認知症の「周辺症状」(詳しくは「対応に困る行動・言動」を参照)の中でも、代表的なものが「徘徊」と呼ばれる行動です。もちろん本人は「徘徊しよう」と思っているわけではなく、何らかの目的があって歩き始めて迷ってしまったり、何かじっとしていられないような理由があって歩き回ったりしています。しかし、事故や過労・脱水による衰弱など、自他に対する危害の心配もありますので、介護する人は目が離せず、身体的にも精神的にも負担の大きいものです。ここでは、「外出して帰ってこない人」を見守る介護家族の語りを紹介します。 なぜ歩きまわるのか? 「徘徊」の根底には、意識障害や認知機能障害があり、自分がいる場所・時間の見当がつかなくなり(見当識障害)、これが長年の生活習慣や職業習慣と結びついて、いろいろなパターンの「徘徊」を引き起こします。ストレスや不安・緊張などが加わると、その傾向は一層強くなります。私たちのインタビュ