神山ええ。オリジナルで劇場作品を作ろうと。でもそのころは、僕自身が「今後どういう作品を作っていけばいいのか」という点で悩んでいた時期でもありました。東日本大震災が起きたとき、直後に仙台へ『攻殻機動隊 S.A.C. SOLID STATE SOCIETY 3D』(11)を持って上映に行ったのですが「被災地に映画を持ってきてくれてありがとうございます」と言っていただいたものの、「本当に映画を楽しんでもらえただろうか」と、大変座り心地が悪い思いがしました。『009』が完成したときも、石巻が故郷の石ノ森章太郎先生原作ですから仙台でプレミア上映をさせていただきましたが、「復興のために」という雰囲気になる一方で、「地震前に書いていた脚本」なのになと、どこか嘘をついているような気分になった。震災の前と後とで、自分の、作品に対する気持ちが大きく変わってしまった感じがしたわけです。