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新美南吉 ごん狐 - 青空文庫 まず最初が良い。一段落めで、語り手が伝聞であることを明かす。二段落めは、背景説明。三段落めになると、「私」が消え「ごん」が現れる。四段落めで、物語が始まる。五段落め、「ごんは、ほっとして穴からはい出ました」。語りがごんに寄り添う。ズームインしてピントを合わせる、流れるようなカメラワーク。 それに対して終わりの引きは急だ。最後の場面、ここまでごんに寄り添っていた語りが急に転回し、「兵十は、ふと顔をあげました」。ここから兵十の決断は早い。狐を認めると、「ようし。」の一言ですぐに発砲する。最初のなめらかさと、最後の唐突さ。いきなり撃たれたという印象がごんへの同情を誘う。かわいそうなごん! 償いに来たことが伝えられさえすれば! 兵十さん厳しすぎ! しかし兵十が撃ったのは充分に合理的な行動だった。それはもちろんごんが撃たれて当然のことをしたからではない(そういう感想は
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