サクサク読めて、アプリ限定の機能も多数!
トップへ戻る
猫
anotherway.jp
9月にETC Pressから出版されたSabrina Culyba著「The Transformational Framework」がとても良い文献ですので紹介します。本書は多くのシリアスゲーム開発を手掛けたゲーム開発会社Schell Games(カーネギーメロン大学ETC教授でゲームデザイナーのJesse Schell氏が設立)でゲームデザイナーとして活動する著者が、同社のこれまでに蓄積してきた開発ノウハウを体系的に整理した解説書です。 教育/学習ゲーム、研修ゲーム、教育シミュレーション、シリアスゲーム、アプライドゲーム、ゲーミフィケーション、ゲームズ・フォー・ヘルス、ゲームズ・フォー・チェンジなど、さまざまな呼び方で広がってきた、娯楽を超えた用途や効果のためのゲームのことを「トランスフォーメーショナルゲーム」(変容を起こすゲーム)と総称して、そのデザインフレームワークとして8つの要素に
財務省ウェブサイトに掲載されているゲーム「財務大臣になって財政改革を進めよう」がネット上で話題になってますが、折しもちょうど先日、米国で同じテーマのシリアスゲームがリリースされました。日米のシリアスゲーム分野の現状を反映した面白い事例ですので、比較しつつそれぞれ紹介したいと思います。 「財務大臣になって財政改革を進めよう」 http://www.zaisei.mof.go.jp/game/yosansinario/ 「The Fiscal Ship」 http://fiscalship.org/ まず、日本の財務省の「財務大臣になって財政改革を進めよう」は、ゲームとしての作りの甘さが目立つこともあり、ネット上でも批判や皮肉のコメントが多く見られます。実際、試しにプレイしてみると、社会保障費をざっくり削ればあっけなく目標達成できてしまい、その負の側面を感じることもなく、下記のゴール画面が出て
東北大学の竹内光准教授・川島隆太教授らの研究グループの、小児における長時間のビデオゲームプレイ習慣が言語知能の低下など悪影響を及ぼすことを発見した、という「Molecular Psychiatry」に掲載された下記の論文が話題になっています。この手の研究が出るたびに、ゲーム業界団体は何か適切なアクションを起こした方が良いのではと思いますが、このまま放置しておくとゲームの悪いイメージだけが無用に広がりそうなので、少しコメントしたいと思います(私は脳科学や発達心理の専門ではないので、その点ご留意ください)。 Impact of videogame play on the brain’s microstructural properties: cross-sectional and longitudinal analyses(Molecular Psychiatryに掲載された当該論文) htt
図書館と生涯学習 おれが若しこの新聞の主筆ならば、 やらむーと思いし いろいろのこと(啄木) 図書館への怨念 友人が公立図書館長の公募に応募することになりました。その時の彼との問答の一部は、振り返ってみると、図書館に対する我が長年の愚痴と憧れの綯い混ざった心情の吐露のようでした。筆者は国立社会教育研修所に勤務した時代、図書館司書の研修を担当する専門職員であったことがあります。 司書という「専門職業」(?)人に対する幻滅と怒りはその時から今に至るまで引きずっています。私の体験した司書たちは、専門性は低く、プライドだけが高く、図書館は「文化施設」であるという幻想の上にあぐらをかき、「成熟した市民」だけが自分たちのサービスの対象であるとうそぶき、当時の社会教育をも、図書館を利用しない一般市民をも見下していました。 結果的に、研修の受講態度はいい加減なことが多く、Worst2でした。(Worst1
藤本 徹 Toru FUJIMOTO, Ph, D. 東京大学大学院情報学環 特任助教 1973年生まれ。慶應義塾大学環境情報学部卒。民間企業等を経てペンシルバニア州立大学大学院博士課程修了。博士(Ph.D. in Instructional Systems)。2011年より現職。慶應義塾大学環境情報学部、東京工芸大学芸術学部非常勤講師、産学連携推進機構、立命館大学客員研究員を兼務。専門は教授システム学。特にゲームの教育利用、社会的応用研究、シリアスゲーム開発者教育に従事している。著書に「シリアスゲーム」(東京電機大学出版局)、訳書に「テレビゲーム教育論」(同)、「デジタルゲーム学習」(同)など。メールアドレス: アナザーウェイのコンセプト 自分のキャリアや生き方について、たまにブログで記していますのでご覧ください。 アナザーウェイ: Career & Life 研究者としてのゴール・テ
