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猫
onoesan.hatenablog.com
家から歩いて5分のところにあるコンビニに向かう途中で、イナバさんに会った。イナバさんは家の前に立っていた。 最初、その人がイナバさんだとわからなかった。イナバさんの家の前に、知らないオジサンが立っていると思った。 こちらに背を向けた小太りのオジサンが振り返って初めて、それがイナバさん本人であることがわかった。 イナバさんの髪の毛は薄茶色に染められていた。風通しの良さそうな頭頂部で、薄茶色になった髪が心許なくフワフワと風にそよいでいる。 イナバさんだとわかっていたら道を変えたのに。 失敗したと思ったが、時既に遅し。ここでUターンをするのはあからさま過ぎる。ご近所付き合いのルールに反してしまう。 イナバさんは会社で偉い人らしい。だからと言って、近所では全然偉くない。なのに、なぜかとても偉そうな態度でいるから、私は日頃、イナバさんとはなるべく話をしなくて済むように気をつけている。 イナバさんはご
onoesan.hatenablog.com 動物病院でお金持ちらしき女性と遭遇→→→車で家まで送る→→→お茶でも飲みませんかと誘われる→→→せっかくなのでと家にあがりこむ→→→ゴージャスな雰囲気にのまれる→→→女性の視線に、何か話したいことがあるらしいとようやく気付いた、onoesanこと私だった… 女性が、ようやく話ができそうね、という顔をして、私に尋ねた。 「あの、それで…さっき、車でお話しされてたことなんですけど」 (さっき車で?…なんか話したっけ?動物病院のことかな…。だとしたら大正解だよ!あの病院のことなら大抵のことは知ってるからね…もしかして棚に"今日の猫村さん"の1巻と2巻がないって話?それなら豆柴のハナちゃんの飼い主さんが、読んでみたいからって院長先生に頼んで貸してもらってるから来週には戻ってくるはず…でも絶対に続きが読みたくなるから、次は3巻と4巻が見当たらなくなるはず
onoesan.hatenablog.com 初対面の、お金持ちらしき女性を家まで送ったら、良かったら家でお茶でもと誘われた。 お言葉に甘えて上がり込み、ひさしぶりに興奮を覚えるonoesanこと私であった。 女性は、ソファーの前に置かれたテーブルにお茶の入った藤色のカップを置いた。赤ちゃんをはさんで向かい側に座る。 まだ少し熱いかもしれませんがどうぞ、と勧めながら、寝返りに飽きたのか、ぐずりだした赤ちゃんを抱き上げる。 それから、こんな風に誰かとお茶を飲みながら話すなんてひさしぶりです、と言ってゆるく笑った。 「もしかして、ここには最近引っ越されてきたんですか?あの…、おウチが新しそうだなって」 「そうなんです。実はここ1,2年、本当に色々なことがあって。引っ越してきたのも去年なんです」 「ご実家は遠いんですか?」 「ここからだと車で2時間はかかるかな。…と言っても親も高齢ですし、私も運
onoesan.hatenablog.com 初対面のお金持ちらしき女性を家まで送ったら、家でお茶でもどうですか、と誘われた。 お茶でもどうですかと誘われたのに気分はすっかり「渡辺篤史の建もの探訪」、ステキなお宅を見学する渡辺篤史だった。 ワクワクしながら足を踏み入れた。が、リビングにたどり着いた時点で早くもおなかいっぱい、エンディングテーマが頭の中で流れそうになる。 たった10分、だけどもう、十分の撮り高だ。寝室やお風呂、子供部屋なんかは見せてもらわなくて良いだろう。まあ、そもそも見せてもらえるわけないけどね…。 そんなことを考えていたら大事なことに気がついた。 今日はあのCMがないじゃないか。 「渡辺篤史の建もの探訪」は私にとって、それだけでは成立しない。あくまで視聴後に必ず流れるCMまでがセットである。 せっかく素敵なおウチにいる気分だったのに、テレビを消した途端に現実に引き戻された
