サクサク読めて、アプリ限定の機能も多数!
トップへ戻る
画力アップ
www.nips.ac.jp
内容 基礎生物学研究所 神経生理学研究室の渡辺英治准教授は、同研究所の八杉公基研究員と立命館大学の北岡明佳教授、生理学研究所の坂本貴和子助教、サクラリサーチオフィスの田中健太博士との共同研究によって、深層学習機が「蛇の回転錯視注1」が引き起こす運動知覚を再現することを、新たに発見しました。深層学習機は、脳の神経ネットワーク構造や動作原理を参照して設計された人工知能のひとつであり、近年、画像分類や音声認識など、幅広い分野で画期的な成果を収めているだけでなく、脳の動作メカニズムを研究するためのツールとしても期待が高まっています。今回研究グループは、大脳皮質の動作原理として有力な仮説のひとつである「予測符号化理論注2」を組み込んだ深層学習機によって、錯視の再現ができるかどうかを検証しました。深層学習機に、我々の日常生活などの自然な情景を撮影した動画(約5時間)を繰り返し学習させたところ、学習した
食物に含まれる炭水化物、脂肪、蛋白質は、3大栄養素と呼ばれています。これらの栄養素は、体内での役割が異なるため、我々は食物を食べ分けることによって、これらの栄養素を必要に応じて食物から摂取します。しかし、動物が、どのようなメカニズムによって食物を選択し、摂取するかはほとんど分かっていません。 今回、自然科学研究機構生理学研究所の箕越靖彦教授と琉球⼤学第⼆内科(内分泌代謝・⾎液・膠原病内科学講座)の岡本士毅特命講師(元生理学研究所)は、「脂肪と炭水化物の食べ分け」を決定する神経細胞をマウスで発見しました。マウスは、脂肪を多く含む食物(脂肪食)を好んで摂食します。しかし、この神経細胞が活性化すると、脂肪よりも炭水化物を多く含む食物(炭水化物食)を摂取します。この神経細胞は、本能を司る古い脳「視床下部」に存在しており、絶食によって活性化し、炭水化物の摂食を促進します。その結果、絶食によって変化し
「ウイルスは生物か非生物か?」という議論は現在でも度々行われます。これはウイルスが生物と同じ遺伝子をもち、タンパク質でできていて、生物のように増殖するからです。しかし、ウイルスは生物の最小単位である細胞よりもはるかに小さく構造も単純で、生命の基本と言える「自己複製」能力を持ちません。ピソウイルスは2014年にシベリアにある3万年前の氷床コアから発見された世界で最も大きなウイルスです。全長が大腸菌とほぼ同じ2 μm*1程度あり形も同じ紡錘形をしています。しかし、自己複製能力がなくアメーバの細胞の中でのみ増殖します。今回、生理学研究所の村田和義准教授とウプサラ大学の岡本健太研究員らの研究チームは、ピソウイルスの構造を複数の特殊な低温電子顕微鏡を使って詳細に解析し、本ウイルスが生物のような形態的特徴をいくつも有することを世界で初めて明らかにしました。 本研究結果は、10月16日にScientif
www.nips.ac.jp/~myoshi
6/22 13:25 最新版のスライドをアップロードしました。これ以上のアップデートはありません。 6/21 0:40 最新版のハンドアウトをアップロードしました。 課題について:今回の講義で採り上げた論文のどれかひとつ以上について、内容をまとめた上で意識研究の側面からその論文の意義を(今日の講義を踏まえた上で)議論してください。分量はA4で最大2枚。 今回のハンドアウト、スライドは以下のリンクからダウンロード可能です。 スライドにはパスワードが設定してあります。パスワードは講義のときに配布したハンドアウトの最後に記載してあります。忘れた人は吉田までメールいただければ送ります(メアド情報は生理研の吉田のサイトにあり)。 [Part 1] 意識を科学的に研究するってどういうこと? 「意識は定義できないから科学の対象にならない」というのは正しくないよ!(サール) 「意識」という言葉で指している
