正規分布というのは、富士山のように頂点があって裾野が広くて左右対称な分布である。そして、神秘的なことに、世の中の多くの分布が正規分布に従うといわれている。例えば、小学生や中学生の同一学年に全国学力テストを一斉に行ったとすれば、得点の分布は平均点を頂点に正規分布に従うであろう。では、なぜ、世の中の多くの分布が正規分布に従うのか。これは、経験則でそんなことが言えるというレベルなのか。いかにも不思議な、神秘的な話なのか。 実はそうではない。これはれっきしとた科学的・数学的思考から導き出された世の中の原理なのである。なんの根拠もない経験則なのではなく、きちんとした根拠から論理的に導き出した結論なのである。では、どのような思考によって導き出されるのか。そこで前提となるのが、まず、科学的思考には、測定と数学が必要不可欠であることである。別の言い方をすれば、科学的思考は、世の中を、数字で表そうとすること