onoesan.hatenablog.com 動物病院で偶然出会った、お金持ちオーラを放つ女性と赤ちゃんと茶トラの猫を車に乗せて、家まで送り届けることになった。 そう言えば先月も初対面の人を車で家まで送っていった。ホームセンターで会ったおばあちゃんだ。 1人、大小さまざまなゴミ箱が陳列されたレーンで考え込んでいた。目が合うとかすかに首を傾げながら、独り言のように話しかけてきた。 大きくてバケツみたいな形のゴミ箱が欲しいのだけど、家まで歩いて持って帰るのは無理かしら、頼んだらお店の人が持ってきてくれるのかしら… 店員さんに聞いてみると、配送代を払えば明日届けられるとのことだった。歩いてきたなら家は近いのだろう、そう思い、送っていくことにした。 青色のゴミ箱を車に積むと、おばあちゃんはとても嬉しそうに後部座席に続いて乗り込んだ。何度も何度も「良かったわ〜」と言ってくれた。 その時と今回とでは勝
onoesan.hatenablog.com 私だけでなく、世の中の大半の人は、多かれ少なかれ他人の生活が気になるものではないだろうか。 ーたとえ、それが時として目の毒であろうとも。 動物病院でたまたま会話を交わした女性は、胸に赤ちゃんを抱き、猫の入ったケージを手にしているにも関わらず、あり得ない優雅さであった。 そのような状況において、優雅なままでいられる人を、多分初めて見た。とても市井の人とは思えない。私の中のエツコイチハラが騒いでいる。 とは言え、その日の私は老猫の常備薬を受け取るために来院しただけだった。エツコがいくら騒ごうと、会計が済んだら帰るほかない。 そのうち、「お薬の準備ができました」と私が呼ばれ、「診察室にお入りください」と彼女が呼ばれた。では、と会釈し合って同時に席を立つ。 赤ちゃんは抱っこ紐の中で依然スヤスヤと眠っている。今日は思いがけず良いものを見ることができた。眼
ここ数年、あまりにも頻繁に動物病院に通っているonoesanこと私は、もはやすっかり常連気取り、新顔の患者さんには先輩風を吹かしている。 ケージを2つ持った人が来院したらすかさずドアを開けに行き、撫でてもらいたそうな犬がいたら、いそいそと隣に移動して全身を撫でまわす。 先生もスタッフの女性たちも、そんな余計なお世話を満足げに撒き散らす私を、変わらず冷めた目で見守ってくれている。 その日、待合室を見渡したものの手を貸せそうな目ぼしい相手が見つからなかった。それで、お気に入りの、全体がよく見渡せる席に座った。 しばらくして入口のドアから女性が入ってきた。艶のある茶色の髪を後ろでアップにし、白いニットのワンピースにスニーカーを合わせている。 30代後半くらいだろうか、カジュアルな雰囲気にまとめているが、細部に渡ってまったく隙がない。特に髪の毛の美しさときたらなかった。 髪には生活の疲れが出るし、
年末から、灯油缶に差したオレンジ色の給油ポンプの電池が切れかかっていた。 「入」の方にスイッチをスライドさせても、うんともすんとも言わない。 ノズルごと持ち上げて何度か振り、再び「入」にするとジ〜ッと音がして、ようやく動き始める。 毎回、今日のところはどうか最後まで吸い上げてくれ、そう念じながら、タンクが満タンになってポンプが自動的に止まるのを待つ。 そんな風に騙し騙し使っていたら、年が明けて、気づいたらもう2月だ。 振るだけでこんなに持つとは。電池のポテンシャルを見直すばかりである。 とは言え毎度、振らないことには動いてくれないのだった。 頼むよ、もう夜更けだし、このまま動いてくれよと念じながら思いきりポンプを振ると、果たして動き出すという日々。 ふと、夫も同じことをしているはずだと気がついた。 彼も振っているのだろうか。いや、振っているに違いない。振らないことには動かないのだから。 夫
