桐生市立西小学校の校舎内に、二万点以上の地元の歴史資料を集めた「教育資料室」がある。江戸時代の教科書や明治時代にノート代わりに使った石板、市内の古い写真などを保管し、広く市民が手に取れるように公開している。開室以来十八年にわたり室長を務めている元西小校長で、市文化財調査委員の大里仁一さん(82)は「子どもたちが目を輝かせるような資料がたくさんあります」と話す。 (杉原麻央) チャイムの音や児童の声が響く校舎二階の空き教室に、さまざまな書物がところ狭しと並ぶ。「これは珍しいですよ」。大里さんが取り出したのは、一九三四(昭和九)年、昭和天皇が市の織物業を視察したときの記念写真集。当時の西小講堂に、各工場の織機が勢ぞろいした様子が写っている。