このたび、慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室の田中謙二准教授、三村將教授、公益財団法人東京都医学総合研究所の夏堀晃世主席研究員、大学共同利用機関法人自然科学研究機構 生理学研究所の小林憲太准教授らの共同研究グループは、マウスを用いた実験で、目標に向かって行動を開始するためには、腹側線条体(注1)と呼ばれる脳領域の外側部位に存在する「やる気ニューロン」の活動増加に加え、内側部位に存在する「移り気ニューロン」の活動低下が必要であることを見出しました。 研究グループでは、これまでの研究で、マウスを用いた実験により、意欲障害となる脳内の部位を特定し、「やる気スイッチ」の存在を発見しています。また、目標に向かって行動する時には、腹側線条体と呼ばれる脳領域のうち外側部位に存在する神経細胞(やる気ニューロン)を活動させることが必要であり、この「やる気ニューロン」の機能異常によって、行動の開始が障害され
このたび、慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室の田中謙二准教授、三村將教授、生理学教室の岡野栄之教授、北海道大学大学院医学研究科の渡辺雅彦教授、防衛医科大学校の太田宏之助教、大学共同利用機関法人自然科学研究機構 生理学研究所の佐野裕美助教らの共同研究グループは、マウスを用いた実験で意欲障害の原因となる脳内の部位を特定しました。 意欲障害は、認知症や脳血管障害など、多くの神経疾患で見られる病態ですが、その原因については、脳が広範囲に障害を受けたときに起こるということ以外分かっていませんでした。研究グループは、大脳基底核(注1)と呼ばれる脳領域の限られた細胞集団が障害を受けるだけで、意欲が障害されること、この細胞集団が健康でないと意欲を維持できないことを発見しました。 今後は、この意欲障害モデル動物を用いて、これまで治療法が全く分かっていなかった脳損傷後の意欲障害における治療法を探索することが
神経結合は胎生期の遺伝子発現制御によりあらかじめ規定される。 −選択的な結合形成における新たな分子機構を提唱− 大脳皮質が正常な機能を発揮するには、神経細胞同士が適切な相手とシナプス結合することが重要です。これまでに、胎生期に同じ神経幹細胞から生まれた神経細胞群は生後シナプス結合を作りやすいことが報告されており、この結合は発達初期の脳機能に重要と考えられています。今回、生理学研究所の足澤悦子特任助教と吉村由美子教授は、同じく生理学研究所の平林真澄准教授と大阪大学大学院生命機能研究科の八木健教授との共同研究によって、マウスを用いて同じ神経幹細胞から生まれた神経細胞がシナプス結合する過程を詳しく調べた結果、同じ神経幹細胞から生まれた神経細胞同士が優先的にシナプス結合を形成しあっていることを証明しました。胎生期にのみ発現する、遺伝子の発現を制御する酵素である「DNAメチル化酵素」の働きが、将来的
これまで恐怖による交感神経活動の脳内ネットワークは明らかではありませんでした。今回、自然科学研究機構 生理学研究所の定藤規弘 教授と九州大学病院心療内科の吉原一文 講師らの研究グループは、恐怖による交感神経活動の脳内ネットワークを明らかにしました。 本研究結果は、 Neuroimage誌に掲載されました(2016年4月19日オンライン掲載)。 恐怖刺激などの環境ストレスに対処するためには交感神経系の活動上昇は必要不可欠です。最近の脳機能研究では、前帯状皮質や前部島皮質の脳活動が交感神経活動と関連していることが報告されています。しかし、恐怖による交感神経活動に関する脳内ネットワーク(脳領域間の機能的な結びつき)については、わかっていませんでした。 そこで、私たちは機能的磁気共鳴画像法(fMRI)を用いて32人の健常者に対してホラー映画とコントロール映画を視聴した時の脳活動を調査しました。fM