7年くらい前だったか、プランターにサラダ菜の種を蒔いたことがあった。 種は数日のうちに芽を出した。 その小さな芽が毎朝、うっかりすると見逃してしまうくらい少しずつだけれど、背を伸ばす。 その成長を見るのがとても楽しみだった。 朝一番に水をやりに行き、わあ、また大きくなったね、すごいねと話しかけた。 登校時間が刻々とせまっているのにちっとも起きてこない14才の息子の部屋の扉を開ける時、その頃のことを思い出す。 むっくりと起き上がる姿が昨日よりも大きい、気がする。 このところ面白いくらいに毎日成長している、気がする。 わあ、また大きくなったね、すごいね、と話しかけたい。 が、目が覚めたらすぐに、「出てって」と不機嫌な声で言われる。 全身麻酔でも施さない限り、サラダ菜みたいに優雅に観賞するなんてできっこない。 やれやれと扉を閉める毎日だ。 お腹が弱くてすぐ下痢になるのに、3食では足りず、毎日4食
「高い猫缶、好きなだけ食べていいから」 そう伝える私の目を、彼は真剣に見つめ返した。 昨年の、いよいよ酷暑が始まらんとする7月のある日のことだった。 あれから半年と少し。 彼が食べた高級猫缶は、200缶を優に超えた。 今日もまた、猫缶が供されるのを今か今かと待っている。 目が合ったらすかさず立ち上がって、前脚をこすり合わせて拝む。その態勢にいつでも入れるようにしていることが、モゾモゾと動く後ろ脚の気配でわかる。 いつもの朝が始まる。 「…誤診だったんじゃない?」 後から起きてきた夫が、皿に頭ごと突っ込んでワシャワシャと猫缶の中身をかき込む老猫を見つめてつぶやいた。 私もあれから、あの日のことを何度も思い返している。 あの日の夕方、ぐったりとして動けない様子の老猫、ソルをケージに入れて病院に向かった。 ーおそらく少し前に罹った急性膵炎が悪化したのだろう。もしくは他の、いくつもの持病が悪さをし
私の中でチビデブおばさんが生まれたのは、年が明けて間もない、1月のことだった。 とうとう、この日が来たという話。 - onoesanとなんやかんや。 月日は瞬く間に流れて、とうとう、年の瀬を迎えてしまった。 暑い夏の日々、体重計に乗ることすらサボって怠けまくっていた私を尻目に、彼女は水面下で着々と領土を拡大していった。 秋の到来を感じる頃になってようやく、遅まきながらコトの深刻さに気づいたのだった。 このまま大人しく彼女の軍門に下るわけにいかない、なぜなら私はまだここにこうして存在しているのだから。 その思いが体の底から湧き上がり、先月から猛然と反撃を開始した。 そういう流れであった。 しかし、走れども走れども痩せない。筋トレしても痩せない。若い頃より食べる量を減らしているのにまったく痩せない。 もう何をしても痩せる気がしない。 私の体は石になってしまったのだろうか。 完全に手詰まりとなり
食い意地が張っていたのは昔からだった。 朝は食欲がないの…と呟きそうな、竹久夢二の描く細身で雰囲気のある女性に憧れていた。 そんな私が、朝ごはんを食べないという取り組みを始めて半月余りが過ぎた。 きっかけはチビデブおばさん。 なんとか痩せて、彼女におなかから出て行ってもらいたい。体重計にはいつだって、慣れ親しんだ数字を表示してもらいたい。 試行錯誤を繰り返す中で、自分は"一度食べ始めたら最後、腹八分目に抑える理性を持っていない"という事実に遅まきながら気がついた。 それくらいなら、明確に時間で区切った方がうまくコントロールできるのではないだろうか。 摂取→消化吸収→排出の3ステップだから、1日を3分割して、公平に8時間ごとのお当番制にしてみたらどうだろう。 摂取12時〜20時、消化吸収20時〜4時、排出4時〜12時。基本的にこの枠に収まるように生活する。排出タイムの午前中は、具なし汁物を含
