1997年、宮崎駿監督の「もののけ姫」は神話を見ているかのような壮大な物語であった。 時代は、おそらく室町時代。東北地方にはまだ蝦夷の子孫が村落を作り、ひっそりと暮している。大和朝廷との戦いに敗れて、500年余りというような話が出てくるので、時代は14世紀~15世紀頃だろうか。 主人公のアシタカは、そこ村長の跡取り息子。責任感が強く、勇敢で、かつ戦闘能力も高い。まさに凛々しい若者である。 彼は、西国からやってきたタタリ神から村を守るために戦い相手を倒すが、右手に呪いを受けて痣を残してしまう。そして、このままでは、その呪いが全身に回り、命を落としてしまうだろうという占いを受けて、「誰にも定めは変えられない。ただ待つか、自ら赴くかは決められる」との言葉に従い、村を捨てて西国に行くことを決心するのである。 僕が気になったのは、その後の彼の行動には迷いが無いということ。つまり、そこには内面の葛藤と