私たちは、ものを一目見ただけでそれがどのような手触りをしているか、詳細に判断する能力を持ちます。この能力には過去に自らが経験した、様々なものを実際に見たり触れたりした記憶が大きく関与していることは想像に難くありません。しかし「見て触れる」といった複数の感覚を伴う経験が、脳のどの部位にどのような影響を与えるのか、十分に知られていませんでした。 今回、自然科学研究機構 生理学研究所の郷田直一助教と小松英彦教授らの研究グループは、ヒトと同様の視覚・触覚機能を持つサルを用いた研究によって、様々な新しいものを実際に「見て触れる」経験をすることで、 視覚の情報処理を司る脳部位である「視覚野」の視覚刺激への反応が変化することを明らかにしました。つまり、単純に「見る」だけの場合と比べ、「見て触れる」といったような複数の感覚刺激を同時に経験することは、視覚の情報処理を司る視覚野の活動自体にも影響を与えている
末梢神経損傷によって未熟化した神経膠細胞(グリア細胞)が 難治性慢性疼痛を起こす脳内回路を作る − 難治性慢性疼痛の予防・治療に期待 − 事故などで外傷を負った後、怪我をした部位が治癒しても長期間にわたり痛みが持続するような場合があります。このような症状を難治性慢性疼痛と言いますが、なぜ傷ついた末梢組織が治癒した後も痛覚過敏が続くのか、この症状を引き起こす脳内メカニズムについては、これまで殆ど明らかにされていませんでした。今回、自然科学研究機構 生理学研究所の鍋倉淳一教授、山梨大学の小泉修一教授、福井大学の深澤有吾教授、理化学研究所の御子柴克彦チームリーダーと韓国慶熙大学校の金善光博士らの共同研究グループは、大脳皮質にある皮膚の感覚情報処理を行う脳部位において、脳内の神経膠細胞(グリア細胞)用語説明1の一種であるアストロサイト用語説明2が、末梢神経損傷の刺激を受けて未熟期の性質を再獲得する
リハビリテーションは脳の配線を変え、機能の回復を導く ―脳卒中後の麻痺肢の集中使用による運動野-赤核路の増強は、運動機能の回復と因果関係を有する― 脳卒中後のリハビリテーションは運動機能の回復にとって重要です。これまでに、脳卒中後に集中的にリハビリテーションを行うことで、神経細胞の突起の伸びが良くなる事などが報告されていました。しかし、リハビリテーションによる神経回路の変化と運動機能の回復との間に因果関係があるかに関しては解明されていませんでした。 今回、自然科学研究機構 生理学研究所の伊佐正教授と名古屋市立大学大学院医学系研究科の飛田秀樹教授および石田章真助教を中心とする共同研究チームは、脳出血を生じさせたラットに集中的なリハビリテーションを実施させる事で、運動機能を司る大脳皮質の「運動野」*用語1から進化的に古い部位である脳幹の「赤核」*用語2へと伸びる軸索が増加し、この神経回路の強化
みつめあった「記憶」は、二者間の脳活動の同期として痕跡を残す − 二者同時記録fMRIを用いた注意共有の神経基盤の研究 − お互いがみつめあい、お互いへ注意を向け合う状態は、ヒトが他者と複雑なコミュニケーションをおこなう前に必須な準備段階と言えます。この状態は、子供から成人へ成長する中で自然と獲得されます。このことから、互いに注意を向け合うことは、ヒトが他者とコミュニケーションをとる上での礎であると考えられます。しかしこれまでの研究では、ヒトが他者とみつめあっている際、我々自身にどのような現象が起こっているのか、さらには我々の脳内で一体何が起こっているのか、詳細は明らかにされていませんでした。今回、自然科学研究機構 生理学研究所 定藤 規弘教授と小池 耕彦特任助教、名古屋大学 田邊宏樹教授らの研究グループは、二者がコミュニケーションをとっている際の脳活動を同時に記録可能な特殊な機能的磁気共