インストラクショナルデザイン(ID)という名称も少しずつ一般に普及してきて、そのうちIDをご指名で勉強したい分野として志す人も少しずつ増えてくることと期待している。IDの理論を学ぼうとも学ばずとも、インストラクションを設計して、学ぶ仕組みを作る人はインストラクショナルデザイナーである。これは前にも書いた。 では、インストラクショナルデザイナーに向いてる人はどういう人か。間違いなく、勉強が好きではない(嫌いな)人、あるいは楽をして勉強することばかり考えている人に適性の高い職種だ、と私は思う。基本的にインストラクショナルデザイナーとは、何か学ばないといけないことがあったら、それを教える人ではなくて、効率的効果的に学ぶ方法を考えて仕掛けを作る人のことである。効率的とは、習得スピード向上や手間の軽減のことで、効果的とは、同じことを学んで、より深く学べるとか、余計に力がつくということを意味する。なの
ローレンス・レッシグ教授の提唱するクリエイティブ・コモンズの概念をもとにデザインされたゲーム「The Free Culture Game」が最近公開されて話題になっているようです(ソース: WaterCoolerGames)。 The Free Culture Game http://www.molleindustria.org/freeculturegame-eng このゲームはシンプルなウェブゲームで、知識を自由に共有する「コモン」とその周辺で知識を消費する「マーケット」の関係が描かれています。 コモンにいる人々が知識を出し合って共有しているところを、周辺で活動して知識の権利を囲い込んでマーケットを支配しようとするVectorialistがコモンに集まった知識を吸い取り、商品としてマーケットにいる消費者に提供しようとします。コモンにある知識が吸い取られて乏しくなると、人々は消費者化し
カーネギーメロン大学が子ども向けのネットワーク・コンピュータセキュリティ教育のためのゲーム、「My SecureCyberspace Game」を開発し、下記のウェブサイトで無料提供しています。 このゲームは、小学4−6年生対象のFlashゲームで、3つのミッション(Mail mission(悪質メールを見分ける)、Chatroom mission(チャットルームでの個人情報の扱い方)、Web site mission(悪質なサイトを見分ける))が提供されており、今後、ネチケット、著作権、コンピューターウィルス、いじめ等など、インターネットを楽しく使用する上で、必要なルールやマナーを学ぶことができるミッションが順次追加される予定とのことです。 昨年10月末に正式リリース後、このゲームがカリキュラムの一部として全米各地で34校ほど(主にペンシルバニア州)で使用されています。ネットセキュリティ
カーネギーメロン大学の大学院生、Johnny LeeさんのWiiリモコンの技術を応用して作ったソフトウェアの紹介ビデオが話題になってます。今日もMLで流れてました。 Wiiリモコンの認識機能をパソコンで制御するソフトウェアを開発して、プロジェクターで映し出したパソコン画面上にポインターを使って絵を描いたり、ウィンドウ制御をしたりできる、マルチタッチホワイトボード、あるいはタブレットPCの機能を実現しています。Wiiリモコンを使うと市販のそれらの製品よりも大幅に低コストでできるそうです。サンプルのソフトウェアと導入方法もJohnnyさんのウェブサイトで提供されています。Tech系のブログでは日本語でもいち早く紹介されてますね。 Wii リモコンで頭の位置を認識する VR システム(Engadget) http://japanese.engadget.com/2007/12/23/deskt
国内のシリアスゲーム事例のなかで、ウェブで無料で提供されているものをいくつかご紹介します。 「ライフシミュレーション人生劇場」 宮崎県の就職相談支援センター「ヤングJOBサポートみやざき」が提供しているゲーム型ウェブコンテンツです。ゲームは、分岐型のアドベンチャーゲームとクイズ、パズルゲームが組み合わさった形になっており、15歳から65歳までの人生におけるさまざまなイベントを経験し、キャリアの選択を行いながら、定年退職までの人生の過程を概観する内容になっています。 「財務大臣になって予算を作ろう−予算作成ゲーム−」 財務省が提供しているゲーム型ウェブコンテンツです。予算の各項目を増減させて新年度予算を作成する過程に触れながら「プライマリーバランスを意識した予算編成の重要性」を啓蒙することを意図して作られているようです。なお、財務省はこのほかにも「ゴー!ゴー!ふぁいなんすタウン(音に注意
--- ★シリアスゲーム解説書「シリアスゲーム−教育・社会に役立つデジタルゲーム」発刊のお知らせ★ --- (2007年2月6日) このたび、シリアスゲーム解説書「シリアスゲーム−教育・社会に役立つデジタルゲーム」(藤本徹 著、東京電機大学出版局、価格1995円)が2月20日に発刊されます。本書は、シリアスゲームの概念、国内外の事例、開発と導入の考え方などについて網羅的に日本語で書かれた、最初のシリアスゲーム解説書です。 シリアスゲームとは、「教育をはじめとする社会の諸問題解決のためのデジタルゲーム開発・利用」を総称する概念であり、2000年代前半から欧米で普及し始め、今日では一つのゲーム分野、研究領域を形成するほどの広がりを見せています。 本書は、そのシリアスゲームムーブメントの初期から欧米のシリアスゲームコミュニティの中で研究を続けてきた著者が、教育工学者の立場からこれまでのシリ