「どこの高校に入りたいのか、そろそろお子さんと時間を作って話をしてみてください。」 昨日、塾の面談でそう言われたので、早速聞いてみることにした。 「どこの高校に入りたいの?」 「お母さんはオレにどこの高校に入って欲しいの?」 質問し返された。 (…それはまあ、遠いとお弁当作るのに早起きしなくちゃいけないから近くて、電車代がかからないから自転車通学で、私立よりも安い国立大学に入って欲しいから偏差値がそれなりに高い高校が良いな…) そう考えて、言った。 「近い方が通うの絶対楽だし、お母さんも安心!自転車は時間を気にしなくて良いからいいよね。あと、頭の良い高校ってやっぱり憧れちゃうかなあ。」 ふーん…と言って、さらに質問してくる。 「お母さんは、高校の時の通学、どうだったの?」 久しぶりの会話に加え、自分のことを聞かれた私は、え?お母さんに興味があるの!?と、舞い上がり、 ーヨシ、ここはしっかり
友だちからもらってきた風邪を息子が律儀に分けてきた。 3日前から2人でダミ声だ。 敵は喉を集中していじめたいタイプらしく、この親子の喉を滅多刺しにしてやれ、と思っている。 とっくに降参しているのに許してくれず、うがい薬で必死の抵抗を試みている。 喋ると喉が痛い。けれど学校に欠席の連絡をしなければ。 昨年までは入力送信するシステムだったのが、なぜか電話に戻っている。 かけなれない中学校の電話番号をググり、電話をする。 本日、欠席連絡3日目の朝である。 一昨日、昨日と教頭先生が2回連続で出てくださった。 呑気な雰囲気で「はいは〜い、お大事にしてね」と、中性的にな受け答えをして頂いて、戦いに疲れた心が少し癒された。 今日もおそらく教頭が電話に出てくれるだろう。 そう思って待っていたところ、電話に出てくださったのはタムラ先生であった。 タムラ先生は息子の隣のクラスを受け持っている2年目の体育教師で
「なんだこれは。みんなが私を応援している…」 初めて浴びる謎の歓声に、若干の戸惑いと溢れる喜びを胸に抱えて、11才の私は歯を食いしばって懸命にトラックを走った。 小学5年生の夏休み直前のことである。 市の陸上競技会の800メートル走に出場する選手を決めるため、放課後、出席番号順に5人ずつトラックを走らされた。 800メートルはトラック4周。ありえないくらいキツい。どんなに手足をバタつかせてもまるで前に進めなかった平泳ぎよりも嫌いな種目だった。 早く終わらせたい一心だった私は、しょっぱなからフルスロットル、5人グループのトップに躍り出た。 カッコいいトップじゃない。とにかくこの地獄を一刻も早く終わらせるためだけに必死で走った。 でも、あまりにもツラい。トラックを一周しただけであっけなく「もう限界だ…」と思った。ここはもうスピードダウンするしかないな…。 「あれ?右足にちょっと違和感あるかも…
今週のお題「最近読んでるもの」 「夫のちんぽが入らない」 という、かなり、かなり手に取りにくい本を読んだ。 作者のこだまさんの別の本をたまたま読み、来歴が気になったので検索したらこの本が出てきた。 5年以上も前に発刊され、漫画化、ドラマ化もされ、賞もとって話題になっていたらしいけれど全く知らなかった。 上野千鶴子さんや小池栄子さんを初めとする大勢の方が推薦文を書いている。 気になって読んでみることにした。 タイトルがタイトルなので、家族、特に思春期の息子の目に触れると面倒だと、隠れてこそこそと読んだ。 そこには、数時間で読みきれてしまうことに申し訳なさを感じてしまうような、作者のせっぱつまった、懸命で切ない20年間が詰まっていた。 すべての出来事は作者の中で既に消化済み。だから、ほどよい距離感を保って書くことができ、結果、エンタメ要素も内包する書籍として実を結んだ。そんな、書き上げた時点で
老猫、ソル。 目下、我が家で余生を送っている。 彼が実家の飼い猫になったのは15年前。その頃、実家の祖父はまだ健在だった。 祖父が他界するまでの約1年、同じ屋根の下で共に暮らしていた。 その7年前に話し相手の祖母を亡くしてから、祖父の日常は判で押したようだった。 仏壇の置かれた2階の和室で1人、孫のお下がりのスーパーファミコンで将棋ゲームをする。穏やかで淡々とした日々。 残りの日々をそんな風に消化している老人と子猫。 ちょうど良い取り合わせに思えたが、残念ながら祖父はネコが大嫌いだった。 だから仏壇のあるその部屋は、"ネコ入るべからず"。 それ以外の場所でもうっかり出くわせばシッシッと追い払われた。 そのうち寝たきりになり、一日中その部屋で過ごすようになっても、やっぱりネコは出入り禁止だった。 襖の陰にソルの姿を察すれば、上半身を起こして追い払おうとした。 が、そんな攻防も長くは続かなかっ
