落語と「俳優の演技」は、まったくの別物 NHKでドラマ『昭和元禄落語心中』が始まった。 タイトルからして妖艶で、なかなか切ないドラマである。 落語には、もともと、どこか切なさがある。その芯の部分でつながっていて、落語好きが見ても心に迫ってくるドラマに仕上がっていた。 岡田将生がよかった。 彼は落語の名人、有楽亭八雲を演じている。 この八雲役は、なかなかむずかしい。 ドラマはやがて、八雲の若い時代をたっぷりと描くので、だから若い岡田将生に割り当てられているが、第一話での八雲は老齢である。 俳優が落語家を演じて、そのまま落語を話すと、ときどき聞きづらくなることがある。 それはおそらく、俳優が芝居で話すセリフと、落語のなかで語るセリフが、根底で違っているからだ。 落語家は登場人物になりきるわけではない。 複数の人物を一人の演者が演じ分けているので、完全にはなりきらない。なりきってはいけない。 一
枝雀が棋士役で出演した「ふたりっ子」。手前は岩崎ひろみ=NHK提供 演出家の長沖渉君は、NHK時代に将棋をテーマにした連続テレビ小説「ふたりっ子」も手がけていた。枝雀が永世名人役で出させてもろてたんやけど、ちょうど体調が悪くなってきてたころで、ご苦労をおかけしたんです。 「ものすごいハイテンションでしたから。ドラマにえらいノッテくれてはるんやと、喜んでいたんです。でも、今から思うと、鬱(うつ)の前の躁(そう)がきてたんでしょうね」。なんでも、ホテルの宴会場で一緒にドラマに出演してた歌手河島英五さんの「野風増(のふうぞ)」をご本人のギター演奏で、えらい勢いで熱唱してたらしい。「もう死んでもええ!」と言いながら。 それが、収録もいよいよ佳境を迎えるころになって、長沖君の家に早朝に電話をかけてきた。 「エラいことになりました。もうどうしようもありません。もうセリフが全然入りませんねん。も
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