話の屑籠 菊池寛 この作品は、菊池寛が「文藝春秋」に連載した自らの生い立ちの記です。 昭和三年五月から昭和四年十二月までの毎月計十八回の連載で一応作品としては終了していますが、戦後、その時期の回顧も含め二章を追加しています。菊池寛の生涯を知るための数少ない作品のひとつです。 なお、この作品には、章ごとにタイトルが付いてないので、かわりに執筆年月を記載しました。参考のため、本文中から最初の一文を抜きだして付加してあります。 昭和六年八月 早慶戦第一回に、男の子を連れ、見物に行く。... 昭和六年九月 東京朝日の女性相談という欄に、先日一人の女性が相談を持ち込んで曰く、... 昭和六年十月 大衆文芸は、維新時代を書き荒してしまった。... 昭和六年十一月 正宗白鳥氏が「改造」十月号で、「南国太平記」のことをけなしておられる。... 昭和六年十二月 土肥慶蔵博士が死んだ。... 昭和七年一月 「