鳥取市の常松(つねまつ)菅田(すがた)遺跡で古墳時代前期(4世紀)とみられる木製の椅子「指物腰掛(さしものこしかけ)」が完全な形で出土し、鳥取県教育文化財団が29日発表した。部材が外れず元の状態で出土するのは珍しく、当時の加工技術がうかがえるという。 腰掛は座板(縦16センチ、幅61センチ)と2本の脚(高さ38センチ)からなる。脚の上部に開けた穴に、座板の端を差し込み、くさびで固定した構造で、倒れた状態で出土。周辺は弥生~古墳時代の集落跡とみられ、祭祀(さいし)や機織りなどに使用したものと考えられるという。 指物腰掛は座板の下から脚を差し込む構造が知られており、工楽善通(くらくよしゆき)・大阪府立狭山池博物館長(考古学)は「ユニークな組み方。祭祀など特別な時に使った腰掛ではないか」と話している。現地説明会は31日午前11時から。JR山陰線宝木(ほうぎ)駅の南約1キロ。問い合わせは同財団(0