リノベーションした蔵を展示空間に活用した「ギャラリー・エフ」オーナーの村守恵子さん(76)が、声を弾ませる。3年ほど前、隣接地と一体的な開発を図る計画が浮上し、土地を手放すことにしたが、蔵だけは何としても残したかった。 深大寺とつないだのは、地元の台東区で文化財保護審議会委員を務める建築史家・稲葉和也さん(83)=狛江市=だ。昨年秋、深大寺の張堂 興昭(ちょうどうこうしょう)住職(45)と会ったときに蔵のことを話題にした。張堂さんは「消滅危機にある古い建物を守りたい」と江戸期の建物を探していた。「戦災と震災をくぐり抜けた蔵を迎えることには意義がある」と、移築を引き受けることに。今年2月に正式な手続きをした。