京都には古来より多様な庭の文化が息づいています。池を中心に庭を巡る池泉回遊式庭園、水を使わず白砂と石を組み合わせることで山水を表現する枯山水庭園、茶室に付随する露地庭(茶庭)などの様式があります。宗教的風景や自然の風景、物語の風景を写すことで独自の精神世界を表現してきた庭園。近代に入り小川治兵衛や重森三玲らの作庭家により、さらに多様な魅力を発信し続けてきました。 三玲の孫であり、重森庭園設計研究室の代表として、作庭とともに庭園の魅力を発信する活動をされている重森千靑さんに、庭園に秘められた意味や初秋の魅力などをお聞きしました。 1200年の歴史ある京都で、庭園は最先端の文化として発展してきました。 極楽浄土を表現した庭が作られた平安時代から、貴族は競って大庭園を造るようになり、専門の職能集団も出てくるようになりました。室町時代には、禅の教えを取り入れた枯山水庭園が登場しました。安土桃山時代