今年、考古学のニュースで注目されたのはまず、日本列島の人類史にかかわる発見だ。 2月、サキタリ洞遺跡(沖縄県南城市)で、旧石器時代(約1万9000~1万6000年前)の、同時代に国内で例のない貝殻で作った道具類と、人骨片が出土した。土壌がアルカリ性の沖縄は、本土の酸性土壌で残りにくい人骨が出土しながら、石器はほとんど見つかっておらず、文化像が不明だった。本土から独立した「貝器文化」の存在が浮かび、沖縄の人骨を縄文人の祖先とみる従来の考え方に一石を投じた。 同遺跡では12月にも、8000年前(縄文時代早期)以前のほぼ完全な上半身の人骨が見つかり、最古級の人為的埋葬の可能性も指摘された。 関連して、小竹(おだけ)貝塚(富山市)も注目された。1月、これまで出土した縄文時代前期(約6750~5500年前)の人骨が計91体に上ると明らかになった。DNA分析で、現代の沖縄住民に多い「南方系」タイプとロ