふたりから始まる自助グループの様子をこっそり公開。 最近のマコト状況 トシ、ありがとう。トシに依頼された『「助けて」が言えない』(松本俊彦編、日本評論社)が無事に刊行されて、喜んでいます。 この記事を書いているいまは九月の終わり頃
依存症は、現代人にとって、とても身近な「病」です。非合法のドラッグやアルコール、ギャンブルに限らず、市販薬・処方箋薬、カフェイン、ゲーム、スマホ、セックス、買い物、はたまた仕事や勉強など、様々なものに頼って、なんとか生き延びている。そして困っている、という人はたくさんいるのではないでしょうか。 そこで、本連載では自身もアルコール依存症の治療中で、数多くの自助グループを運営する横道誠さんと、「絶対にタバコをやめるつもりはない」と豪語するニコチン依存症(!?)で、依存症治療を専門とする精神科医・松本俊彦さんの、一筋縄ではいかない往復書簡をお届けします。最小単位、たったふたりから始まる自助グループの様子をこっそり公開。 薬物乱用防止教室の季節ヘイ、マコト、前回のお手紙をいただいてからずいぶんと長い時間が経ってしまいました。毎年、この夏休み期間、教員向け研修会のラッシュ、連日、国内各地に出向いて登
依存症は、現代人にとって、とても身近な「病」です。非合法のドラッグやアルコール、ギャンブルに限らず、市販薬・処方箋薬、カフェイン、ゲーム、スマホ、セックス、買い物、はたまた仕事や勉強など、様々なものに頼って、なんとか生き延びている。そして困っている、という人はたくさんいるのではないでしょうか。 そこで、本連載では自身もアルコール依存症の治療中で、数多くの自助グループを運営する横道誠さんと、「絶対にタバコをやめるつもりはない」と豪語するニコチン依存症(!?)で、依存症治療を専門とする精神科医・松本俊彦さんの、一筋縄ではいかない往復書簡をお届けします。最小単位、たったふたりから始まる自助グループの様子をこっそり公開。 物質依存と行動嗜癖 こんにちは、トシ。 『みんな水の中──「発達障害」自助グループの文学研究者はどんな世界に棲んでいるか』(医学書院)では、じぶんの発達障害についてあれこれ書いて
「カルチャー ×アイデンティティ×社会」をテーマに執筆し、デビュー作『世界と私のA to Z』が増刷を重ね、新刊『#Z世代的価値観』も好調の、カリフォルニア出身&在住ライター・竹田ダニエルさんの新連載がついにOHTABOOKSTANDに登場。いま米国のZ世代が過酷な現代社会を生き抜く「抵抗運動」として注目され、日本にも広がりつつある新しい価値観「セルフケア・セルフラブ」について語ります。本当に「自分を愛する」とはいったいどういうことなのでしょうか? 一緒に考えていきましょう。 資本主義的なセルフケアの問題点資本主義的な「セルフケア」の概念の問題点は、あまりにも「個人」に焦点を当てすぎていることだ。”You can’t self love yourself out of oppression (いくらセルフケアを実践しても、抑圧から抜け出すことはできない)”というフレーズがある。たくさんの制
依存症は、現代人にとって、とても身近な「病」です。非合法のドラッグやアルコール、ギャンブルに限らず、市販薬・処方箋薬、カフェイン、ゲーム、スマホ、セックス、買い物、はたまた仕事や勉強など、様々なものに頼って、なんとか生き延びている。そして困っている、という人はたくさんいるのではないでしょうか。 そこで、本連載では自身もアルコール依存症の治療中で、数多くの自助グループを運営する横道誠さんと、「絶対にタバコをやめるつもりはない」と豪語するニコチン依存症(!?)で、依存症治療を専門とする精神科医・松本俊彦さんの、一筋縄ではいかない往復書簡をお届けします。最小単位、たったふたりから始まる自助グループの様子をこっそり公開。 「『ハイ』か『ヘイ』か」問題最初の書簡で、「ヘイ、トシ?」と呼びかけられたとき、確かに、一瞬、「あれ? ハイじゃない?」って思いました。 でも、「ヘイ」は「ハイ」よりももっと親し
