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都知事選
cosmo-sophy.hatenadiary.org
id:cosmo_sophy:20041110の記事で、精神分析やカウンセリングの治療的面接の場面において生起する『転移(transference)と逆転移の概念』*1について簡略な説明をした。 転移とは、クライエントの過去の記憶に痕跡を残している強烈な満たされない感情の向かう先が分析者(カウンセラー)の方向へと向け変えられるものである。 もう少し詳述するならば、『過去の人間関係』で重要な役割を果たしていた両親や親族などに対する感情が、『現在の人間関係』の中で再現され繰り返し反復される事が転移であり、病的な心理状態にある場合には転移に加えて退行(regression)や行動化(acting out)*2といった防衛機制が合わせて観察される。 誤解を防ぐ為に断っておくが、転移そのものは病的な現象でも幼稚な行動でもなく、極自然な人間関係の中で私達は無意識の内に転移に似た感情表現をしたり、転移に
うつ病は、ここ最近のテレビ・新聞などの報道やうつ病に似た憂鬱感や無気力の症状を経験する人の増加によって非常によく知られた精神障害(精神疾患)になっています。 その罹患率(生涯でうつ病に一度でも罹る確率は約10%)の高さから、軽症うつ病であれば『心の風邪』とも言われ、極めてありふれた病気の一つになっています。 社会構造と経済活動が複雑化して、生きていく上で様々な競争や努力を要求される先進国では特にうつ病に罹る人の数が増える傾向があります。 うつ病の症状は大きく分けて、『憂鬱感・気分の落ち込み・不安感・イライラ・焦燥感・希死念慮(自殺願望)といった精神症状』『意欲減退・無気力・無関心・億劫感といった心理的抑制の症状』『思考力の低下・記憶力の低下・読解能力の低下・決断力の喪失といった知的能力面の症状』『食欲低下・性欲減退・不眠・頭痛・眩暈・吐き気・腹痛といった身体症状』に分ける事が出来ます。 う
一般的なカウンセリング技法として採用される事の多いカール・ロジャースの支持的な『来談者中心療法(client-centered therapy)』における基本的な人間像は『実現傾向を持つ個人』であり、その技法の最大の特徴は『非指示的(non-directive)療法』である事です。 来談者中心療法では、カウンセリングの場の主導権と話題の選択権は絶えずクライアントの側にあり、カウンセラーは徹底した包容力のある傾聴者として振る舞い、自らの価値観から助言や忠告をすることを最低限に留めます。 ロジャースの心理学理論は、人間の潜在的な能力である実現傾向を深く信頼する人間主義(ヒューマニズム)のアプローチに根ざしていて、知識や技術によって意図的にクライアントの心理過程を変化させるのではなく、クライアントが自分自身で問題となっている内的心理や行動を洞察して変容していくのを待とうとします。 『実現傾向』と
NHKで、精神科医エリザベス・キューブラー・ロスの人生と死去を取り扱った報道番組を鑑賞した。 エリザベス・キューブラー・ロス博士の臨死体験にまつわる思想やターミナルケアの活動について、私は以前、深い興味を抱いている時期があったが長い期間、彼女の事を忘れていた。 偶然つけたNHKの番組で、久方ぶりにロスと再会し、そして、現世のロスが永遠の旅路に出た事を知った。 彼女の死去は、つい先日(米国時間8月24日午後8時15分)であり、息子のケンと娘のバーバラに見守られながら、安らかに緩やかな時の進行に合わせて眠る様に息を引き取ったという。 この番組を見た感想を簡潔に述べるのは難しい。 ロスを知る多くの人は、死を看取るターミナルケアのスペシャリストとしてのロスの精神変容の過程に注目し、あるいは『死にゆく人々の精神的援助と苦悩の緩和に人生を捧げたエリザベスの聖女的な毅然とした死の受容』を無意識のうちに期