延長戦折り返し〜親方肌の指導教員 10月に入り、帰国予定を延期した4ヶ月のちょうど半分が過ぎた。だいぶ寒くなってきた(朝晩は10度以下になる)のと、かなりの詰め込み日程でここまで進めてきて疲れやストレスがたまって体調に影響してきたので、少しスローダウン。 今まで進めてきた仕込みがようやく形になり、指導してもらっている教授たちとの打ち合わせも軌道に乗ってきて、普通ここは士気が上がるところだろうというところなのにどうも気持ちが盛り上がらない。長丁場なので休み休みやってきたつもりなのだが、さすがにへたってきたらしい。早めの夕食後にラム酒をちょっと入れたミルクティ(とても美味い)を飲んで身体をあたためて、たまったビデオを見ていたら少し回復したので、とりあえずブログで頭の試運転。 続きを読む "延長戦折り返し〜親方肌の指導教員"
1 シリアスゲーム:シリアスゲーム: コンセプト、事例とその展開コンセプト、事例とその展開 藤本藤本 徹徹 ペンシルバニア州立大学ペンシルバニア州立大学 シリアスゲームジャパンシリアスゲームジャパン 東京大学BEAT講座公開研究会(2006.8.5) TopicsTopics シリアスゲームとは?:定義と範囲シリアスゲームとは?:定義と範囲 これまでの教育ゲーム研究これまでの教育ゲーム研究・・開発と何が違うか?開発と何が違うか? シリアスゲームの展開シリアスゲームの展開 シリアスゲームを軸とした問題解決シリアスゲームを軸とした問題解決 シリアスゲームにはどんなものがあるのか?シリアスゲームにはどんなものがあるのか? 分野別、タイプ別のシリアスゲーム分野別、タイプ別のシリアスゲーム 2 政治 シリアスゲームの定義シリアスゲームの定義 「教育をはじめ
今回はSerious Games Wikiというシリアスゲームのリソース集をご紹介します。 シリアスゲーム関連の各種情報が集積されています。 http://www.seriousgames.org/wiki/ この中にシリアスゲームの市場規模の推定データがありましたので 日本語抄訳を作成してみました。粗訳で読みにくいところもありますが、 ざっと潜在的な市場規模を把握できるかと思います。 各推計額の根拠が述べられているリンクが切れているところもありますが ご了承ください。 http://www.seriousgames.org/wiki/index.php?page=SeriousGamesMarketSize ----- 「ゲームまたはゲーム技術に資金提供する可能性のある大規模な領域がいくつもあります」 米国の教科書市場:30億ドル 企業教育市場:660億ドル 政府系教
12月は寄付月間とのことで、東京大学基金で寄付募集のキャンペーンを行っています。 藤本研究室で新たに「プレイフル社会の理論構築と社会実装プロジェクト」を立ち上げます。 ゲーム学習研究に取り組む若手研究者の育成や、社会貢献の取り組みを応援してくださる皆さまのご支援をいただけましたら幸いです。 プレイフル社会の理論構築と社会実装プロジェクト プロジェクトの目的: ゲーミフィケーションなどの遊びと学びに関する理論を応用して社会に実装し、プレイフル社会、すなわち「遊ぶように働く・学ぶ」ことを可能にする社会の実現、個人の多様性に応じた成長支援のための理論研究や実践研究を行います。皆さまからのご支援を活用させていただき、シリアスゲーム/ゲーミフィケーション研究や、プレイフルな学びが豊かな社会を支える知識の創造、普及に取り組みます。 プロジェクトの研究テーマ例: ゲームの遊びの経験を成長に繋げる活動支援
「Mansion Impossible」は、不動産売買をテーマにしたミニゲームです。 Mansion Impossible http://www.freeworldgroup.com/games2/gameindex/mansion.htm ゲームはシンプルで、建てられた不動産の価格が上昇する間にクリックして購入し、下がりだす前にクリックして売却して利益をあげ、マップ内にある豪邸を購入すればゴールです。 このゲームには複雑な学習の要素はありませんし、ここで伝えられているコンセプトが適切かどうかも議論があるところですが、コンセプトを伝えるためのミニゲームの使い方、デザインの仕方の一つの例として捉えると、参考になると思います。 なお、このゲームはコピーされて無料オンラインゲームウェブサイトに出回っています。この手のオンラインミニゲームは、コピーできるものはどんどんコピーされて広がっていきます