依存症は、現代人にとって、とても身近な「病」です。非合法のドラッグやアルコール、ギャンブルに限らず、市販薬・処方箋薬、カフェイン、ゲーム、スマホ、セックス、買い物、はたまた仕事や勉強など、様々なものに頼って、なんとか生き延びている。そして困っている、という人はたくさんいるのではないでしょうか。 そこで、本連載では自身もアルコール依存症の治療中で、数多くの自助グループを運営する横道誠さんと、「絶対にタバコをやめるつもりはない」と豪語するニコチン依存症(!?)で、依存症治療を専門とする精神科医・松本俊彦さんの、一筋縄ではいかない往復書簡をお届けします。最小単位、たったふたりから始まる自助グループの様子をこっそり公開。 ヘイ、トシ! 久しぶりにこの挨拶を使ってみたくなったんです。第1回がオンライン掲載された直後、アノニマス系自助グループのノリなら、むしろ「ハイ、トシ!」じゃないかなっていう指摘が
「カルチャー ×アイデンティティ×社会」をテーマに執筆し、デビュー作『世界と私のA to Z』が増刷を重ね、新刊『#Z世代的価値観』も好調の、カリフォルニア出身&在住ライター・竹田ダニエルさんの新連載がついにOHTABOOKSTANDに登場。いま米国のZ世代が過酷な現代社会を生き抜く「抵抗運動」として注目され、日本にも広がりつつある新しい価値観「セルフケア・セルフラブ」について語ります。本当に「自分を愛する」とはいったいどういうことなのでしょうか? 一緒に考えていきましょう。 「セルフケア」の日本における受容最近、「セルフケア」という言葉が日本でも急速に広がりつつあるが、「セルフケア」という言葉を聞いて、どういうことを想像するだろうか。いつもより少し贅沢な保湿パック、いつもは買わないデパートのチョコレート、シャンパングラス片手に泡風呂、またはちょっと遠くまで一人旅。「自分で自分のご機嫌を取
依存症は、現代人にとって、とても身近な「病」です。非合法のドラッグやアルコール、ギャンブルに限らず、市販薬・処方箋薬、カフェイン、ゲーム、スマホ、セックス、買い物、はたまた仕事や勉強など、様々なものに頼って、なんとか生き延びている。そして困っている、という人はたくさんいるのではないでしょうか。 そこで、本連載では自身もアルコール依存症の治療中で、数多くの自助グループを運営する横道誠さんと、「絶対にタバコをやめるつもりはない」と豪語するニコチン依存症(!?)で、依存症治療を専門とする精神科医・松本俊彦さんの、一筋縄ではいかない往復書簡をお届けします。最小単位、たったふたりから始まる自助グループの様子をこっそり公開。 薬物依存症臨床におけるADHDマコト、お返事ありがとう。 前回の手紙の最後に触れていたADHDの問題、依存症臨床ではすごく大事なことです。 依存症全般がADHDと深い関係がありま
「革命思想家」太田竜の「アイヌ革命論」に感化された集団による暴力事件が、1970年代前半北海道で相次いで起こり、テロの連鎖が続く。一方で、太田自身は思想的変転を繰り返し、体調不良から自然食に傾倒、やがて陰謀論に接近していく。 体調不良と「自然観の革命」アイヌ革命運動の展開、北海道と東京の往復、同志との離反、大量の原稿執筆、影響を受けた者による連続テロ事件、公安からのマーク、そして逮捕・拘留・裁判。 1960年代後半から1970年代の太田竜は、多忙かつ精神をすり減らす生活を送っていた。毎日、大量の砂糖とコーヒーを摂取するようになり、歯が痛んだ。その結果、食べ物を十分にかむことができなくなり、食事を飲み込むようになった。 水虫や痔が治らなくなり、年中、体のどこかが具合悪い状態になった。視力も遠視が進み、気力・体力も衰えていった。1970年代後半になると肝臓・膀胱・尿道が悪くなり、頻繁にトイレに
淡路島にある商店街の銭湯と同じ建物の立ち飲みスペース「ふろやのよこっちょ」。近隣の飲食店をサポートするために持ち込みが自由で、常連たちの持ち込みの定番だった刺身の盛り合わせを提供する魚屋「林屋」が閉店してしまうと聞いた。最終営業日の2023年の8月30日、フェリーに乗って淡路島に向かった。 「淡路島の岩屋に行ってみませんか?」淡路島の北部にある岩屋という町が好きで、何度も訪れてきた。神戸市と四国の徳島県の間に浮かぶ淡路島へは、神戸市側からなら明石海峡大橋を使って車で行くことができて、多くの人は高速バスか自家用車かに乗って向かうのだと思う。 明石海峡大橋が1998年に開通するまでは、神戸側から淡路島へ行くのには海路しかなく、フェリーのルートが複数あったそうだ。しかし、橋が開通すると、それらのほとんどは運航をやめ、2023年現在では「ジェノバライン」という高速船が唯一、本州と淡路島を結ぶ海路と