生まれてこの方、好意を持っている相手に、ここまで傍若無人な振る舞いをされた記憶はひとつもない。 好意を持っていない相手からならたくさんある。 小学1年生の時に隣の席に座っていたカワムラくん。彼は私に対して本当に傍若無人だった。 当時、ネガティブな語彙と言えば「バーカ!」しか持たなかった彼は、私の顔を見れば「バーカ!」と連呼し、机をガンガンぶつけてきたり蹴ったりしてきた。 それから4年生の時に隣の席になったアオキくん。アオキくんもまた、かなり傍若無人な子供であった。 語彙がカワムラくんよりも多くなっていたので、毎日ちょっとしたことでネチネチとからまれ、とても鬱陶しかった。 ただ、今になって振り返ると、実際のところ2人とも私のことが好きだったのではないだろうか。 ついついちょっかいを出してしまうという、小さな男の子によくあるやつ。 その線で記憶をたぐってみる。 しかし色々と思い返してみても、そ
中学2年生の息子は、夏休みが明けた頃から「頭が痛い」と言って布団から出られない日が増えた。 様子を見ていると、症状を訴えるのは主に月曜日の朝。もしくは前日の夜、遅く寝た日。土日に訴えたことは一度もない。 気候は関係ない様子のため気象病ではなさそうだし、前述のとおりなので起立性障害というわけでもなさそうである。 ということで、気持ちの問題であること、もともと朝がとてつもなく苦手なのに、塾のせいで生活リズムが夜にずれて、遅い時間にダラダラする癖がついてしまったこと。そのあたりに問題があることは明らかだった。 ただ、そうわかったところで、こちらの真っ当くさい理屈を大人しく聞いて、 「あー、なるほどね!考えてみたらそのとおりだよ。良いアドバイスをありがとう!母さん、俺、そこから気をつけなくっちゃね!」 などと答えてくれるような、そんな人物が思春期にいるのならば是非とも我が家の養子になってもらいたい
私には、小さな頃に一緒に暮らしていた甥っ子と姪っ子がいる。 もはや社会人。あの小さかった2人がよくもまぁ育ったものだと感慨深い。 人として最も激変するであろう学生時代、コロナ禍だったため遠方で学生生活を送る彼らにはほとんど会えなかった。 だから私にとって彼らは、一緒に暮らしていた日々のままの姿であり、ある日突然大人になってしまっていた…そんな感じだ。 そんな彼らが、あるサイトで小説を書いているという。 一緒に暮らしていた頃、帰宅すると必ず玄関まで走って来てくれた。大人の中で私のことが一番好きだと言ってくれた。目に入れてもきっと痛くなかった。 そんな彼らの作品だ。そんなのどうしたって読んでみたいじゃないか。 しかし、話の流れでたまたま2人が小説を書いていることを教えてくれた姉は、彼らのハンドルネームをなかなか教えてくれない。 なんでそんなに渋るのか。…ああそうか、教えてもらっていないのか。ま
ちっとも痩せなくて、歩いたりストレッチしたりする日々が続いていた。当然、王道のスクワットもやっている。…10回くらい。 Juniper(id:JuniperBerry)さんは、頑張る時はスクワット70回、とブログに書かれていた。さすが目下、営業マンとの負けられない戦いに挑んでいる人は気合いが違う。私も頑張ろう。そう思い、その記事を読んだ日は、珍しくよく頑張ったのだった。 その翌日。ある団体から、研修の受講生のお子さまたちを会場内で預かってもらえないかと頼まれていたため、電車で会場へ向かった。 100人ほど収容できそうな大会議室に到着すると、後方に2畳分のマットが置かれていた。マットの隅に申し訳程度に玩具が入った箱がある。 ここでお子さまたちを2時間、研修中なので泣かさないように預かっていてね、ということのようだ。 気になるお子さまの顔ぶれがここで告げられた。 来場のお子さまは5人。 内訳は
