大分県由布市にある由布院美術館が3月31日で閉館する。昨年、20周年を迎えたばかりだった。 美術館は由布岳を背景に建つ。建物の設計は象(ぞう)設計集団。一部の展示室は、屋根に土がのせられ地中に埋まっているような印象だった。温泉を利用した足湯がる個性的な美術館で、個人的には2度訪ねた。 主な所蔵作品は放浪の画家で詩人の佐藤溪(けい)(大正7年~昭和35年)だった。全国を歩いた佐藤が亡くなったのが湯布院だった。妖艶(ようえん)さと朴訥(ぼくとつ)さを併せ持つ絵にほれ込んだ高橋鴿子(はとこ)館長が、作品を展示するために開設したのがこの美術館だった。所蔵作品は300点、その中から常時60点を展示していた。 この地は朝霧が有名だが、「霧による湿気が強いため作品を維持管理していくのが難しくなった」と高橋館長は話す。20年の節目に閉館を決意した。作品は別府市にある姉妹館「聴(ちょう)潮(ちょう)閣(かく