依存症は、現代人にとって、とても身近な「病」です。非合法のドラッグやアルコール、ギャンブルに限らず、市販薬・処方箋薬、カフェイン、ゲーム、スマホ、セックス、買い物、はたまた仕事や勉強など、様々なものに頼って、なんとか生き延びている。そして困っている、という人はたくさんいるのではないでしょうか。 そこで、本連載では自身もアルコール依存症の治療中で、数多くの自助グループを運営する横道誠さんと、「絶対にタバコをやめるつもりはない」と豪語するニコチン依存症(!?)で、依存症治療を専門とする精神科医・松本俊彦さんの、一筋縄ではいかない往復書簡をお届けします。最小単位、たったふたりから始まる自助グループの様子をこっそり公開。 医師の劣等感 マコト、お返事ありがとうございます。 いきなり専門家である私の方が自助グループの先輩みたいな話になると、専門家と当事者との出会いという、当初計画されたこの往復書簡の
依存症は、現代人にとって、とても身近な「病」です。非合法のドラッグやアルコール、ギャンブルに限らず、市販薬・処方箋薬、カフェイン、ゲーム、スマホ、セックス、買い物、はたまた仕事や勉強など、様々なものに頼って、なんとか生き延びている。そして困っている、という人はたくさんいるのではないでしょうか。 そこで、本連載では自身もアルコール依存症の治療中で、数多くの自助グループを運営する文学研究者・横道誠さんと、「絶対にタバコをやめるつもりはない」と豪語するニコチン依存症(!?)で、依存症治療を専門とする精神科医・松本俊彦さんの、一筋縄ではいかない往復書簡をお届けします。最小単位、たったふたりから始まる自助グループの様子をこっそり公開です。 (毎月第2・4木曜日更新予定)
依存症は、現代人にとって、とても身近な「病」です。非合法のドラッグやアルコール、ギャンブルに限らず、市販薬・処方箋薬、カフェイン、ゲーム、スマホ、セックス、買い物、はたまた仕事や勉強など、様々なものに頼って、なんとか生き延びている。そして困っている、という人はたくさんいるのではないでしょうか。 そこで、本連載では自身もアルコール依存症の治療中で、数多くの自助グループを運営する横道誠さんと、「絶対にタバコをやめるつもりはない」と豪語するニコチン依存症(!?)で、依存症治療を専門とする精神科医・松本俊彦さんの、一筋縄ではいかない往復書簡をお届けします。最小単位、たったふたりから始まる自助グループの様子をこっそり公開。 第2回は、トシさんの自己紹介と、本連載のテーマである「依存症」とは何か?について。 「ヘイ、マコト」 こんな呼びかけから始まる文章を書くなんて、本当に初めての体験です。ちょっと恥
依存症は、現代人にとって、とても身近な「病」です。非合法のドラッグやアルコール、ギャンブルに限らず、市販薬・処方箋薬、カフェイン、ゲーム、スマホ、セックス、買い物、はたまた仕事や勉強など、様々なものに頼って、なんとか生き延びている。そして困っている、という人はたくさんいるのではないでしょうか。 そこで、本連載では自身もアルコール依存症の治療中で、数多くの自助グループを運営する横道誠さんと、「絶対にタバコをやめるつもりはない」と豪語するニコチン依存症(!?)で、依存症治療を専門とする精神科医・松本俊彦さんの、一筋縄ではいかない往復書簡をお届けします。最小単位、たったふたりから始まる自助グループの様子をこっそり公開。 第1回はこれまた一筋縄ではいかない、横道さんの自己紹介から…… マコトの依存遍歴――クレプトマニア(窃盗症)、セックス、過食、酒。 へい、トシ! 最初の打ちあわせで、この往復書簡
大自然に囲まれ、娯楽も何もない“おしまいの地”に生まれ育ったこだま。大好評「おしまいの地」シリーズの不定期連載。人も自然もまっすぐ生きるこの場所で起きた、悲喜こもごもの出来事をお届けします。今回は、がんの治療のため都会の病院に通い始めたお父さんとお母さんの冒険について。 父は今年から都会の大きな病院に通院している。陸の孤島から毎週、飛行機で通っている。貴族の通院スタイルだ。 地元の病院で抗がん剤治療を続けてきたけれど、もうどれを試しても効かなくなってしまった。そこで主治医が最後の望みとして新薬の治験をすすめてくれた。 治験なので治療費はかからない。大きなプロジェクトだから、スタッフが経過を慎重に診てくれる。異変があったらすぐ中止することも約束してくれた。最新の治療を受けられる機会なんてもうないよ。やってみようよ。母と私は乗り気だったが、当の本人は渋っていた。 「お父さんがいま使ってる薬だっ