内容 「時間の経過」を正確に把握することは、私達の日常生活を営む上で欠かせないものです。これまで線分の傾きや運動方向といった空間的な特徴は、特定の傾きや運動方向に選択的に応答する視覚野のニューロン群によって表現されていることが分かっていましたが、「時間の長さ」(時間長)をヒトの脳がどのように表現しているのかは明らかではありませんでした。本研究では、ヒトの脳に特定の時間長の刺激に対して選択的に発火するニューロン群(時間長選択性ニューロン)が存在するのかどうかを、機能的磁気共鳴画像(fMRI)法とfMRIアダプテーションと呼ばれる実験パラダイムを用いて調べました。一連の実験の結果、同一の時間長(数百ミリ秒)の刺激が繰り返し呈示された際に、異なる時間長の刺激が呈示された場合に比べて右縁上回の賦活強度が減弱することを発見しました。また、このような右縁上回の賦活強度の減弱は、被験者が刺激の時間長に注
脊髄損傷や脳梗塞の患者のリハビリテーションでは、意欲を高くもつと回復効果が高いことが、これまで臨床の現場で経験的に知られていました。それとは逆に、脳卒中や脊髄損傷後にうつ症状を発症するとリハビリテーションに支障が出て、運動機能回復を遅らせるということも知られています。しかし、実際に脳科学的に、“やる気や頑張り”といった心の状態が、運動機能回復にどのように結び付いているのかは解明されていませんでした。 今回、自然科学研究機構・生理学研究所の西村幸男准教授と京都大学大学院医学研究科大学院生(当時)の澤田真寛氏(現・滋賀県立成人病センター 脳神経外科)、理化学研究所・ライフサイエンス技術基盤研究センターの尾上浩隆グループディレクターの共同研究チームは、脊髄損傷後のサルの運動機能回復の早期において、“やる気や頑張り”をつかさどる脳の領域である「側坐核」が、運動機能をつかさどる「大脳皮質運動野」の活
コミュニケーションを取っている二人の間では、二人が意識をする、しないに関わらず、体動などの動きが同期するといった報告がいくつかなされてきました。しかし、コミュニケーション中の二者の体動が、なぜ無意識であるにも関わらず同期するのか、そのメカニズムはよく判っていませんでした。今回、自然科学研究機構 生理学研究所の定藤教授と岡崎研究員は、無意識の体の動きの同期に必要かつ基本的なメカニズムとして、二者間の視覚による体動制御が対等になる必要があることを明らかにしました。本研究結果は、PLOS ONE誌オンライン版(2015年9月23日)に掲載されます。 これまで会話中の二者間の体動が同期するなど、コミュニケーションをとっている二者間において、体動などの動きが同期するといった現象がいくつか報告されていました。今回岡崎研究員と定藤教授らの研究グループは、静止立位時に生じる小さな体動に注目し、会話などの手
PDF形式のファイルをご覧いただくには、Adobe Readerが必要です。 Adobe Readerをお持ちでない方は、まずダウンロードして、インストールしてください。 BMIとはブレイン・マシン・インターフェースの略称です。脳情報を利用することで、脳(ブレイン)と機械(マシン)を直接つなぐ技術(インターフェース)のことです。 我が国が得意とする低侵襲・非侵襲のBMI技術を活用したロボットアームや歩行用アシスト等と連動させる機能代替・補助・補完技術、リハビリテーション技術及び精神・神経疾患の新規治療法を医工連携等により開発することで、自立支援や精神・神経疾患等の克服を目指す研究開発を実施します。 また、ヒトを対象とする研究については、世界医師会「ヘルシンキ宣言」(ヒトを対象とする医学研究の倫理的原則)や関係指針等に加え、機関内規程や学会の指針等を遵守して行うとともに、動物を対象とする研究
これまで痒み知覚に対する大脳皮質刺激の抑制効果は検討されていませんでした。今回、自然科学研究機構 生理学研究所の柿木隆介教授および 中川 慧研究員(現所属:広島大学)らは、経頭蓋直流電気刺激法(tDCS)による痒み知覚の抑制効果を明らかにしました。本研究結果は、Clinical Neurophysiology誌(2015年9月号)に掲載予定です。本研究は、文部科学省 科学研究費補助金、私立大学戦略的研究基盤形成支援事業、および革新的イノベーション創出プログラム(COI STREAM)の補助を受けて行われました これまで痒み知覚に対する大脳皮質刺激の抑制効果は検討されていませんでした。今回、自然科学研究機構 生理学研究所の柿木隆介教授および 中川 慧研究員(現所属:広島大学)らは、経頭蓋直流電気刺激法(tDCS)による痒み知覚の抑制効果を明らかにしました。本研究結果は、Clinical Ne
