今年初めのストーリーにあったスレッド、RoRはゲットーだ - 「ゲットー」ってどういう意味?で思い出した。マイルス・デイビスの自伝のなかで一番好きな話で、彼がイーストセントルイスからニューヨークに出てきてまもなく、昼はジュリアード音楽院で学び夜はクラブでチャーリー・パーカーら実力派の音楽に触れ、しばしば演奏に参加させてもらえるようになった頃のことだ。 マイルスは、黒人ミュージシャンのほとんどが音楽理論を知らないことに驚く。年長のミュージシャンの多くは、音楽学校へ行くと白人みたいな演奏になるとか、理論を知るとフィーリングがなくなるとかいうように信じ込んでいた。当時マイルスは図書館に行ってストラビンスキーらクラシックの作曲家の譜面を借りたりして、ジャズに限らずあらゆる音楽に起こっていることを知ろうとしていたが、パーカーらはそういった他所のことに興味を示さない。マイルスは述懐する―― 知識は自由