和歌山と姫路、住んでいる大阪からも在来線でも行きやすいふたつの町に相次いで出かけた。それぞれ久しぶりの訪問だったが、新しい発見が多い小さな旅となった。何も起こらない、夢のような、必要な時間。 なんだか夢のようだったカレーを出す店を取材しに和歌山へ行くことになった。最近よく原稿を書かせてもらっているグルメ雑誌があって、先日久しぶりに会った父親に「お前は何を食べても美味しい美味しいと言うから信用できない」と言って笑われたほどに乱暴な味覚を持った私なのだが、なぜか何度も声をかけてもらっている。そのありがたい雑誌の編集長であるEさんとJR和歌山駅で待ち合わせていて、私はひとりでその時間に着くように電車に乗った。 大阪から和歌山方面へ向かう平日の昼前の電車は、いつもそうなのかもしれないが、空いていた。東京の山手線のような横並びのシートではなく、新幹線みたいな、進行方向に向かって並ぶ座席に腰かけて、本
『女の子は本当にピンクが好きなのか』・『不道徳お母さん講座』で話題の堀越英美さんによる新連載「ぼんやり者のケア・カルチャー入門」。最近よく目にする「ケア」ってちょっと難しそう……でも、わたしたち大人だって、人にやさしく、思いやって生きていきたい……ぼんやり者でも新時代を渡り歩ける!? 「ケアの技術」を映画・アニメ・漫画など身近なカルチャーから学びます。第16回は、なんと早くも最終回です! なぜなら、この連載を締めくくるにふさわしい大傑作が爆誕してしまったから。みんな大好き『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』です。
『女の子は本当にピンクが好きなのか』・『不道徳お母さん講座』で話題の堀越英美さんによる新連載「ぼんやり者のケア・カルチャー入門」。最近よく目にする「ケア」ってちょっと難しそう……でも、わたしたち大人だって、人にやさしく、思いやって生きていきたい……ぼんやり者でも新時代を渡り歩ける!? 「ケアの技術」を映画・アニメ・漫画など身近なカルチャーから学びます。第15回のテーマは、主婦バイトとアダム・スミス。
「向いているかは、まだわからない。でも意外とやれている」 喫茶店でホール担当のバイトを始めて二ヶ月経った頃、エッセイの締めに書いた文章である。 初夏から晩秋までの契約だった。覚えることがたくさんある。同じ失敗を繰り返して叱られている。だけど、最終日にはこの店の一員として認められるような動きを身に付けていたい。この調子で覚えていけば、きっとできる。そんな夢を見ていたのである。 目を覚ませ。店の裏山の清流で顔を洗え。何が「意外とやれている」のか。信じられないことに、私は二ヶ月目の情けない働きぶりをキープしたまま最終日まで走り続けたのであります。伸びしろがありませんでした。 叱られても一向に変わらないほうがむしろ難しいだろ。 まあ、まだ教えたばかりだしな。これから慣れていくよな。皿を割るのも今だけだろう。店主もはじめは内心そう思っていたはずだ。しかし、私はいつまで経っても皿を割り、注文を聞き間違
もう10年近く前の夏のある日、友人と二人で歩いた日立の街。そして今年、冬のある日に私はひとりで調布の街と野川を歩いた。 写真のおかげで友人と過ごした時間を思い返すことができる友人が死んでしまった。急なことだった。その知らせを受けた日の夜、私は久々にその友人に会う予定だった。音楽が好きだった友人が大阪で催しを企画して、そこに私も参加することになっていた。事実を受け止めきれないままその場に行ってみたが当然その友人は現れず、宙ぶらりんな気持ちが今も続いている。 有名人でも、もう少し近い知り合いでも、誰かの訃報を聞いたとき、私はいつも自分と亡くなった人の距離のことばかり考えてしまう。故人とすごく親交の深かった人がいて、その人が受けた悲しみに比べれば、自分の思いなど取るに足らない気がする。自分の心の中に今、悲しみがあることは確かなのだが、その悲しみの大きさに自信が持てない。卑屈な考え方だと思うのだが
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