『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(Mad Max: Fury Road, 2015) ジョージ・ミラー 6月27日に劇場で観て以来、改めてこの『マッドマックス 怒りのデス・ロード』をソフトで再見して思ったのは、これはジョージ・ミラーにとっての「完全映画」なのではないか、ということである。 補足が必要だろうか。アンドレ・バザンが1946年の論考「完全映画の神話」で述べるところによれば、映画とは観念上の現象であり、その観念は「プラトンの時代から、人々の頭の中に完全な形で存在していた」とされる。この説に倣えば、映画は第七芸術としての「純粋映画」から出発して少しずつ「進化」しているのではなく、むしろ、そこで「進化」などと呼ばれる技術的発展に伴い、その起源たる完全映画へと「回帰」しているのである。 アメリカン・ニューシネマからの影響が色濃い1979年の『マッドマックス』の頃はともかく、1981