唐辛子に含まれるカプサイシンが辛さ(痛み)を生じさせるメカニズムに、感覚神経にあるTRPV1(トリップ・ブイワン)というイオンチャネルの活性化が関与することは、10年以上前から広く知られています。またTRPV1と同じ感覚神経に発現しているアノクタミン1というイオンチャネルが、TRPV1とは独立して痛みを発生させることも知られています。今回、自然科学研究機構 生理学研究所(岡崎統合バイオサイエンスセンター)の高山靖規特任助教、富永真琴教授、古江秀昌准教授は、富山大学の歌大介助教との共同研究により、カプサイシンによってTRPV1が活性化すると、アノクタミン1の活性化が強く誘発され、痛みがさらに増強することを、マウスを用いた研究によって明らかにしました。また今回の研究成果では、アノクタミン1活性の薬剤による阻害が、疼痛の緩和効果を発揮することも証明しました。本研究成果は、米国科学アカデミー紀要(
顔認知は言語認知と同様に、人間が社会生活を送る上で非常に重要な脳機能ですが、これまで十分には、そのメカニズムは解明されてきませんでした。 今回、自然科学研究機構生理学研究所の松吉大輔研究員(現所属:東京大学)、柿木隆介教授、定藤規弘教授らの研究グループは、顔を認識している時の人間の脳活動を機能的磁気共鳴画像法(fMRI)に用いて詳細に解明しました。 人間は、顔が逆さまになっていると、それを正確に認知する事が大変困難になり、「倒立顔効果」として知られています。松吉研究員らは、正立顔と倒立顔を認知する時の脳活動の相違を比較しました。 通常、顔認知機能は、他の物体認知機能とは独立して脳内に存在する事が知られています。しかし今回の研究で、正立顔の認知の場合には、物体認識に関わる脳部位が抑制される一方、倒立顔ではこの抑制が行われておらず「顔か物体か分からない」状態になっていることが分かりました。つま
私たちの持つ重要な視覚機能の一つに様々な素材(木材、金属、布など)の表面のテクスチャを識別する能力が挙げられます。この機能が私たちの脳内のどのような働きで実現されているのか多くは知られていませんでした。今回、自然科学研究機構 生理学研究所の小松英彦教授、岡澤剛起研究員および理化学研究所の田嶋達裕研究員(現所属:ジュネーヴ大学)のグループは、ヒトと近縁な種であり高度に視覚機能の発達したマカクザルがテクスチャを見ているときの脳活動を計測し、得られた活動が、以前米国の研究者の開発したコンピュータ上のモデルにより部分的に説明できることを明らかにしました。本研究結果は、米国科学アカデミー紀要(2014年12月23日オンライン)に掲載されます。 私たちが目にする多くの物体の表面には、様々なテクスチャが存在し物体固有の質感を生み出します。テクスチャを識別する視覚の機能は、物体の素材の判断(木材、金属、布
九州大学大学院歯学研究院の城戸瑞穂准教授、合島怜央奈研究員(佐賀大学大学院医学系研究科博士課程4年)、自然科学研究機構生理学研究所の富永真琴教授らのグループは、口腔粘膜上皮に発現している温度感受性イオンチャネルTRPV3 が、温かい温度を感知し、創傷の治癒を促進することを明らかにしました。口腔の傷が皮膚の傷よりも早く治癒し、瘢痕も少ないことに、このTRPV3が関係すると考えられることから、創傷治癒の新たな治療薬の開発に繋がる研究成果と言えます。 本研究成果は、2014年10月28日(火)に米国科学雑誌『The FASEB Journal』に掲載されました。 <背景> 口腔は、消化管の入口にあり、飲食物などの多様な刺激に常に曝されています。口腔に加わる温度や機械刺激などは、粘膜に分布している神経によって感じているとされています。研究グループでは、口腔への刺激の受容には口腔内を被覆している粘膜
