校條剛の『ザ・流行作家』を読む。著者の名前は講談社現代新書の『作家という病』で知ったのだが、そちらは文芸編集者として知りあった作家のエピソードを綴った内容で、これが作家という人種の業を感じさせ、実に面白かった。 ▲校條剛『ザ・流行作家』(講談社)【amazon】 本書『ザ・流行作家』も方向的には同じような内容である。『作家という病』以前に書かれたもので、著者が担当した中で最も売れっ子であった川上宗薫と笹沢左保の二人を取り上げている。 ただ、作家という人種の特殊な生態を炙り出そうとした『作家という病』とは少し異なり、初めから稀代の流行作家という観点で二人にアプローチしているところがポイントである。どちらも売れっ子ではありながら、正反対の性格な二人を対比させ、あるいは共通点を見出してゆく。 と書くと、何やら小難しい評伝みたいな感じも受けるが、実際は非常に面白いエピソードの積み重ねであり、とにか