いつも日付を意識する事なく、ある程度の長さを持つエントリー(記事)を書く度に、一日の枠組みでアップしていますが、このエントリーを持って2004年度最後のエントリーとなります。 物事を深く考える契機として、自分の内面にあるものや知識として覚えておきたいことを文章化してきましたが、来年もマイペースでいろいろな事柄について書いていこうと思います。 人間の豊かな心の広大な領野に浮かび上がってくる、宗教と科学、哲学と科学、精神と物質、社会と個人、総体的な人間と世界に関する問題意識を持ち続けることが、私のライフワーク的な楽しみでもありますので、来年も思索と興味の赴くに任せていろいろ考えていければよいなと考えています。 そして、人の心と人の心が相互に織り成す関係や感情の様相に喜びや悲しみを見出し続ける事も、人間の生にとっては欠かす事の出来ない大切な事ですね。 少し早い挨拶となりますが、皆様、心穏やかに、
id:cosmo_sophy:20050213で私が記述した『「いんちき」心理学研究所を巡る沈黙のオーディエンスの意識化と孤独感について』の記事を踏み台にして、id:santaro_yさんが『オーディエンスとブロガーの関係性』『沈黙のオーディエンスから主体的オーディエンスへの発展可能性』『ブログのトラックバックを利用した関連記事の有機的連結』など興味深いテーマを立てて更なる議論を複数の方々と深めてくれています。 この話題に関心のある方は、santaro_yさんのブログの「ぱちもん」心理学研究所を是非一読される事をお薦めします。 ■「ぱちもん」心理学研究所関連の記事……id:santaro_y:20050226,id:santaro_y:20050301,id:santaro_y:20050304 様々な視点と事例から“ブロガーとオーディエンスの関係にまつわる心理・欲求・反応”が詳細に分析さ
ダーウィンを起源とする進化論によれば、自然界の生物達は、自然選択と突然変異を通して、新たな形質を獲得し異なる種へと進化していきます。 自然選択(自然淘汰)は、他の個体との食料の争奪戦や繁殖の為の異性獲得の闘争といった生存競争を勝ち抜いた個体がより多くの子孫を残すという意味だけではなく、急激な気候の変動や地形の変化、伝染病の蔓延、地震・火山活動・氷河期の到来といった自然の猛威に耐え抜いた個体がより高い確率で子孫を残すという意味もあります。 進化生物学について、無数の生物種が生きる自然界の摂理が“適者生存”であるというのは正しいですが、“優勝劣敗・弱肉強食”というのは正確ではありません。 環境へより上手く適応した種や個体が生き残るという『適者生存の法則』は、自然界において成り立ちますが、種単位・個体単位でより強力で優等な種や個体が生き残ると言う意味での『優勝劣敗や弱肉強食の法則』は、自然界にお
臨床心理学の認知療法の理論によって、気分障害(うつ病等気分の変調を主症状とする病態)の抑うつ感の生起を説明する場合に必要不可欠になってくる図式は、『外界の事象→認知(思考)→感情・気分→行動』という行動メカニズムの図式です。 この図式が成立した歴史を遡ると、論理療法の創始者として著明なアルバート・エリス(Albert Ellis)のREBT(Rational Emotive Behavior Therapy:理性感情行動療法・論理情動療法)の『ABC理論』に辿り着きます。 アルバート・エリスのABC理論は、認知療法の基本的な考え方の図式である『外界の事象→認知(思考)→感情・気分→行動』と一致するもので、人間の感情や行動は、現実世界の事実や出来事によって直接惹き起こされるのではなく、その出来事をどのように受け止めるのかという認知や信念によって導かれると考えました。 ABC理論のA,B,Cは
「いんちき」心理学研究所|終了 「いんちき」心理学研究所|終了:その後 憂鬱なプログラマによるオブジェクト指向日記:沈黙のオーディエンス 浅野教授という方が開設されていた「いんちき」心理学研究所が、閉鎖の運びとなったようです。 「いんちき」心理学研究所は、大勢の人が興味を持ちそうな社会現象や世間の常識、歴史問題など雑多なテーマを取り上げ、独自の心理学的分析と解釈を加えるというコンセプトによって作られたサイトです。 根拠となる客観的データや関連する参考文献を引いてきて、テーマに対する心理学的な分析を行い、『一般常識と異なる面白い見解を提示することで読者を楽しませたい』という意図が込められている事がその記事を幾つか読むと分かると思います。 浅野教授が、サイトを閉鎖の決断をする決め手となったのは、アクセス数は伸びても、読者からの共感のこもった反応がないという“沈黙のオーディエンス”を前にした虚無