これまで光沢を評価する脳の仕組みは明らかではありませんでした。今回、自然科学研究機構 生理学研究所の小松英彦教授および西尾亜希子研究員らは、株式会社国際電気通信基礎技術研究所(ATR)の下川丈明研究員と共同で、画像のどのような情報を元に脳が光沢を評価しているかを明らかにしました。本研究は、Journal of Neuroscience誌(2014年8月13日号)に掲載されました。 私たちの研究グループは、光沢が2つの指標(ハイライトのコントラストと鋭さ)によって知覚されているという心理実験の結果に注目。これらの指標を変化させた画像を作成し、その画像を見ているサルの下側頭皮質の神経細胞の活動を詳細に調べたところ、脳の神経細胞がハイライトのコントラストや、鋭さ、および物体の明るさを指標としていることがわかりました。また記録した神経細胞の活動を用いることで、それらの指標を再現できることも明らかに
脳からの信号を四肢に伝える経路である脊髄を損傷すると、損傷領域以外の脳や下肢に問題が無くても歩行障害が生じます。この歩行障害の改善には損傷した脊髄を繋ぎなおす必要がありますが、これまで実現できませんでした。今回、自然科学研究機構生理学研究所の西村幸男准教授を中心とした、笹田周作研究員(現所属:相模女子大学)、福島県立医科大学の宇川義一教授、及び千葉大学の小宮山伴与志教授らの研究グループは脳から上肢の筋肉へ伝えられる信号をコンピュータで読み取り、その信号に合わせて腰髄を非侵襲的に磁気刺激することにより、脊髄の一部を迂回して人工的に脳と腰髄にある歩行中枢をつなぐことで下肢の歩行運動パターンを随意的に制御することに世界で初めて成功しました。本研究結果は、The Journal of Neuroscience誌(2014年8月13日号オンライン)に掲載されます。 ヒトが歩くときの脚の運動リズムや左
突発性難聴は急激に聴力が低下する原因不明の疾患で、日本における受療率は年間1万人当たり約3人で増大傾向が認められます。突発性難聴に対してどの治療法が有効かは判明しておらず、現在主流であるステロイド療法の有効性に関してさえ論争中です。今回、自然科学研究機構生理学研究所の岡本秀彦特任准教授、柿木隆介教授と他の研究グループは共同で、突発性難聴を発症した患者さんに、聞こえが悪くなった耳を積極的に活用してもらうリハビリテーション療法で、聴力がより回復することを明らかにしました。 突発性難聴が起こると病側の耳が聞こえにくくなる為、使われなくなってしまいます。ヒトの体の機能は使用されないと衰えてしまうため、本研究では聞こえにくい耳を保護するのではなく、むしろ積極的に使用し耳や脳の神経活動を活性化させることで聞こえを回復させました。安価で安全な突発性難聴治療方法として注目されます。本研究成果はサイエンティ
第5回多次元脳トレーニング&レクチャー 「ヒト、サル、ラットの脳解剖学から神経回路を観察・解析・操作する技術へ」 日程: 2016年2月22日(月)-25日(木) 開催場所: 自然科学研究機構・生理学研究所(愛知県岡崎市) 参加申請: 締切 2016年1月27日(木)15:00 募集人数: 20名程度 応募様式: 下記参照 申し込み送付先: 生理学研究所 吉友美樹 過去10年間で脳の神経回路を理解するための方法論が大きく進展しました。ただ、神経回路は電子回路とは事なり、大変複雑な構造を有しています。このような「生ものとしての神経回路」を解析していくためには、解剖学の基本に基礎を置きつつ、様々な方法論の可能性と限界を正しく理解しておくことが必要です。一方で、若手研究者や様々な分野から参入しようとする異なる専門分野の研究者の方にとっては、十分な講義や実習を受ける機会がありません。またモデ