酷暑の夏。 エアコンの効いた室内で漫画ばかり読み呆けていた私に、チビデブおばさんがお灸を据えにやって来た。 onoesan.hatenablog.com 身の危険を感じて、それ以来、とりあえず毎日10000万歩以上は必ず歩いている。 読書(漫画)三昧だった生活を考えたら痩せないわけがなかった。 しかし体重計の表示はピクリとも変わらない。 絶望感がヒタヒタと迫ってくる。 若い頃なら、そう、30代だったら、もうこの時点である程度の結果が出せているはずなのだ。 どうなってんの。 50代は漫画を読んでダラダラしていたら、新陳代謝が底の底まで落ちるらしい。 もしくは動かな過ぎたばかりに、体が「動物である」という事実を忘れかけている。そういうことかもしれない。 自分は動物なのだと体が思い出すまでの間、荒療治が必要なのかもしれない。 たとえどんなに遅くても、走った方が良いだろう。疾走して風の感触を感じる
しばらく書くことをサボっていたから、あの日から既に半月以上が経っている。 酷暑には絶対いなくなると思って放っておいた。 今年の正月明けに突然現れた、私の中の私。ちびデブおばさん。 onoesan.hatenablog.com 梅雨が明けても体内にしぶとく居座り、のさばり続けた。 夏の間、え?スカートが脱げない…とか、今ビリッて音がした…、あれ?穴が開いた…ということは、けっこうあった。 でも、そのうちいなくなるだろうと思っていた。なんたって暑いもの。チビデブおばさんは夏の暑さと共に消滅する、そう信じていた。 そんな呑気な本体を尻目に、彼女は沈黙を保ち、虎視眈々とタイミングを見計らっていたのだった。 そして、オセロを一気にひっくり返す勢いで、実に残忍な手口でとどめを刺しにきた。 ひさしぶりに体重計に乗った時のこと。 そこには信じられない数値が表示されており、その瞬間、世界から音が消えた。 足
朝夕はようやく人心地つけるような気温となってまいりましたが、皆さまにおかれましてはいかがお過ごしでしょうか。 さて、8月の終わり頃からしばらく更新をせず、また皆さまのブログを拝読することもなく過ごしており、ひさしぶりに先日更新しましたところ、無事で良かった的なメッセージを数件頂きました。 日頃綴っている余命宣告された老齢ヨボヨボ猫のことを心配してくださったに違いない、ついでに飼い主の私のことも心配してくださったに違いない、そう思うと、思わず駆け出してしまいたくなるほど嬉しかったです。 本当にありがとうございました。 敢えてメッセージまではね…でも、最近見かけないなとは思っていたよ、という方も(勝手に存在を仮定)大変ありがとうございました。 老猫も私も、おかげさまで元気にしておりました。 可愛いソルが、なんと秋を迎えようとしており感無量です。 そのことに感謝し、ついでに、唯一食べても下痢にな
リビングのドアは、ほんの少しの隙間があれば、前脚を引っ掛けて内側から開けたり、押して外から入ってこれたりと自在に開け閉めができる。 そのくせ、2階のドアは仕様が逆というだけで、スキマがあっても自分で出入りできず、ドアの前で固まっている。 ジャンプしてドアノブを下げることができる(しかも後ろ脚で立ち上がり、前脚を合わせて拝むプチ芸すら持つ)同い年のソルと比較すると、圧倒的に分の悪い老猫、ルナ。箱入りバアサン。15才。 しかし彼女には類い稀なる能力がある。 この2年近く、ソルのおかげで彼女の食事は混乱を極めている。 ソルの病気と嗜好性の問題に巻き込まれ、何十種類ものフードに加えて手作りごはんまで、それはもうコロコロと食事内容が変わっている。 大概はソルのお残しの後始末。だからその日によって量もかなり変わる。 それにも関わらず、この2年の間というもの、月に一度計る彼女の体重はまったく変わらない。
