被災した紙資料の再生に活用される世界最大の真空凍結乾燥機=19日、奈良市の奈良文化財研究所、成川写す 津波で水につかった紙の資料を再生するために、奈良市の奈良文化財研究所(奈文研)が、所有する世界最大の真空凍結乾燥機を活用することになった。 乾燥機は直径1.6メートル、長さ6メートル。遺物用のコンテナ(縦53センチ、横36センチ、深さ31センチ)約120箱分が一度に処理できる。マイナス40度で凍結させた後に真空状態にして、水分を飛ばす仕組みで、普段は遺跡から出土した木製品の保存修復に使われている。 文化財指定の有無を問わず、一般の民家に伝わる古文書や図面、戸籍簿や登記簿などの公文書、個人の日記に至るまで、紙資料のすべてを受け入れる方針だ。5月上旬には第一弾として、NPO法人「宮城歴史資料保全ネットワーク」(仙台市)が収集した古文書などを処理するという。 高妻洋成(こうづま・ようせい