大学院に通っていた頃の話。同じ研究科の親しい友人がスピーチコンテストに出場することになった。彼女は優秀な留学生で、コンテストは日本語を学んでいる留学生を対象としたものだった。「変な日本語があったら直してくれる?」と言う彼女からスピーチ原稿のデータをもらい、読んでみると、それは遠い国からひとりで日本に来た彼女が自分の体験談を交えながら『夢を持つこと』の大切さを訴える内容だった。内容はともかくとして、これはたいへんな作業になるぞ、と私は思った。彼女の日本語はとても流暢ではあったが、書き言葉になるとどうしても端々に違和感と、英語表現特有の"強さ"みたいなものが出てしまう。私は、例えば、彼女が「一般的に多くの人は〇〇について××と考えやすいですが、その考え方が間違っているということを私は強く主張します」と書いたことを、「みなさんの中には〇〇と言うと××と考える方も多いかもしれませんね。でも、私の考