ヨレヨレの体にたくさんの病気を抱えながら、秋に向かってますます食欲旺盛な老猫、ソル。箱入りジイサン。15才。 何事もなかったかのようにシレッと生活しているが、余命宣告された日から2ヶ月以上が過ぎている。 時にしおしおと、時にガツガツと。明日は明日の風が吹く。一寸先は誰にもわからない。 相変わらず、オナラのクサさは家族の中でも群を抜いている。 音はない。 激臭は予告なく、食事中だろうと密閉中だろうと、扇風機の風に乗って運ばれてくる。 刺激的過ぎるニオイは全て病気のせいだ。おなかが痛くはないかと心配こそすれ、責める気などまったくない。 しかし、ニオイの出どころはついつい確認してしまう。 気にしないタイプだから傷ついている様子はない。 居場所を確認すると、我関せずとグウスカと寝ている。 もしくは、キリリと素敵にしている。 気品すら漂わせた涼しい顔をしている。 そう言えば血統書に記載された正式名は
ブログを始めて家族のこともボチボチ書くようになってからというもの、書きながら違和感を感じている言葉がある。 ズバリ"主人"だ。 他の方の記事を読んでいる時は、内容に意識が向いているため、どの方がどのような呼称を使っているかまでは思い出せない。 けれど大体、女性の場合は"夫"、"主人"、"旦那さん"など。 男性の場合は"妻"、"奥さん"、"嫁"、少し上の世代で"家内"といった感じ。 あとは男女ともに、"パートナー"とか。愛称で書かれている方もいる。 "パートナー"は性別もイメージさせないので今の時代にピッタリでとてもいいなと思うけれど、自分の口から違和感なくスルッと出てくるようになる日が来るだろうか。 現時点では想像もつかないけれど、会話の中で自然に出てくるようになる日が来れば良いなと思う。 "夫"というのが1番使いやすそうなのだけれど、距離的なところがどうも違う感じがして照れ臭い。 それで
夏休み最後の日、家の中は朝から静まり返っていた。 緊迫感が、台所で朝食を作る私のところにも伝わってくる。 息子がようやく夏休みの宿題にとりかかったようだ。 明日、持っていかなければならない喫緊の課題は3つ。 理科の自由研究。家庭科の調理レポート。英作文。 国語と数学は明日の授業がないらしく、漢字書き取りや数学の演習問題などは後回しである。 朝食を食べ終わると、 「じゃ、おかーさんは家庭科ね。オレはまず理科の自由研究をやっつけるから。終わったらお互いヘルプってことで。」 と、いきなり割り振られた。 これ以上巻き込まれるのは絶対にごめんだった。 先週はさんざん巻き込まれたのだ。 「ちょっと心配になってお電話しちゃったんですが、ピアノはどうでしょう?間に合いそうでしょうか」 と、担任教師から心配そうな声で電話があったのは確か先週の初めで、その直後に、今度はピアノの先生から、 「このままだと間に合
少し前に、アレルギーでキュウリが食べられなくなった。 そんな私に、冷やし中華が大好物の息子が、情け容赦なく冷やし中華をリクエストしてくる。 それでやむを得ず、自分だけキュウリの乗っかっていない冷やし中華を何度か食べたけれど、これはもう言ってみれば、自分だけ泡のない生ビールを飲んでいるみたいに興ざめなことだった。 好物が食べられなくなるというのは、味を知っているだけに辛いな…と思った時に、浮かんだ大好物がソラマメ。 私はソラマメがもう、本当に心底大好きなのだ。 どれくらい好きかというと、大好きなキュウリを好きな気持ちのおよそ10倍くらいだろうか。 特に収穫したてのソラマメを頂いた時などは、天にも昇る気持ちになる。はやる気持ちをおさえて塩茹でして、3つのお皿に均等に分ける。 普段、家族で一緒に食べる時は、面倒なので大抵のおかずは大皿に盛る。 でもソラマメだけは個々に分ける。 不公平があってはな
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