雲中供養菩薩像体部の垂直左側断面のエックス線CTスキャン画像。cの部分で上下に切り離し、背側に薄い板材をはめ込んでいる。中央は内刳り(奈良国立博物館提供) 平等院(京都府宇治市)は30日、鳳凰堂内の上部壁面に掛けられていた雲中供養菩薩(ぼさつ)像(国宝)のうち1体の調査で、上半身を前傾させるため、一木から彫って仕上げた像を腹部で切り離して微調整したことが分かった、と発表した。奈良国立博物館(奈良市)のエックス線CTスキャン調査で判明した。 雲中供養菩薩像は平安中期の仏師、定朝(じょうちょう)の工房で制作された52体の群像。うち、雲に乗って鞨鼓(かっこ)を奏でる姿の「南14号」(高さ62・3センチ)を調べた。 調査で、背面にある上半身と下半身の接ぎ目に、厚さ最大3・5ミリ、幅最大35ミリの薄い板材がかませてあることが分かった。体部は一木から彫り出した後、縦に二つに切り離し内刳(ぐ)りを施して