ディズニーのWebsite、ディズニーオンラインで、子ども向けの起業教育ゲームが提供されています。 ホットショットビジネス(ディズニーオンライン) http://www.disney.go.com/hotshot/hsb.html このゲームは、起業家精神の振興と教育を目的に活動するカウフマン財団がパートナーとなって開発されています。 コミックショップ、キャンディ屋、ペットスパなどのビジネスのうち一つを選択して開業し、資金調達の方法、販売する商品の種類や価格、広告、研究開発などの経営に関わるさまざまな意思決定を行ないながらビジネスを成長させるという内容のゲームです。場面ごとにインストラクションが入っていて、単に操作方法の説明だけでなく、判断の基準や発生イベントがビジネスに与える影響などの解説が入っており、プレイしながらビジネスの流れを体験し、学習できるようにデザインされています。 なお、
ゲームと学習、社会の関わりをテーマにした学術会議、GLS(Game+Learning+Society)カンファレンスが、ウィスコンシン州の州都マディソン、モノナテラスカンファレンスセンターにおいて2005年6月23、24日の二日間にわたり開催された。 セッションはシンポジウム、プレゼンテーション、ワークショップの形式で計32セッション実施された。各セッションには「大学や高校の教室でのゲーム活用事例」「ユーザーが主導する変化」「教育とゲーム、教育におけるゲーム」「ゲームデザインイノベーション」「ゲームと学習とアイデンティティ」「ゲームと認知の理論」「ゲームの効果」といったテーマが設定され、そのテーマへの理解を深める内容の発表がそれぞれ行われた。ポスターセッション会場では、20の研究、開発事例が実際に体験できるデモとともに展示発表された。 来場者は当初予定定員250人を上回る300名で札止め
シリアスゲームへの理解を深める上で読んでおきたい基礎文献をご紹介します。このリストはちょっとずつアップデートしていきます。 今のところほとんど英語で恐縮です。これから翻訳化も含め、少しずつ日本語文献を増やしていければよいなと思ってます。 1. 書籍 "Digital Game-Based Learning" by Marc Prensky ゲームを通した学習の必要性、原理、実践方法などについて網羅的にまとめられている。学習ツールとしてのゲームを開発、活用していく上でまず考慮に入れるべき点をおさらいできる。シリアスゲーム関連の論文ではまず引用される。 "What Video Games Have to Teach Us Aobut Learning and Literacy" by James Paul Gee ビデオゲームを通した学習の原理を認知科学的視点から論じている。意味論の言
Serious Games Japanについて シリアスゲームジャパンは、シリアスゲームイニシアチブの支援を受け、日本のシリアスゲーム活動の推進のために設立されました。シリアスゲーム(公共政策、ヘルスケア、教育、経営等の多様な社会問題に対応するゲームまたはゲーム技術とその活用)に関心のある開発者と実践者のコミュニティの構築を目的として活動しています。 がん研究活動への認知向上、募金促進を目的とした代替現実ゲーム(ARG、Alternate Reality Game)「Operation: Sleeper Cell」が最近公開され、ARGに関心のある人々の間で話題になっているようです(ソース:Wonderland)。 このゲームは、英国のがん研究支援組織のCancer Research UK がスポンサーとなって開催されたARGアイデアコンテスト「Let's Change the Game
シリアスゲーム研究者のLisa Galarneauが「ゲームが教育の場で受けない10の理由」という記事を書いていますのでご紹介します。 引用元 1.「エデュテイメント」時代、多くのコストをかけたわりにささいな成果しか得られなかった。多くの人はインチキな売り文句にだまされたと感じている。 2. 多くの「教育用」ゲームは「チョコレートで包んだブロッコリー」であって、少しはやる気を起こさせても、なんら教育効果として目立ったものがあるわけではない。 3. 教師やスタッフの多くはいまだIT機器に慣れていない。 4. 教師や親の多くは、子ども達が楽しみながら学ぶということはありえないと信じている。彼(女)らはゲームがつまらないものや有害なものであるという煽りたてるマスメディアの影響を受ける傾向にある。 5. 多くのゲームは、慣れて何かができるようになるまでに20分以上かかる。ほとんどの授業はそんな時間
このページを最初にブックマークしてみませんか?
『Another Way - 教育・学習、シリアスゲーム、留学生活のブログ』の新着エントリーを見る
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く