極端な低温や高温に曝されたり、刺激性の化学物質に触れると痛みを感じます。今回、痛みを引き起こす刺激のセンサーであるTRPA1(トリップ・エーワン)をニワトリから単離し機能解析を行い、ニワトリTRPA1が刺激性の化学物質および高温のセンサーとして働くことを明らかにしました。変温動物の両生類や爬虫類のTRPA1も高温のセンサーであるのに対して、哺乳類のTRPA1は高温センサーではないことが知られています。同じ恒温動物である鳥類と哺乳類のTRPA1の温度感受性が一致していないことが分かりました。 また、鳥類忌避剤として利用されるアントラニル酸メチルがTRPA1により受容されることを新たに発見しました。更に、この化学物質によるTRPA1の活性に重要な役割を担う3つのアミノ酸を同定し、これまで不明だったアントラニル酸メチルによって引き起こされる忌避行動の分子メカニズムを解明しました。本研究成果は国際
痒いところを掻くと快感が生じます。しかしながら、その脳内メカニズムは不明でした。今回、自然科学研究機構生理学研究所の望月秀紀特任助教授、柿木隆介教授は、掻くこと(搔破)によって生じる快感に報酬系と呼ばれる脳部位(中脳や線条体)が関係することを明らかにしました。本研究成果は米国の学術専門誌Journal of Neurophysiology(神経生理学雑誌)の1月号に掲載予定です。 研究グループは、実験的に手首に痒みを誘発し、その近辺を掻くことによって快感を生じさせました。そのときの脳の活動を、磁気共鳴断層画像装置(fMRI)を使って調べました。その結果、中脳や線条体といった報酬系と呼ばれる脳部位が強く反応することを世界で明らかにしました。すなわち、報酬系の活性化が掻破による快感を引き起こす原因と考えられます。これは世界で初めての発見です。 望月特任助教は、「気持ちよいからもっと掻いてしまう
脊髄損傷や脳梗塞による運動麻痺患者の願いは、「失った機能である自分で自分の身体を思い通りに動かせるようになりたい。」ということです。しかしながら、これまでのリハビリテーション法・運動補助装置では一度失った機能を回復させることは困難でした。今回、生理学研究所の西村幸男 准教授と米国ワシントン大学の研究グループは、自由行動下のサルに大脳皮質の神経細胞と脊髄とを4x5cmの神経接続装置を介して人工的に神経結合し、大脳皮質と脊髄の繋がりを強化することに世界で初めて成功しました。本研究成果を日常生活で利用可能な脊髄損傷や脳梗塞などの運動・感覚麻痺に対する新しいリハビリテーション法として応用することを目指します。本研究結果は、神経科学専門誌NEURON誌(2013年11月7日オンライン速報)に掲載されます。 研究チームは大脳皮質と脊髄間の繋がり(シナプス結合)を強化する目的で、自由行動下のサルの大脳皮
概要 神経細胞は多くの異なる種類の細胞種が存在している。それらが複雑な神経回路網を作ることで外界の刺激を受容したり、多様な運動パターンが作られたりしている。これらの異なる神経細胞は、それぞれ異なる働きをしているため、細胞種を同定し、解析を行うことが非常に重要である。近年、モデル動物においては、様々な細胞種を蛍光タンパク質で可視化したトランスジェニックラインが作製されており、目的に応じて、これらのラインを利用することで、簡便に目的の細胞の同定や解析を行うことが可能になっている。特に、ゼブラフィッシュは体が透明であるため、生きたまま、蛍光タンパクを観察する事が可能であり、各神経細胞を可視化したラインは、様々な研究においてきわめて有用である。 今回、自然科学研究機構生理学研究所の佐藤千恵研究員、東島眞一准教授らは、様々な脊髄介在神経を可視化するトランスジェニックラインを作製した。作製したライン群
次のページ
このページを最初にブックマークしてみませんか?
『生理学研究所ホームページ トップページ』の新着エントリーを見る
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く