吉田東伍の論文が掲載された学会誌「歴史地理」(右)と、論文冒頭のコピー(阿賀野市保田の吉田東伍記念博物館で) 阿賀野市(旧安田町)出身で「大日本地名辞書」の著者として知られる歴史地理学者・吉田東伍(1864~1918)が、東日本大震災とほぼ同じ地域に巨大津波が押し寄せていたとされる869年の貞観地震についてまとめた日本で初めての学術論文が、先見性の高さから注目を集めている。約100年前に発表した論文では、津波で広域にわたって甚大な被害が出たことを示し、「津波の痕跡を探すべきだ」と提起していた。 「貞観十一年陸奥府城の震動洪溢(こういつ)」と題した論文は1906年、日本歴史地理学会の「歴史地理」誌に発表された。震災後に阿賀野市立吉田東伍記念博物館がインターネットで公開し、5月に渡辺史生館長が解説を付けて復刻したところ、ネットでの閲覧や全国からの注文が相次いでいる。 渡辺館長によると、吉田は、