むだづかいにっき♂さんに、何でもかんでも総ブログ化計画:【募集9】批判や反論……を題材にした“批判や反論……大人の対処法は?”という興味深い記事があったので、インターネット内のブログやウェブサイトの掲示板などにおける議論の促進と抑制について考えてみたいと思います。 まず、議論の場に参加する論者達に、『議論とは何か?』という合意が相互に出来ていない場合には、議論に誹謗中傷・罵倒・侮辱といった議論する内容とは無関係のノイズが多く混入してくる可能性があり、建設的な価値創造的な議論は出来ないでしょう。 議論といいながら議論になっていないこともあります。一部の掲示板では、攻撃・誹謗中傷を「議論」や「表現」といった言葉で覆い隠し、それを無視したりすると「逃げた」とか言い出すような人たちだっています。また、議論の論点が全然かみ合っていなかったり、いつのまにか人格攻撃に走ったり、あるいは人格攻撃ではないの
「ニート」2002年で85万人、定義見直しで膨らむ――YOMIURI ON-LINE 内閣府の「青少年の就労に関する研究会」(委員長・玄田有史東大助教授)は22日、学校に行かず、働かず、職業訓練にも参加しない「ニート」と呼ばれる若者が2002年には85万人だったとする集計を公表した。 厚生労働省は2004年版労働経済白書で、ニートの定義に「家事の手伝いもしない」ことを加え、2003年で約52万人と試算していた。 これに対し、内閣府の研究会は「『家事手伝い』は就労意欲のないケースが多い」としてニートに含めたため、数字がふくらんだ。 同研究会では、ニートは1992年より18万人増え、85万人のうち就職を希望しながら求職活動をしていないのが43万人、就職を希望していないのが42万人だったとしている。 NEETとは、“Not in Education,Employment or Training(
フロイトやラカンの精神分析理論は、使用される専門用語の数が多く、専門用語によって指示される概念が難解であるだけでなく、その理論の全体を見渡す為には構造論・力動論・発達論・臨床技法など複数の理論を系統的に参照する必要があります。 その精神分析の複雑さを必要最小限なレベルに低減させ、実用性を向上させた理論に『精神分析の口語訳』と呼ばれる『交流分析(Transactional Analysis)』があります。 アメリカの精神科医エリック・バーン(Eric Berne 1910-1970)が考案した交流分析は、構造論を日常言語に置き換え、発達論を親子の情緒的交流の次元に簡略化し、力動論を分かりやすいコミュニケーション論で説明しました。 交流分析の最大の特徴は、エゴグラムという簡単な答えやすい項目で構成される質問紙法を用いて客観的にパーソナリティを分析できる点にあります。 エゴグラムで得られたデータ
気がつけばいつの間にか今日で4月も終わり、人によっては10連休以上のゴールデンウィークに突入しますね。 ここ数日急激に気温が上がり、うららかな春を通り越して既に初夏の気候となりつつあります。 特定の話題やテーマについて掘り下げて考える時間が乏しいので、気軽にブッダの言葉を借りながらつらつらと頭に思い浮かぶことを書き留めることとします。 中途半端なメモや断片的な知識の備忘録のような更新でもしようと思うのですが、短く手軽に更新するというブログの書き方に慣れていないせいなのか、ラフでアバウトな記事の作成がなかなか出来ないといった感じです。 知恵の手帖シリーズというとても薄い冊子があり、そのシリーズの『ブッダの言葉』(isbn:4314007397)から困苦なる人生を行き抜く指針となるようなものを幾つか引用し、私の簡単な感想を添えておこうと思います。 表題は、私が恣意的に気の趣くままにつけました。
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