ちくま学芸文庫版の解説(野家啓一「「物活論」の復権」)のまとめ.【 】内はまとめというより解釈など. 続きを読む 本書の著者である大森と同様,フッサールもまた近代科学に対する根本的な異議申し立てを行い,世界観上の「包括的態度変更」を迫る.フッサールは近代科学の本質は「理念的数学化」にあるとし,そのルーツはガリレイによる「自然の数学化」であるとする;フッサールは『ヨーロッパ諸学の危機と超越論的現象学』においてガリレイに端を発する「自然の数学化」を批判的に考察し,数学的シンボルという「理念の衣」を廃棄して直接的経験のフィールドである「生活世界」に還ることを求める.この問題提起は密画的世界観( = 理念の衣)にたいする略画的世界観( = 生活世界)の根源性を主張したものとみることもできる. 【参考:id:somamiti:20050807#p1】 しかし大森はフッサールの近代科学批判をさらに批判